どろぼうの神様
世は暗黒の時代でした。
王様を頂点にしたいくつもの国々が、民衆の革命で次々なくなっていった時代。
王様の言うことに従い、窮屈な生活を強いられていた人々は自由を獲得しました。
王様のいうことには絶対逆らえなかった人々が、自由に何でもできるようになったんだからよかったじゃないかって?
とんでもない。
王様のおかげで、いい暮らしができていた人々もいるのです。
王様から「サー」の称号を受けた貴族たちです。
自由に何でもできるようになった人々は、自分たちのいいように好き勝手にルールを作り変えてしまいました。
他の人の迷惑になるかなんて考えていませんから、当然そこで衝突が起こります。
その衝突は次第に大きくなり、国中のあちこちで殺し合いが始まりました。女子供も関係なく、自分の言うことを聞かないものは、たとえ隣人でも容赦ありませんでした。
このままではいけないと、人々は協議会を作り、その中で決めたことが人々の共通のルールになりました。
自分の好きなようにしていた人々の不満がつのります。
その不満のはけ口としたのが、貴族へのいやがらせでした。
王様がいた時はいい暮らしをしていたんだから、王様がいなくなったらひどい目に遭うのが当然。
協議会は、貴族から広い屋敷を取り上げ、豪華な調度品を取り上げ、美しいドレスやきらびやかな宝石を取り上げました。
そして、貴族たちは、はだか同然で放り出さしたのです。
行き場のなくなった貴族たちは、人々の嘲笑を受けながら、森に姿を消していきました。
貴族がいなくなり、貴族が使っていたものを自由にできるようになって、世の中が明るくなったでしょうか。
いいえ、世の中は暗いままでした。
協議会は、世の中が暗い原因を自分たちのせいにされたくなくて、貴族に代わる新しい憎しみの対象を探していました。
森の中に消えたはずの貴族たちは森から姿を消した。
貴族たちは、自分たちを知らない土地に逃げ、そこで人々に混じって普通に暮らしている。
そんなうわさ話が人々の間にたつようになりました。
そして、さらにこんな話も。
貴族たちは、自分たちをひどい目に合わせた人たちに復讐するため、ひそかに集まって、その機会を狙っている。
その集団の名は、カーケスペレンツ。
そして、王のみ手を触れることができる聖剣ベリデシアを、魔法を使って人々から隠し通し、王以外で唯一ベリデシアを振るうことができるというカーケスペレンツの首領、カイザーロゼ。
協議会は、このうわさ話に飛びつきました。
人々の新しい憎しみの対象は、カーケスペレンツ。
しかし、カーケスペレンツは、人々に混じって普通に暮らしているので、誰がカーケスペレンツなのか探しようがありません。
唯一、カイザーロゼだけは探し出すことができます。
なにしろ、聖剣ベリデシアを持っているものこそが、カイザーロゼなのですから。
協議会は、カイザーロゼを捕まえたら、見せしめのためにその一族を全員処刑すると宣言しました。
そして、人々にカーケスペレンツを探させることにしたのです。
カーケスペレンツを探そうとしない人、カーケスペレンツであることを知りながら、その人物を教えない人もカイザーロゼと同じ目に遭わせる。
そうやって人々を脅せば、みなカーケスぺレンツのことでいっぱいになり、暗い世の中の不満なんて言う人はいなくなる。
協議会はそう考えたのです。
協議会は、聖剣ベリデシアの探索に乗り出しました。
◆
ショーブチョーは、教会の前でくつ磨きをする少年。
くつ磨きの少年は全部で4人。
他のくつ磨きの少年から、ショーブチョーは、「ショー」と呼ばれていました。
「ショー、今日も後ろ縛りかい?」
「ああ、まだ売るには短いんでね」
ショーは、黒々としたつやのある髪をしていました。今は、まだ肩ぐらいまでですが、これがもっと長くなると、カツラ屋に髪の毛を売っていたのです。
売れるものは全部売る。
ショーは、家族のためにお金になることは何でもしました。ただひとつ、どろぼうだけは除いて。
そのショーの所に、なじみのお客さんがやってきます。
「ショー、今日も頼む」
「分かりました」
ショーは、椅子を出してお客さんに座ってもらい、くつをのせる台にお客さんの足をのせます。
「サー、今日の背広はシックに決めていますね。これから、商売の打ち合わせですか?」
「よくわかったな。そうなんだ。今日は少し大きい商談でね。くつ先まで見られると思って、やる気を出そうと思っているんだ」
「じゃあ、いつになく気合を入れて磨かせてもらいますね」
ショーは、お客さんとのコミュニケーションを大事にしていました。
くつが綺麗になるだけでなく、楽しい会話で、いい気分にしてもらえる、というのを売りにしていたのです。
このお客さんとのコミュニケーションは、ショーにとって勉強の場でもありました。何気ない会話をしながら、どこかで起こった事件のことや社会情勢を知ることができたのです。
