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令嬢と女子高生の強制交換留学  作者: 木白
プロローグ side カトレア
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目が覚めたら、不法侵入されていた

ベタ展開は突然に……!

 なんだか、とても体が痛い……。

 一体どうしたのかしら?


 やたら体中が軋むように痛む。朝食前に、マッサージでもしてもらった方がいいかもしれないわね。

もしかしたら昨日のダンスのレッスンで少し無茶をしたせいかもしれない。まぁ私ほどの実力者となると、凡人のそれとは違って、より優雅に、より美しく、そしてより大胆に、観衆を惹き付けるのが義務というもの。レッスンに少々熱をあげすぎたのかもしれませんわ。


 それにしてもこんなに体が痛むなんて、我ながら意地っ張りな性格が祟ったというか、なんというか……。

 毎日体力づくりは欠かしていなかったとは言えども、あの程度のレッスンでこんなにも疲れを貯めるとは、まだまだ精進せねばいけません。


 体を酷使した日は、それなりに身体を労るよう、入念なストレッチや、リラックス効果のあるお茶を飲んで、身体を休ませるようにはしていたけど、まだまだ、自分の体調管理ができていない証拠。

 このことを教訓とし、しかりと次に生かせねば。


 とは言え、とりあえずマーサが起こしに来るまで、もう少し寝ていてもかまわないかしら。どうにもこうにも体調が優れないんですもの。もう少し眠れば、多少はよくなるかもしれない。


 そんな言い訳めいたことをうつらうつらと手放しそうな意識の中で考えながら「んー……」っと小さく声を出して寝返りを打とうとしたその時だった。


「サクラ?サクラ!」


「今、サクラが動いた?!動いたわよね!!」


「サクラ!サクラ気づいたのかい?!サクラ!」


 なにかしら?

 人が、うとうとしている時に耳元で大声で喚くなんて!マナーがないのにもほどがあるわ。


 突然の騒音に気分を気分を害していると、さらに複数の声とバタつく音が部屋に響き渡る。


「先生!サクラが!サクラが!」


「ちょ、おちついてください!」


「サクラ!サクラ!起きて!!!起きなさい!!!サクラ!」


「ちょっ、ちょっと、だめですって、落ち着いてください!」


 ずいぶんと騒がしい。騒がしすぎるわ!

 マーサの声じゃないことは確かね。こんな野蛮な大声を出さないもの。

 というよりも、レディーの寝室で騒ぎ立てる馬鹿どもは一体どこの誰?聞き慣れない声ばかり。即刻出て行ってもらわないと。

 にしても、この声の主たちはどこから私の部屋へ入り込んだというの?

 一体、護衛たちは何をしているのかしら?ひとつも護衛ができていないじゃない!なんて役立たずな!というよりも、屋敷に見ず知らずのものを入れ込むなんて大失態じゃない。これは由々しき事態!


 まだ夢うつつに、ぼんやりと考えていると、ひときわ大きな声と共に急激に体を揺さぶられる。


「-----ーっ!!!!」


 痛っ!痛すぎるっ!

 痛みが全身を駆け巡る。


「サクラ!!!」


「おちついてください、ちょ、揺さぶらないでください」


「起きなさい!サクラ!サクラ!起きなさいって!」


「ちょっと、ほんとに、だめですって!!!」


「サクラ!サクラ!」


 揺さぶらないでちょうだい!痛いじゃないの!

 なんなの?一体なんなのよ!

 どこの誰だか知らないけど「やめろ」と言われて何故やめない?バカなの?死ぬの?どこの愚民が私にこんな仕打ちを?罰するべきだわ!即刻罰するべき!

 この私に、こんな無礼をはたらく愚か者は今すぐに国外追放は免れぬと思いなさい!この身の程知らずがっ!!!


私の痛みと怒りが頂点に達したときに、またひときわ大きく私の身体がゆすられた。


「おやめなっっーーーーーーーー!!!!!」


 怒りにまかせて起き上がったつもりだったが、雷に打たれたごとく痛みが全身に走抜け、起き上がるどころか目をカっと見開いただけだった。


「さくら!さくら!!!」


 痛みに打ちひしがられている私に、罰を与えられるべき喧しい愚民たちがまたもや不愉快に騒ぎ出した。


 なんと屈辱的な……。


 この不愉快で喧しい愚民達は、一体何者?そもそもなぜ私の寝室で、このような騒ぎが起きているのか。何よりも一番気に触るのが、


「よかった!よかった!サクラ!」

「サクラ、本当にあんたって子は……!」


 誰なの?そのサクラって。


 何故見ず知らずの無礼者が、どこのだれだが存じ上げないヘンテコリンな名前を叫びながら私の方を見ているのかしら。

 わけがわからない。わけがわかららないわ。

 混乱しつつも、起こせない身体で、首をかしげ、見える範囲を見回してみれば……




……何処かしら?ここは……。


とっても痛かったそうです。

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