0、死神
血の味がする。
「弱えぇ。弱えっ! 弱えぇなぁ! やっぱLv60と1のお前じゃあ話になんねぇ!」
手足にはもう、力はほとんど入らなかった。
「全く手応えがねぇ! そんなんじゃ俺の成長の足しにもならねぇぞ!」
「うっ!」
俺は、ゴム玉のように弾んで木へ衝突。
「で、なんなんだぁ? お前の職業は? 草刈屋とかかぁ!?」
気味の悪いほどケラケラと哄笑する男。
「へっ、今度はちゃんと受けてやるよ。そしたら瞬時に殺してやるから覚悟しとけよ?」
再び気味の悪い笑みをして、奴が剣を構える。
「オラッ! はやく来いよ! びびってんのか!?」
「うっ······はぁっ······はぁ······」
俺は立ち上がり、なんとか鎌を横へ伸ばした。
身体に穴が空いてると思った。全身が針で刺されてるんじゃないかと思った。だが、そんな痛みの中でも、表情を殺すのに必死だった。
笑わないように。
「教えてやるよ······俺は――」
もう、これで避けられたらとか考えなかった。
ただ、この攻撃を真っ直ぐに当てることだけを考えた。
その機会がやっと回ってきたのだ。
今にも倒れそうな、死の舞踊にも見える足取りで俺は歩いた。そして、そのまま武器が奴に届きそうな所まで行くと、全身の力を振り絞って跳び、俺は鎌を振りかぶった。
「死神だよ」
「あ――」
奴の身体は言葉らしい言葉を発する前に、真っ二つになった。
一目で、もう、動かないと分かった。
············はっ、ははっ。
三日月のような刃からは奴の血が滴る。
······あぁ、こりゃあいい。
レベルが上がりました。
Lv1→Lv47
スキル【腐食】を獲得しました。
スキル【ピンポイント】を獲得しました。
スキル【幻覚】を獲得しました。
スキル【無音】を獲得しました。
スキル【透過】を獲得しました。
スキル【無心】を獲得しました。
スキル【暗幕】を獲得しました。
次話より本編――第一章に入ります。
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