ショーは、お客さんを呼ぶときは個人名ではなく、「サー」と呼びました。
「サー」は、貴族の称号です。
今は貴族はいなくなりましたが、ショーは、あなたに貴族のような敬意を払っています、とお客さんに分かるように「サー」と呼ぶようにしたのです。お客さんはこれを気に入り、ショーのお客さんが増えました。今は、ショーの真似をして、教会前のくつ磨きの少年たちはみんなお客さんを「サー」と呼んでいます。自分の真似をされても、ショーは、他のくつ磨きに文句を言うことはありませんでした。
さて、仕事ざんまいのショーでしたが、実は教会前にいるのには、訳がありました。
それまでは、町のあちこちを転々としていましたが、ある時からここに腰を落ち着けたのです。
その教会の前には、七つの神様の石像が立っていました。
七つの神様には、それぞれに役割があり、人々はその役割に応じてお祈りに来ていました。
お祈りに来た人をお客さんにすれば楽だろう。
そう思ったショーですが、初めて教会前でくつ磨きをしようとしたとき、まったくお客さんは寄ってきませんでした。
しかたなく、ショーは、教会前にいる人たちをぼうっと見ていました。
石像にお祈りをする人、教会に入っていく人、出てくる人、通り過ぎていく人、そんな人たちを見ているうちに、ショーはある女の子に目を引かれました。
美しい金髪と、明るいドレスに身を包んだ女の子はそれだけで目を引きましたが、それ以上にショーの気を引いたのは女の子の行動でした。
おそらく、親と一緒に教会に来たのでしょう。
先に女の子が出てきて、親が出てくるのを待っている間、女の子は、教会の前に建つ七つの神様の石像の方をじっとみていました。
右から六つ目までの石像の前には、お祈りする人がいましたが、七つ目の神の像だけは、なぜかお祈りしようとする人がいません。それだけでなく、他の六つに比べると、明らかに汚れていました。その表情は、雨水の汚れが流れたあとが涙のようになり、まるで泣いているかのようにも見えます。
すると、女の子は、七つ目の石像のところに行き、両手を合わせてお祈りを始めました。
ショーは、左右の往来を見て、お客さんが来ないのを確認すると、立ち上がってその女の子の所に歩いていきました。
「この神様にお祈りするなんて珍しいね」
ショーは、女の子の隣に立つと、七つ目の石像を見上げて言いました。
目をつぶってお祈りをしていた女の子はその声に驚いて、ショーの方を見ました。
「珍しい?どうして?」
女の子は、怖がるふうもなく、ショーに聞きました。
「ここにある七つの石像はそれぞれ何の神様だか知っている?」
ショーの問いかけに、女の子は、首を横に振りました。
「いいかい、一番右から順に、
知恵の神
力の神
勇気の神
美の神
恋愛の神
喜びの神
そして・・・・」
七つ目の石像を指さし、
「どろぼうの神」
女の子は、目を丸くして、石像の方に目を移しました。
「他の神様は、何かを与えてくれるけど、どろぼうじゃ何も与えてくれない。なんで、そんな神様がここにいるのか分からないけどね。だから、誰もお祈りしないし、誰も気にしないから汚れっぱなしなのさ」
ショーの説明を聞いた女の子は、持っていたバッグから布巾を取り出すと、七つ目の石像を拭き始めました。
「おいおい、それはどろぼうの神様だぜ。それにそんな小さい布巾で拭いたって・・・・」
「悲しそうだから」
「えっ」
「この神様、悲しそうな顔してる。だから、少しでも綺麗にしてあげたいの。それに・・・・」
ショーは、女の子を見ました。美しい青い瞳は、すれっからしのショーの心のすべてを飲み込んでしまいそうです。
「どろぼうの神様だって、他の神様と同じ。何かを与えてくれなくても、ただそこに美しい姿でいてくれれば、それだけで心がいっぱいになるんですもの」
その瞬間、ショーの心はすっかりのその女の子に持っていかれてしまいました。
「分かった。分かったよ。君の言うとおりだ」
「ルシンダ」
「えっ?」
「わたしの名前はルシンダ。あなたは?」
「俺の名前はショーブチョー。みんなはショーって言ってる」
「ショー、ありがとう。わたしの話に賛成してくれて」
「うん、だから、その、あとは俺に任せて。この石像全部綺麗にするのは大変だから、少しずつ俺が綺麗にしていくよ」
ルシンダは、明るい笑顔をショーに返すと、石像の方を見上げました。
「見て、ショー。どろぼうの神様が喜んでくれているわ」
ショーも、七つ目の石像を見上げました。
ルシンダにそう言われると、汚れの涙は流したままでしたが、心なしかうれしそうな表情に変わったような気がしました。
ルシンダは、毎日教会に来ているわけではありませんでしたが、教会に来たときには、必ずショーの方を見て笑顔で挨拶をしてくれました。
親がついているので、なかなか話すところまで行きませんが、それでもただ自分に気づいてくれているというだけで、ショーの心はウキウキして、仕事や家のことも苦にならなくなりました。
