第17話 稽古2
それから一週間が過ぎた。
エリナは何とか魔力球を小サイズだが五個生成できるようになり、アルス=マグナも何だかんだ言って文字を最低限読み書きできるようになっていた。
彼が文字をこんなに早く覚えられたの発音が同じだったためだ。
本来文字は発音から覚えるものだ。
だから、発音さえ変わっていなければ覚えるの容易と言うこと。
そしてエリナは運用魔力の限界に来て、魔力球を生成できなくなると、剣の稽古をやらされていた。
「何で魔導士なのに剣の練習をするの!!」
不満げな声で叫ぶ。
「あれ? 言わなかったっけ? 魔導士は確かに魔法を使える間は強いけど、魔力が切れれば一般人と変わらない。だから魔法無しでも戦えるように剣の練習をしてるんだ。それに近距離まで寄られたら、魔法を使うにしても敵の攻撃を捌かないといけないしな。……後々体術も追加するから覚悟しろよ。後、弓の練習も追加予定だ」
「!!! …………」
彼女は驚きと絶望で絶句していた。
もうヤケクソになりながら、木剣を振って素振りを繰り返す。
「でも何で急に剣の練習を入れたの?」
「だってマスターが強い魔導士になりたいって俺に頼んだだろ。だから要望通りに、最低でも戦争で生き残れるくらいの魔導士に仕上げようとしてるだけだ。時間があればもっと強くしてやるよ」
アルス=マグナは、楽しそうな笑みを浮かべながら指導していたが、エリナはその言葉を言った過去の自分を殴ってやりたいと思いながら稽古に勤しむ。
それが原動力なのか知らないが、へばらずに頑張っている。
そして再び魔力球が生成可能になると剣の稽古を中断し、魔力球の生成を始め、運用魔力限界が来るまで続けるを繰り返す。
剣の稽古を中断しているのは、中途半端になったとしても体質改善を優先しているからだ。
そしてこれは彼にとっては無駄のないトレーニングスケジュールだが、やってる本人は地獄以外の何物でもない。
ちゃんと休憩はあるが、それでも魔力的疲労が蓄積され、ある一定を超えるとそれが物理的な疲労に変換されているため、休んだうちには入らないようだ。
「魔王様、お願いだから疲労が抜けるまで休憩を取らせて……」
「そんなことしたら実戦を想定してる意味がなくなる。実際の戦場じゃあ休憩が無い時だってある。それにあったとしても、疲労が抜けるまで休ませてはもらえないぞ。だから休めるうちにどれだけ疲労を取るかの訓練も兼ねてる。まさにパーフェクトなトレーニングだろ」
「聞かない方がよかった……」
休憩もトレーニングの一環であり、事実上を休みではないことを知り、絶望に打ちひしがれながら、真剣に剣の素振りや打ち込みに集中する。
何も考えない方が幸せな時もあると、この時エレナは気がついたようだ。
それからしばらく地獄は続き、日が暮れ始めたところでやっと彼女は地獄から解放される。
そして夕食などを済ませると、夜の部がスタートした。
夜の部が始まると、アルス=マグナとエリナの立場は逆転していた。
「魔王様、その字は『け』じゃなくて『へ』だよ」
「似てる文字多すぎないか? この時代は……」
「そんなことないよ。私から見たら、古代文字の方が似てる文字が多い気がするよ」
「そうか? あまり意識したことなかったな」
無駄口を叩きながらも、彼は文字の習得に向けて頑張っていた。
そして彼女も、彼に文字を教えるのと並行しながら古代文字を学んでいた。
アルス=マグナは、現代の文字の横にかつての文字を書いているので、エリナはそれを参考にしながら古代文字の解読に勤しんでいるのだった。
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