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謎事件の始まり

事の始まりは二ヶ月前、クロードとユーリは閑古鳥の探偵社のなかであまり無い書類の整理をしていた時のことだ。ユーリは棚から新たな書類を取り出し、それをクロードに渡す作業を繰り返していた。ユーリが書類を渡したとき、クロードに対し不安げに呟きだした。

「先生~今日も依頼が来ていないんですか~もうこの二ヶ月間は仕事の依頼が一件も来ていないんですよ。今月の家賃どうするんですか?」

「既に三ヶ月分の家賃払ってある。だから心配する必要はないが…確かにこのままだとどんなに節約してもあと半年が限界だな。」

クロードは事務的に話すが、どこだか焦りがあった。それもそうだ。このまま仕事が来ないと事務所が潰れ、路頭に迷ってしまうからだ。内職でもしようかと考えたとき、カランカランと不意にドアのベルが鳴った。

「すみません、探偵社というのはこちらでしょうか?」

「はいそうです。すみませんが準備に時間がかかりますので、隣の相談室のソファーにお掛けになってお待ち下さい。ユーリ紅茶を用意してくれないか?」

「先生分かりました。早急に用意します。」

クロードは依頼者に口頭で案内したあと、ユーリに紅茶を用意するよう指示をし、その間に書類の片付けを済ませる。クロードは身なりを少し整えたあと、相談室に入る。

「お待たせしました。さて、どんな依頼でしょうか?」

顔フードで隠している依頼者は何かを考えたあと口を開いた。

「私の飼い猫を探してほしいのです…目を離した隙にどこかに行ってしまったみたいで…私の大切な家族なので見つけてくれませんか?」

依頼者は泣いているような仕草をしながら語った。クロードはどこか違和感を感じ、依頼者の一連の行動と容姿を記憶の片隅に留めておいた。

「分かりました。その猫を探しますのでどこか特徴はありませんか?」

「小柄で目が青く、体毛は白色だけどからだのあちこちに茶色の水玉模様があるんです。」

クロードは依頼者に目を向けると手に赤い何かがついているのが見えた。

「そうですか…ところでその手についている赤いのは一体なんでしょうか?」

「えぇ、これですか?……実は作業中に筆が当たってしまって付いてしまったんです。あのぅそれがどうかしました?」

依頼者は一瞬目をそらした。その動きでクロードの勘が働きだした。問い質したい衝動にかられるクロードだが下手に動けば警戒されて依頼がなくなったら元も子もないのでなんとかこらえる。

「いえ、何でもございません。ただ細かいことに気になりましたので質問してしまいました。気分を害してしまったら申し訳ありません。」

「ビックリしますよ…」

ドアを開ける音がし、クロードと依頼者が振り向くと紅茶を持ってきたユーリが部屋へと入ってくる。

「紅茶を持ってきました。どうぞごゆっくり。」

ユーリは紅茶を出し、お辞儀をして足早に部屋を出ていく。二人は紅茶を飲み終えたあと話を続ける。

「分かりました、お引き受けましょう。ただその猫が見つかるまでいつになるかは分かりませんのでその点はご了承下さい。」

「あの猫が見つかってくれればいいです!後でこっちで何とかしますから。」

依頼者はクロードにお辞儀をした後、部屋からでて探偵社を離れていく。クロードはその後ろ姿が見えなくなったのを確認したら部屋に戻ったあとユーリを呼び出した。

「ユーリ、お願いしたいことがある。」

「はい先生、何でしょう?」

「すまないが猫探しは君に任せた。私はちょっと調べたいことがあるから暫く猫の捜索は出来ない。」

「え、あ、はい。じゃあ聞き込みに行ってきます。」

ユーリは困惑した表情をしながら仕事に向かった。一人になったクロードは獲物を捉えた肉食動物のような顔をし、コートと帽子、杖を手に笑みを浮かべながら目的地へと向かう。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「はぁ~あんたの底無しの探究はいつ聞いてもあきれるよ。あれじゃろ、その依頼者がものすごく胡散臭かったから興味本位で調べたんだね。」

「正解、冒頭の部分を話したから今回はここまで。これ以上喋るとお客の信用に関わるけらここまでにしてくれ。」

「続き気になるじゃないか。」

「また今度!!どうせこの後実況見聞があるから人づてで聞くだろ…」

カリンは高笑いしながらクロードの背中を叩いてきた。クロードは痛む背中をさすりながら支度をする。

「あ痛たたた…こっちは怪我人なんだ、もうちょっと大切に扱ってほしいものだよ。ユーリはどの部屋にいる?」

「隣の部屋だよ。あんたのこと心配してたから早く顔を出してやりな!!」

クロードはまだ痛む右足をかばいながら隣の部屋にはいる。そこにいたのはクロードと子猫と全身甲冑で覆った騎士がそこにいた。クロードは騎士に声をかける。

「久しぶりだヴァレン、相変わらずの変な格好だなぁ。」

「開口一番にその言葉は無いだろう…お前らのこと心配したのに。傷つくぞ…」

兜を外して意気消沈して話しかけてきたのはこの町「レイト」の騎士団団長のヴァレンだ。クロードとは古い付き合いで町の治安を最前線で守っている男だ。

「あの一応ここ教会の治療室だから、フル装備で入ってくるのは失礼だと注意と冗談交えて言ったんだぞ…」

「がはははは、そうだったな。こんなとこあんまり来ないからすっかり忘れていたわ!」

「笑い事じゃないんだが…」

笑って誤魔化すヴァレンに溜め息をはくクロード。そして、

「先生もヴァレンさんも私のことはガン無視ですか!!いくらなんでもひどいですよ!!」

今にも泣きそうな顔になるユーリだが、ヴァレンの何気ない一言によって表情が変わる。

「しっかしまあ|()()()()もこの考え無しの巻き添えを喰らって大変だったなww」

ユーリはヴァレンに対し目線だけで殺せそうなほどの殺気を飛ばしてきた。それだけにとどまらず、全身から憎悪のオーラを吹き出している。驚いたヴァレンはクロードに助けを求めて目線を送るが哀愁の目をヴァレンに向ける。

「ヴァレン、ユーリに対しその言葉は禁句だぞ…今すぐ謝った方がいい…」

「ああ、すまんか…」

「私は男ですよ!!いくらヴァレンさんが冗談半分で言ったとしても絶対に許しません!!なんでいっつもあなたは…」

時すでに遅し、こうなったユーリは手が付けられない事を知っているクロードはヴァレンに提案する。

「すまないがユーリが落ち着くまでしばらくの間私が知っていることを話す。後で落ち着いてきたらゆっくり聞けばいい。」

「そうさせてもらうわ…こりゃーおっかねぇなあ、久々に恐怖を感じたわ…」

互いに苦笑いを浮かべながら部屋を出ていく。

後日部屋に置いてけぼりにされたユーリはクロードに苦情を入れ、一悶着の後しばらくの間大幅給料アップになってうきうきになったユーリ。後に天使の恵と言われる出来事に繋がる訳だがそれはまた別のお話。

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