第20話 入学
それから三日後、合否を確認するため朝から学院長室に彼らは訪れていた。
学院長室に入るとそこには銀色の長髪を後ろでまとめた如何にも胡散臭さそうな男性が座っていた。
「やあユリウス! 早速だけど結果を伝えるよ」
その言葉を聞くと、二人ともゴクリと固唾を飲み込む。
「結果は…………」
「じらさないで早く言ってくれ」
「いやーこういうのいるかなーって思ってさ」
溜息を吐く二人を見て、しょうがないなーと言いたげな顔で学院長が口を開く。
「結果は合格!! おめでとう! 学院を代表して歓迎するよユリウス。君も今日からこの学院の一員だ。……で、早速で悪いんだけど、今日から授業に参加してもらうよ」
「いきなりすぎないか? それに制服すらまだ受け取ってないぞ」
「それに関しては安心したまえ。制服は既に用意してある」
すると学院長は、机の下から箱を取り出し、ユリウスに手渡す。
そしてユリウスは、学院長の方に視線を移すと、彼は箱を開けるよう促すかのように微笑を浮かべた。
しぶしぶといった感じで、ユリウスが箱を開けると、中には制服と学院生活で必要となる細々とした物が入っていた。
「用意周到だな。……ところで何処で着替えればいい?」
「ここで着替えてくれて結構だとも」
「じゃ、じゃあ私は外で待ってるよ!」
エリナは慌てた様子で学院長室を出て行こうとする。
しかし、エリナが出る前にユリウスは指をパチンッと鳴らす。
すると彼の服装が制服に変わっていた。
「これでいいか?」
「冗談のつもりで言ったんだけど、まさか換装の魔法が使えるとはね」
「俺はそのつもりで言ったのかと……」
それを聞いた彼女は学院長に鋭い視線を向ける。
苦笑いを浮かべながら、学院長は優雅な口調で言葉を紡ぐ。
「ではでは頑張りたまえ。楽しい学院生活になることを祈ってるよ」
その言葉を最後に、彼らは学院長室をあとにした。
「そういえば俺のクラスがどこか聞かされなかったな」
「ユウ君のクラスは私と同じだよ」
「いつの間に聞いたんだ?」
「今さっき聞かされたとこ。だから案内役としてここにいるんだよ」
「なるほど」
それからしばらく廊下を歩いていた。
「ここが教室だよ」
そう言い残すと彼女は先に教室に入っていった。
どうやら現在はホームルームの時間の様だ。
それから数分後、合図を受けたユリウスは教室に入っていく。
そして男口調の女教師が軽く彼の紹介をした。
「――と、いうわけで、今日から途中入学となったユリウス・アルバートだ」
「ユリウス・アルバートです。これからよろしく」
「あー言い忘れてたが、オレはここの担任のクレアだ。よろしく」
すると女生徒が早速、手を挙げる。
「はいはーい。質もーん」
「おう、いいぞヴィオラ」
「好みの女性のタイプはどんなのですか?」
ユリウスは即答で応える。
「胸のでかい人だな」
「うわ直球だ!?」
「まあ、無くても愛せるが」
「しかも微妙なフォロー来た!」
そして少し考える素振りを見せた。
「あとは、顔がよければいいよ」
「なるほど、女の敵ですね。了解しました」
そのやり取りにクレアが笑っていた。
「ハハハ。おもしれー奴が来たな。それでヴィオラ気が済んだか?」
「いえ、あと一つだけ。入学試験で学院の校舎を吹き飛ばしたって本当ですか?」
「吹き飛ばしたと言うか……勝手に吹き飛んだってのが正確な表現だな」
それをきっかけにクラス中がざわつき始めた。
そしてこの日は、この話題で持ちきりとなり、まともに授業が出来ずに終わりを迎えた。
現在ユリウスとエリナは、学院長の呼び出しで再び学院長室を訪れていた。
「寮の部屋についてなんだが、空き部屋がなくてね~。だもんで、エリナ君と一緒の部屋にさせてもらったよ」
「「!?」」
いきなりの爆弾発言に二人は驚きを隠せていなかった。
「ちょ、ちょっと待ってください学院長!」
「どうしたんだい。彼と同室は不満かい?」
「い、いえ別に……」
意外にも彼女は満更でもない様子だった。
「ってそうじゃなくて! 年頃の男女が同じ部屋はまずいと思うんです!」
「別にいいじゃないか。そうは思わないかなユリウス?」
「たしかにそうですね。俺は役得なので反対しませんよ」
「それはよかった。そう言ってくれのをボクは期待していたよ」
「もうユウ君のバカ!!」
そんな軽いノリでエリナとユリウスは同室になるのだった。
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