だから、ショーが、教会前でくつ磨きをしているのは、半分仕事、半分はルシンダの笑顔を見るためでした。
◆
ある時、くつ磨きをしている最中にルシンダが教会にやってきました。ルシンダが、笑顔で挨拶します。
「サー、ちょっとすいません」
ショーは、お客さんに断ると、くつ磨きを中断し、ハンチング帽を少し上げて、ルシンダに笑顔を返しました。
お客さんは、そのショーの視線を追って、後ろの方を振り返りました。
「失礼しました」
ショーがまた仕事に戻ろうとすると、
「あれはやめた方がいい」
お客さんが急に言いました。
ショーはお客さんを見上げました。
「あの女の子は、ルシンダ・ボーゲンハット。一緒にいた父親はウェルデ・ボーゲンハット。協議会のナンバー2だ。ショーがどんなにひっくり返っても、あの女の子と一緒になることはできないよ。あの女の子に手を出そうものなら、父親が黙っていない」
「な、なにを言ってるんですか。俺みたいな奴が、あんな綺麗な女の子に手を出せるはずないじゃないですか」
ルシンダの素性にも驚きましたが、お客さんに自分の気持ちを言い当てられたことに動揺して、ショーはあわてて言いました。
「とはいうものの、今、ボーゲンハット氏は娘のことなどにかまっていられないけどな」
「・・・・・どういうことですか?」
「今我が国は、隣の国と戦争目前の状態だ。あとは協議会で決定されれば、戦争が始まる。協議会の大多数の議員は、戦争に賛成だが、副議長であるボーデンハット氏が反対しているために、戦争を始められないのだ。ボーデンハット氏は隣国との調整に奔走しているが、それもどこまで続けられるか。戦争賛成派の議長クリムゾン氏は、なんでも力でねじ伏せる強硬派だ。ボーデンハット氏を失脚させられる材料と見れば、娘のことでも容赦しないだろう。あの子のことを思うなら、クリムゾン氏ににらまれないためにも、何もしないことが一番だ」
ショーは、それを聞いて、ルシンダと少し距離を置かなくてはと思いました。
ショーの顔から笑顔が消えました。
ルシンダが笑顔で挨拶しても、挨拶を返さなくなりました。
ルシンダの悲しそうな表情も、ショーは見て見ぬふりをしました。それが彼女のため、クリムゾン議長につけ入るスキを見せないようにするための、ショーなりの必死の努力だったのです。
そんなある日、初めてのお客さんのくつ磨きをしたときのことです。くつ磨きが完了すると、そのお客さんは何も言わずに、お金をショーに半ば強引に渡して、そそくさと去っていきました。
「あ、ありがとうございました」
逃げるように去っていったお客さんをいぶかしいと思いながら、わたされたお金を数えます。
「あれ、一枚多いぞ」
お札が一枚多いことに気づいたショーは、お客さんを追いかけましたが、もうどこにもいません。
「どうしようかな」
ショーはもう一度お札を確認しました。
「ん?これ、お札じゃないぞ」
ショーがお札だと思っていたのは、手紙でした。
そこにはこう書いてありました。
「今夜10時、教会の裏で ルシンダ」
それは、ルシンダからの手紙だったのです。
ショーは迷いました。
一体何の用事だろう。
ルシンダに会いたいのはやまやまだけど、ここでルシンダがくつ磨きの俺なんかと会っているところをクリムゾン議長に気づかれたら、どんなことを言ってくるか分からないぞ。
いや、待て。
この手紙のことは、俺以外誰にも気づかれていない。
こんなに手の込んだことをするということは、ルシンダも気づいているんだ。人目につくところで、俺と会っているところを見られたら、父親に迷惑がかかるということを。
それに気づいていてもなお、会って何か伝えたいことがあるんだ。
ショーの気持ちは固まりました。
夜10時の教会の裏。
ショーは、くつ磨きの少年たちとの会合があると家族に偽って、家を出ました。夜の10時に子ども一人で出歩くのは不自然です。ショーは、ひと気のない細い裏道を使いました。
教会の裏は夜の暗闇に隠れ真っ暗です。
ショーは、手探りで教会にたどり着くと、壁を背にして夜空を見上げました。夜空を覆っていた雲が切れ始め、その間から月が顔を出します。すると、青白い月明りの中に人影が浮かび上がりました。
ルシンダです。
ショーが近づこうとすると、ルシンダはショーの方に駆けてきました。ショーの目前で立ち止まり、顔をふせます。
「どうしたんだい?何かあったの?」
ショーは、何か悩んでいるようなルシンダの様子が心配になり、先に声をかけました。
ルシンダは、顔をあげました。
「信じていい?」
澄んだ青い瞳が不安げに揺れています。ショーは一瞬、ためらいました。
何かは分からないけど、ルシンダはこれから重要な何かを話そうとしている。それを聞いたら、ルシンダの苦しみを自分も共有することになる。それでも、ルシンダを信じ続けられるか?ルシンダを裏切らずにいられるか?
