第11話 神の存在
アルス=マグナは、昨日見たこの時代の街について思い出していた。
昨日、街へ出た時、彼は何か違和感を感じていた。
見た目は普通の中世の街並みである。
しかし、思い返すことで違和感の正体に気づく。
そうこの街は異常なのだ。
異常なのは人でもその生活行動でもない。
街、否、この時代である。
「流石におかしくないか? 約一万年もの月日が経っているのに、全く発展していない。……そうか! 昨日抱いた違和感はこれだったのか。……何回か文明が滅んでいたとしても、そう何十回も起こる事じゃない。旧人類の歴史を参考にしても、一万年以内に文明が滅びる回数なんてたかが知れる。実際、俺ら旧人類の歴史では文明が滅びた痕跡はなかった。仮に数回滅びた程度なら、旧文明の知識が少なからず残っているはず……。なのに何故、全く発展しておらず、あの時代と街並みが酷似しているんだ。まるで何かの意思で文明を停滞、いや、技術面を衰退した上で停滞させられているとしか考えられない」
本来、一万年と言う月日があれば、仮に一、二回文明が滅んでももっと発展するか新たな技術が生み出されているはずなのだ。
様々な種族が生きるこの時代で、街並みが変わらず、魔法すらも衰退しているのは余りにも異常すぎる。
仮に文明が何回も滅びていると仮定しても、普通に考えて建物の外見が、彼の時代と一致するのはおかしい。
確かに、合理的な建て方をすれば似て来るのも頷けるが、それでもその文明独自の工夫があるものだ。
酷似するなどあり得るはずがない。
それに、旧人類は一度も文明が滅びることなく一万年以上の歴史を積み上げ、低位の神なら犠牲を払うことを前提に動けば、殺す事すら出来る程、技術が発展していた。
それを前提に考えると、この時代は一定周期で文明が滅びる、もしくは遡行し発展した一部技術だけが衰退し失われている事になる。
そのことを前提に考えると、一つの結論を彼は導き出す。
「……こんな芸当が出来るのは神しかいない」
この世界の管理者であり、最上位存在の神であれば権能を使い、理に干渉することで世界を変えることができる。
「だが、いくら神といえども、即座に大規模な干渉が出来るはずがない。この仮説が合ってることを前提に考察するならば、考えられることは一つ。一定周期で何かをやっていることになるな」
アルス=マグナは、めんどくさそうに溜息を吐く。
「はぁぁ。……ったく、最高神を殺したのにまた厄介な事になってるな。まあいい、俺が住むのに邪魔になる事が仮定できた。なら後は、文明に干渉する奴らを炙り出して殺せばいいだけだな。流石に最高神より弱いだろうから簡単に終わりそうだ。よし、そうと決まればこの時代の情報を集め、かつての力を回収するのが当面の目的だな」
彼が最高神との決戦前に、部下に起動させた装置はアルス=マグナが転生する際に失われる筈の力を保管する施設のことだったのだ。
既に、自身の妹の力の一部を保管することで実験は成功を納めている。
そして転生召喚魔法の発動と同時に、彼の遺伝子から作られたコアが共鳴し、力が保管されるように作られており、いくつかの施設に分割して納められているのだ。
その全ての施設はこの世界の何処かにまだ残っている。
目標が定まってから数分後、実験室の扉がノックと後に開け放たれるのだった。
いつも読んで下さり有難うございます。
『面白い』や『よかった』と思っていただけたら評価やブックマーク、感想等をしていただけると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。




