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第21話 元魔王、部屋を改造する

 彼らは寮に到着した。


「ここが私の部屋だよ」


 エリナが扉を開くと中には、実に女の子らしい部屋が広がっていた。


「エリナらしい装飾だな」

「えへへ。ありがとう」


 二人は部屋の中に入っていく。

 

「そこのベットと机は使ってないから自由に使っていいよ」

「ああ、わかった」

「それから私は友達に借りてた本を返してくるから、荷物とかあったら整頓しといてね」

「了解だ」


 そうしてエリナは、部屋を出て行った。


「さて、部屋も狭いし魔改造するか」


 するとユリウスは魔法陣を展開し、部屋全体に空間拡張の魔法をエンチャントした。

 寝室兼リビングとなっている場所は、先ほどより一、二回り広くする。

 そしてトイレにも同じ魔法を使い多少広くし、風呂に関しては全力を注いだのか大浴場並みの面積になっていた。


「……浴槽は良いとして、流石に洗い場を広くしすぎたな」


 広くしすぎた洗い場の大きさを六人分くらいまで小さくすると、脱衣所を元の大きさに戻した。

 改造に熱が入ったことで色々な魔法や錬金術、そして数秘術までもを使い、浴槽をグレードアップさせていく。

 そしてお湯にも疲労回復など様々な効能が付与されるよう浴槽にエンチャントを施す。


「こんなもんか。風呂は命だからな」


 彼は無駄な事に全魔力を注いだことで、魔力切れに陥っていたが満足そうな笑みを浮かべていた。


 そんな魔改造が施されているとも知らずに、エリナは呑気に友達と楽しそうに会話を弾ませていた。

 そしてエリナが帰ってきて、扉を開けると先ほどとは比べ物にならない程、広くなっている部屋が彼女の視界に映り込む。


「ただい……って何がどうなってるの!?」

「おかえりマスター」

「私の留守中に何があったの?」

「かつての旧人類が開発した空間拡張魔法で、部屋を拡張した」

「こ、これはどうツッコミを入れればいいだろう?」


 彼女は困惑しながらも部屋に入る。

 少し進むと女の子らしい空間が広がる。

 しかし、そんな部屋の一角には、重々しい雰囲気を放つ空間が出来上がっていた。


「悪いなマスター。今持ってる分だけの武器コレクションを飾らせてもらった」

「え、あ、うん。大丈夫だよ。…………」


 そしてエリナは飾られている見たこともない武器に、目を奪われる。

 そこにあったのは銃や剣、杖と言った武器が飾られており、この時代ではどれもアーティファクト級の物品になるほどの代物であった。

 

 エリナは興味本位で触ろうとするが、ユリウスから制止の声が掛かる。


「触るのはやめとけ。魔剣みたいなのも混じってるから、今のマスターだと下手したら死ぬぞ」


 その声に彼女の手はピタリと止まる。


「昔の人ってこんなすごい物を作れたんだね」


 するとユリウスは銃を手に取った。


「この武器に関しては、構造が分かれば多分職人なら誰でも作れると思うぞ。専用の加工道具があればの話だがな。まあ、それ以外の剣やら杖やらは、俺が生まれた頃には作れる奴はほとんどいなくなってたし、作れないものもあるからかなり貴重なやつなんだぜ」

「そんなの飾って大丈夫なの?」

「対策はしてあるから大丈夫だ」


 それを聞くとエリナは胸をなでおろし、着替えとタオルを取り出す。


「先お風呂もらうね」


 そう言い残し、彼女は脱衣所に向かう。

 そして服を脱ぎ終えると、浴場の扉を開けた。


「!!!!」


 すると、脱衣所の扉が勢いよく開け放たれる。


「お風呂にも何かしたの!?」

「ああ。この部屋と同じく風呂も広くしといた」


 そして彼が振り返ると全裸のエリナが脱衣所の前で立っていた。


「……ごちそうさまです!」

「え?」


 エリナの顔が真っ赤になっていき乙女の悲鳴が部屋に響き渡る。

 それと同時に勢いで、ユリウスに向かって魔力弾を放つ。


「ぎゃぁぁぁ!!」


 魔力弾は着弾すると盛大に爆ぜる。

 それからしばらく経ち、エリナが脱衣所から出て来た。


「ふう。ひどい目にあったぜ」

「ご、ごめん。つい咄嗟にやっちゃった。でも、魔王様も悪いからね。勝手に部屋を改造してるとことか」

「広くなったからいいだろ」


 ユリウスは悪気が無さそうに答えると、エリナが不服そうな表情を浮かべるのだった。

いつも読んで下さり有難うございます。

『面白い』や『よかった』と思っていただけたら評価やブックマーク、感想等をしていただけると嬉しいです。


これからもよろしくお願いします。

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