いや、あとのことはどうでもいい。今、この時のルシンダの不安そうな顔を俺は見たくないんだ。
ショーは、笑顔を見せて言いました。
「ああ、信じていいよ」
ルシンダは一度目をつぶると、ショーの目をじっと見て言いました。
「ショーは、カーケスペレンツを知っている?」
「ああ、むかし森に追いやられた貴族たちが、俺たちに復讐しに来るって話だろ?そんなのうわさ話さ。嘘に決まっている」
ルシンダは、首を横に振ります。
「うわさ話なんかじゃないの。カーケスペレンツは実在するの」
「実在するって言ったって、いったいどうすればその人がカーケスペレンツだって分かるんだい?カーケスペレンツだって証明するものなんて何もないだろ」
「聖剣ベリデシアがあるわ」
「ベリ・・・・何それ?」
さすがのショーも、お客さんとの会話の中で聖剣ベリデシアの話まで聞いたことはありませんでした。
「じゃあ、カイザーロゼって名前を聞いたことは?」
「カーケスペレンツの首領だろ?魔法を使えるって」
「そう。カイザーロゼは、その魔法を使って、王様だけが手を触れることができる聖剣ベリデシアを、人々から隠し通したの」
「王様だけが手に触れることができる剣?そんなものがこの世界にあるわけ・・・・」
「それがあるの」
ショーは、ルシンダの目を見ました。
その目に、偽りの光はありませんでした。
「聖剣ベリデシアは、王様以外では唯一カイザーロゼだけが振るうことができる剣。それが・・・・」
ルシンダは一度、言葉を切りました。
「それが、わたしの家にあったの」
「それって・・・・」
「カイザーロゼはわたしのママ。わたしのママは、カーケスペレンツの首領なの」
ショーは、息を飲みました。
「パパは・・・・。パパは、協議会の副議長。きっと、ママがカイザーロゼだなんてこと知らない。ママは、パパのこともわたしのことも愛してくれている。それなのに、ママがカーケスペレンツだったら、ママはわたしたちに復讐するためにわたしたちのことを愛しているふりをしていたってこと?」
ルシンダの両目から涙が溢れました。
ショーは、ルシンダのことを抱きしめました。
「そんなことない。ベリデシアがあろうとなかろうと、カーケスペレンツが実在しようとしまいと、ルシンダのママはルシンダのママだ」
「協議会は、カーケスペレンツを厳罰に処すると言っているわ。それを隠すことは許されないって。わたしは・・・・わたしはどうしたらいいの?」
ショーは、考えをめぐらしました。
「いいかい、俺はこのことを誰にも話さない。ルシンダも話しちゃだめだ。カーケスペレンツはうわさ話だ。カイザーロゼなんて幻。ベリデシアなんて実在しない。さっきまでの俺と同じ、みんなそう信じている。だから、それをつらぬき通すんだ」
「でも・・・・」
「嘘はいけない。でも、嘘をつくことが正しい時もあるんだ。今がその時なんだよ」
じっとショーの目を見つめていたルシンダは、笑顔になるとコクリとうなづきました。
「ありがとう。俺の話に賛成してくれて」
ショーは、笑顔で言いました。
「一つだけ教えて」
ショーは、ルシンダに聞きました。
「何?」
「ベリデシアの隠し場所は誰にもばれない?」
うなづくルシンダ。
「大広間のあんなところにあるなんて、それが本物だなんて誰も思わないわ」
「それを聞いて安心した。俺たちが言わなくても、ベリデシアの隠し場所がばれちゃったら、元も子もないからな」
それから、ルシンダは教会の前に来ても、ショーの方を見なくなりました。カイザーロゼの正体を知っている2人の関係を誰にも悟られてはいけない。
それは、ルシンダの必死の努力でした。
ショーには、その気持ちが痛いほどわかりました。
そして、ルシンダを守りたいという気持ちが日に日に強くなっていくのを感じていました。
◆
そんなある日のことです。
「ショー、今日も頼むよ。大きい商談がある日なんでね」
「サー、じゃあ、今日は気合の上にさらに気合を入れて磨かせてもらいますよ」
お客さんを椅子に座らせ、足を台の上にのせます。
「この間も、大きい商談がありましたよね」
「ああ、おかげさまで大成功だったよ。ショーが、足先にまで気合を入れてくれたおかげだよ」
「わたしは、外を綺麗にするだけです。商談の成功は、サーの心根が良いからに違いありません」
「ありがとう。そう言ってもらえると、今日の商談も成功する自信がついてくるよ。・・・・でも、それもあとどのくらい続くことやらだ」
「どうしてですか?」
「この間話したボーゲンハット副議長が失脚しそうなんだ。そうなれば、協議会は戦争の決定を下すだろう。もし戦争が始まれば、わたしのような商売は、上がったりだ」
「ボーゲンハット副議長がどうして失脚するんですか?」
ショーは、心の動揺を隠して聞きました。
お客さんが顔を近づけるようにと、ショーを手招きします。
そして、ショーに耳打ちしました。
「ボーゲンハット副議長がカーケスペレンツだという証拠を、クリムゾン議長がつかんだらしい」
「ボーゲンハット副議長が?」
「正確に言うと、副議長ではなくその奥さんだ。その奥さんがカーケスペレンツ首領のカイザーロゼだと」
「その話は本当なんですか?カーケスペレンツとか、カイザーロゼなんてうわさ話の嘘っぱちだと思ってました」
「協議会の中でも、クリムゾン議長のことを疑っている人もいる。わたしも、クリムゾン議長の謀略じゃないかと考えているんだが、その証拠があると」
「証拠?証拠って何ですか?」
「カイザーロゼだけが持っているという聖剣ベリデシアだ。今日か明日にでも、副議長宅に押収に向かうという話だ」
「・・・・・そ、そうなんですか」
ショーはくつを磨き続けましたが、心はここにはありませんでした。
もし、クリムゾン議長が副議長宅からベリデシアを押収したら、ルシンダのママはもちろん、それを隠した罪でボーゲンハット副議長もルシンダも処刑されてしまう。
お客さんの波が途切れ、一人頭を抱えるショー。
どうしたらいいんだ、どうしたら・・・・。
ショーが顔を上げると、夕陽を浴びた七つの神様の像が。
その一番左にあるどろぼうの神様の像。ショーは、ルシンダに綺麗にすると約束して、そのままにしていたことを思い出しました。ショーは、くつ磨きの道具をしまい始めました。
「ショー、どうしたんだい?今日はもうおしまいかい?」
他のくつ磨きの少年の一人が聞きます。
「ああ、約束を思い出したんでね」
ショーは、どろぼうの神様の足元に行くと、くつ磨きの道具の中から綺麗な布巾を取り出し、それで石像を拭き始めました。ルシンダのために何もしてあげられない自分のふがいなさを忘れようとでもするかのように、ショーは石像をひたすら拭き続けました。
日が暮れようとする頃に、ようやくショーは石像を拭き終わりました。
ショーは、どろぼうの神様の像を見上げて言いました。
「どろぼうの神様。綺麗にすると約束していたことを忘れていてごめんね。何も与えてくれないから神様じゃないなんて、俺ってバカだよね。俺、ルシンダに気づかせてもらったんだ。神様に上も下もない。神様はみんな神様だ。人間だって同じだ。くつ磨きでも、協議会の副議長でも、その娘でも、人間は人間だ。大切にしたいものはみんな同じだ。俺には、ルシンダにあげられるものなんかないけど、彼女を守ってやりたいという気持ちだけは誰にも負けないつもりだ。でも、気持ちだけじゃルシンダを守ることなんてできない。俺、どうすれば・・・・・」
どろぼうの神様の像は、何も答えてはくれません。
ショーは、トボトボと家路につきました。
うつむいたまま歩いていたショーは、行く手を塞ぐように立つ黒装束の男に気づいて立ち止まりました。
フードを目深にかぶりその表情を見ることはできません。
ショーがその男を避けようと横に動くと男も動きます。
「俺になにか用かい?」
ショーはぶっきらぼうに聞きました。
「お前は、どろぼうの神様じゃ何も与えてくれないと言ったな」
男じゃない?
その声は、女の人がわざと低い声を出しているようにも聞こえます。
気味悪い思いを押し殺してショーは答えました。
「ああ、でも、神様は神様だ」
「そのとおりだ。だから、与えられるものもあるぞ」
この人、何を言ってる?
「何を?」
「どろぼうの技術だ」
「どろぼうの技術をもらったって、そんなもの使えないじゃないか」
「その力をお前に与える」
「そんなもの、いらない」
「これは、お前への贈り物ではない。ルシンダへの贈り物なのだ」
「ルシンダへの贈り物?それって・・・・」
「考えろ。そして実行しろ」
ふと気づくと、目の前にいた黒装束の男はいつの間にか消えていました。
「今のは・・・・、まさか・・・・・本当に・・・・・神様?」
ショーは、首を横に振ると、妄想を振り切り歩き出そうとしました。そのとき、何かをぶら下げていたと思しきフックが道端に落ちているのに気づきました。
ショーの視線が止まります。
そこから頭上を見上げると、道の両側の建物を渡すようにロープが張ってありました。ショーの目の色が変わります。
犬の遠吠えが、ひとこえ町中に響き渡ります。
遠吠えが闇夜に消えた時、道端に落ちていたフックも、建物の間を渡していたロープもなくなっていました。
「ボーゲンハット副議長はまだ屋敷に戻らないのか」
ここは、クリムゾン議長の邸宅。そこには、ベリデシアを押収するために集まった人たちが参集していました。
「まだです。副議長は、隣国との調整で南部に行っていましたが、今夜遅くには戻ってくるはずです」
「ベリデシアの押収の時には、副議長にもいてもらわないとな。自分の妻が犯した罪と、自分の運命を知った副議長の顔をこの目で見たいからな。踏み込むのは、ボーゲンハット議長が南部から戻ってからだ」
◆
その頃、ボーゲンハット議長の屋敷を囲う塀の上を駆ける人影がありました。
その人影が、屋敷の庭に飛び降ります。
途端に、屋敷の番犬が気付いて吠えたてながらその人影に向かって走っていきます。
自分の部屋にいたルシンダは、犬が吠えているのに気づいて、窓を開けました。庭を見渡しましたが、番犬の姿は見えません。やがて、番犬の声は聞こえなくなりました。しばらく様子を見ましたが、そのまま静かになったので、ルシンダは窓を閉めました。
その番犬たちは、ペロペロと誰かの手をなめまくっています。その手は、犬たちの頭をなでてあげると、人差し指を立てました。
「シーッ」
犬たちは、その声に反応して、何も言わずにその場を去っていきました。それを確認して立ち上がったのは、他ならぬショーでした。
ショーは、犬たちのいなくなった庭を駆けていきます。
ショーは、建物の裏側に回りました。裏側には、建物近くに屋根の上まで伸びる立派な木が何本も立っています。ショーはそのうちの一本にするする登ると、枝を伝って建物の屋根に飛び移りました。ショーは、道端で拾ったフックを屋根の棟に引っ掛けると、フックに結び付けたロープを伝って、建物を降りていきます。
大広間の窓にたどり着くと、ショーは懐から細い針金を取り出し、窓のわずかな隙間からその針金を差し込み、あっという間に鍵を開けてしまいました。
大広間に入り込んだショーは、周りを見ました。
壁には豪華な装飾がしてあり、いくつも絵がかかっていました。
「本物だとは誰も気づかない・・・・」
壁の装飾には、いくつか剣の形をしたものもあります。しかし、それが外せるようにはとても見えません。
ショーは、絵を一つ一つ見ていきました。
すると、絵の中に剣が描かれているものがいくつかありました。
さらに、絵の下にはプレートがあり、一つ一つに絵の題名が記されています。
「『施しの神からの贈り物』・・・・。施しの神?」
その絵は、質素な服を着た若者が、美しい女神から剣を受け取っている光景を描写していました。
ショーは、その絵を見た瞬間に確信しました。
その若者こそは、初代の王様。その王様が美しい女神から受け取っているその剣こそ聖剣ベリデシアに違いありません。
「この絵の中に描かれている剣は絵なんかじゃない。そこに本物の剣がはめ込まれているんだ」
ショーは、絵の中の聖剣に手をかけようとしました。
そのとき、突然声が響き渡りました。
「おやめなさい」
ハッと、ショーが振り向くと、凛としたたたずまいの女性が、ランプを灯して立っていました。
ルシンダの母親に違いありません。
「その絵に手を触れることは許しません」
その声は、鋭い刃のようにショーの胸に突き刺さりました。
この女の人が本当にカイザーロゼなんだろうか。
ショーの胸は、緊張で爆発しそうでしたが、ルシンダの母親の強い口調に気圧されているわけにはいきません。
そう、今ここできちんと確認しなければ。
「変だな。自分の屋敷にどろぼうが入ったというのに誰も呼ばないなんて。もしかすると、この絵のことで他の人に知られたくないことでもあるんですか」
「そんなことは何もありません」
「そうでしょうか?他の人を呼ばないのは、あなたがカイザーロゼだからじゃないんですか?」
その言葉を聞いたルシンダの母親の表情が変わります。
「この絵の中の剣が本物なら、そして、この剣が伝説の聖剣ベリデシアなら、それを振るうことができるのは、王なきあとはただ一人、カーケスペレンツの首領、カイザーロゼだけ」
「バカなことを言うのはおやめなさい。ベリデシアもカーケスペレンツもうわさ話に過ぎません。あなたはまだ子供。何も取らないで出ていくというのなら、このまま逃がしてあげましょう」
「いいえ、逃げません。もし、この剣が本物ではなく単なる絵なら、おとなしく退散します。でも、もし本物ならここにこのまま置いていくわけにはいかないんです」
「なぜ?」
「これから、クリムゾン議長がベリデシアを押収しにここへやってきます。そのとき、この屋敷にベリデシアがあれば、あなたはもちろん、副議長も、その娘さんも捕えられ、処刑されてしまうからです」
「クリムゾン議長が?」
「クリムゾン議長は、この剣がベリデシアであろうとなかろうと、どんな手を使ってでも副議長を陥れ、あなたたち全員を処刑するつもりだ。家族のことを思うなら、ここにこの剣があってはならないんです」
ショーが再び剣を取ろうとすると、その手が直前で止まってしまいました。
ショーは、何とか手を動かそうとしますがビクともしません。
ルシンダの母の方を見ると、その目が黄金色に輝いています。
そのとき、ショーは思い出しました。
「カイザーロゼは魔法を使える・・・・」
「その聖剣を王以外の者に触れさせたら、神との約束を破ることになる。そうなれば、わたしたちの復讐もできなくなってしまう」
「復讐?森に追いやられた貴族たちの復讐ですか?そんな大昔の恨みなんかより、今の幸せの方が、家族の絆の方が大事なんじゃないですか?」
「お前のような子供に何が分かると言うのだ。森に追いやられた貴族たちがどんなに悲惨な目に遭ったか、わたしたちは、鮮明に記憶している。幼いころから、父と母に聞かされ、祖父母に聞かされ、復讐のための方法を教えられ続けてきたのだ。わたしは、その者たちを率いなければならない。ベリデシアの元に集う者たちを導き、復讐を果たすために」
「ママ、その復讐のためには、もういらないのね」
その声に、ルシンダの母親は大広間の入り口を振り返りました。
そこには、ルシンダが立っていました。
「・・・・パパの命も、わたしの命も」
ルシンダの両目から涙が溢れます。
「そんなことはない。ルシンダのママは、過去の呪いに縛られているだけだ。大昔に虐げられた貴族たちの亡霊の呪いにね」
ショーは、言い放ちました。
「呪い?カーケスペレンツの教えが呪いだというのか?」
ルシンダの母親が、黄金の瞳を輝かせたまま言います。
「あなたは、もうその呪いを解いているはずだ。復讐なんて無駄なことだと。その復讐に、家族を巻き込んではならないと」
「お前のような子供に何が分かると言うのだ」
「分かります」
「なぜそんなことが分かる?」
「ルシンダを見れば分かる。彼女があんなにも心根の美しい子に育ったのは、あなたが全身全霊で彼女を愛してくれたおかげだ。そこに復讐のことなど入る余地はなかった。ルシンダを心から大切に思っているとき、あなたの心にはカーケスペレンツも、カイザーロゼもなかったはずだ」
ルシンダの母親の目から、黄金の輝きが失せていきます。
「そう、わたしはルシンダを愛している。わたしの夫のことも愛している。でも、その剣を握ったら、わたしは過去の怨霊の言葉を聞かなければならない。それが、カーケスペレンツの首領の、カイザーロゼの宿命」
「それなら、ベリデシアに触れなければいい」
ルシンダの母親は首を横に振りました。
「その剣は、わたし以外の者には動かせない。もし、わたし以外の者がベリデシアに触れれば、その者の命はない」
ショーは、ルシンダの母親の言葉に、ベリデシアの方を見ました。
俺がこれに触れれば、命を失う。
「わたしは、ルシンダと夫を愛していると言った。でも、その言葉をわたしは信じることができない。わたしの人生は偽りの人生。わたしは、カーケスペレンツであることを隠し、カイザーロゼであることを隠し、夫にも娘にも本性を明かさないまま生きてきた。わたしは、人を欺き続けてきた罪の女。それなのに、家族への思いだけは偽りでなかったとどうして言えよう。わたしは、わたしの愛情が本物だったという自信がない」
「あなたに罪はない。その愛情は本物です」
「どうやって・・・・どうやってそれを証明する?」
「俺もあなたと同じ、ルシンダを心の底から大切に思っている人間だからです。ルシンダを、悲しみや苦しみから守ってやりたいと思っている。だから、分かるんです。もし、あなたが俺と同じ立場だったら、あなたは迷わず俺と同じことをするでしょう。この俺が、あなたの愛が本物であるということの証明です」
ショーはそう言うと、魔法から解かれ自由になった手で、ベリデシアを絵から奪いました。
その瞬間、ベリデシアから凄まじい光が放たれ、ショーはその光を浴びて倒れてしまいました。
「ショー!」
倒れたショーの元に、ルシンダが駆け寄ります。
ショーがつかんだはずのベリデシアはその手になく、ルシンダがつかんだショーの手は、力なくその手から滑り落ちました。
ショーの顔に自分の顔を近づけるルシンダ。
半開きになったショーの唇からは血の気が失せていました。
「だめ!だめよ!息をして、ショー!このまま、わたしを置いていかないで!」
ルシンダは、倒れたままのショーの胸に顔を埋め、泣き崩れました。
真っ暗な空間に、ポツンと明かりが灯りました。
声が聞こえます。
「ようやく戻ったな」
男の声。
「はい」
それは女性の声でした。
そこには、4人の男の神と2人の女神が立っていました。
6人の神は、フードを被り、全身黒ずくめの者を囲んで立っています。黒ずくめの者は膝まづき、頭を下げていました。
「知恵、力、勇気、美、愛、喜び、それらの力が込められた聖剣ベリデシアを、お前は、我々から盗み、人間に与えてしまった」
「その人間は、その剣の力を使い、人々を正しく導きました。その剣がなければ、人間たちはいつまでも愚かなままでした」
「だが、この剣があってもなお、人間たちは争い、憎しみあい、虐げる。人間たちは愚かなままだぞ」
「いいえ、人間たちは、少しずつ賢くなってきています。もう、この剣などなくても、人間たちは互いに教え合い、助け合って明るい未来を切り開くことができるようになりました。聖剣ベリデシアは人間たちには不要。この剣はお返しいたします」
「お前は、人間たちのためにこの剣を盗んだ罪により、どろぼうの神に貶められた。だが、聖剣ベリデシアを戻した今、再び我々とともに立つのだ」
6人の神が、膝まづいた黒ずくめの者に、それぞれ右手をかざしました。
「施しの神として」
黒づくめのの者が立ち上がります。そして、黒装束を脱ぎ捨てるとその下から、黄金のドレスに身を包んだ美しい女神の姿が現れました。
その姿は、大広間に飾られた絵の施しの女神と相違ありませんでした。
「施しの神よ、元に戻ってまず何をする」
「もうすることは決まっております」
「ほう、何をするのだ」
「命を、未来を切り開く命を与えます」
ショーは、ハッと目を覚ましました。
ショーの胸に顔を埋めていたルシンダは、その胸が大きく起伏したのに気づき顔をあげました。
そして、ショーが不思議そうな顔でルシンダの方を見ているのに気づきました。
「ショー!」
ルシンダは、ショーのことを抱きしめました。
「俺・・・・何を・・・・」
ぼうっとしていたショーは、思い出しました。
「そうだ、ベリデシアは?」
周りを見渡しますが、どこにもその姿は見えません。
「聖剣ベリデシアは、光とともに消えました。カーケスペレンツが集う目印もなくなったということです。そして、カイザーロゼの役割も」
ルシンダの母親が、ショーに言います。
「では・・・・・」
「もうわたしは、過去の呪いに縛られません。今までのわたしは、自分に自信が持てなかった。でも、あなたが証明してくれたのです。わたしの愛情は本物だったと」
それを聞いたルシンダは、母の胸に抱きつきました。ルシンダの母はそんなルシンダの背中を優しくなでてあげます。
ショーは、絵の方を見ました。
絵は、施しの女神が、初代の王様に両手を差し出している描写に代わっていました。
ボーゲンハット副議長が屋敷に戻ったタイミングで、クリムゾン議長はベリデシアの押収に踏み込みました。
しかし、屋敷のどこを探しても、ベリデシアは見つかりませんでした。
クリムゾン議長は、この一件で協議会からの信頼を失い失脚。協議会から追放されました。
その後、ボーゲンハット副議長の尽力で、戦争反対が協議会の過半数を超え、戦争は回避されました。さらに、隣国との外交も復活し、安定した平和が訪れたのです。
◆
教会の前に建つ七つの神様の像。
そこに、幼い子に手を引かれた母親がやってきました。
「ねえママ、この神様たちは何の神様なの?」
「じゃあ、教えてあげるわね。一番右から順に、
知恵の神
力の神
勇気の神
美の神
恋愛の神
喜びの神
そして・・・・」
七つ目の石像を指さし、
「施しの神」
そこには、かつての汚れた石像ではなく、美しい女神の像が立っていました。
「七つ目の神様が一番きれい」
子供が言います。
「昔、ここにはどろぼうの神様の像があったのよ」
「どろぼうの神様?なんでどろぼうの神様が施しの神様になったの?」
「じゃあ、そのお話をしてあげるわね」
母親は、施しの神様の台座に腰かけ、膝に子どもをのせると言いました。
「パパとママの出会いのお話を」
最後までお読みいただきありがとうございました。
昨年の冬童話には参加しなかったので、今年は2年ぶりの冬童話参加ということになります。
実に7か月ぶりの新作なので、色々な想いを詰め込んでしまいました。
今年のテーマはおくりもの。
誰が、誰に、何を贈ったのか。
その答えは、読者ひとりひとりにお任せします。
この作品を読んだあと、心が少しでも豊かになってもらえたらうれしい限りです。