登場人物&世界観紹介:第4章
第4章に登場した登場人物達や、舞台設定の紹介です。
【主要登場人物】
<エルアーティ=ネマ=サイガーム>
魔法学者であり大魔法使いの少女、の姿をした御大老。魔法都市ダニーム出身。
実年齢はもう60歳に届くそうだが、その体はどう見ても10歳未満の女の子のそれで、紫色のローブと藍色のナイトキャップをかぶっている。愛用の空飛ぶ箒に横座りで乗り、空を飛ぶことが出来るため、発育の未熟な体に見合わず行動範囲は広い。
魔法都市と呼ばれる場所で"賢者"の称号を賜るほど、その頭脳と魔法使いとしての力量には秀でており、世界有数の大魔法使い、同時に魔法学者として高名である。癖の強い性格をしており、最も目立つのは、好意を寄せる相手を妙にいじめる特殊な性癖だろう。好きな相手の喜ぶ顔を見たがるに留まらず、泣く顔も苦しむ顔も全部見たい、という理念があるかららしい。ユースのことを気に入っているようで、ゆえにユースをその攻撃的な言動の的にすることが多く、ユースにとっては天敵とも呼べる人物でもある。一応のフォローを入れておくと、好意自体は本物であるため、ユースに対して正しい意味での心遣いを見せることも、少ないながらあるらしい。
<カナリア=リットハイム>
アルバーシティで傭兵職を務める少女。旧アルバー帝都生まれの18歳。
後輩気質の敬語を使う女の子で、気の強さを表すかのように目つきもやや鋭い。着なりもへそを出す袖の短いシャツに、ホットパンツにニーソックスというカジュアルなもので、金の前髪を桃色のバンダナで止め、後部ではポニーテールに括っている。
有事の際には、肘と脚を厚手革の防具で固め、革のオープンフィンガーグローブを装備した拳と格闘術で戦う能力を持っている。身体能力も高いようで、騎士ルザニアとの一騎打ちでも見せ場充分の戦いぶりを見せるなど、闘士としての力量は高い。一方で、傭兵業に携わらない夜は、色町で酔っ払いの相手をする副業を営んでいたりと、社会人として自立した生活を送っている。夜の仕事をしていることや、言動が多少荒っぽそうであることから誤解されがちだが、初対面時の変な手つきのアルミナをかなり警戒していた面からも、少女としての貞操観念はかなり強い、根は普通の女の子である。
<イリス=エルジニス>
ニトロの妹にあたる女の子。セプトリア王都出身。17歳。
巻き毛癖のあるオレンジの髪は腰まで届き、普段着のように着こなす綺麗なドレスという出で立ちから、身なりも挙動も一国の姫様を思わせる風貌である。垢抜けない少女顔は男性諸君らからも可愛がられる対象であり、実はさほど高貴の生まれでないにも関わらず、セプトリアの人々からは王女様のように扱われている。
ニトロが女王ナナリーの許婚という事情から、その婚姻が結ばれれば王族の血縁者となる身ではあるも、本来ニトロとイリスは両親が一般庶民であったため、現状の本質的な地位は単なる平民である。幼い頃は、普通に学校に通うだけの女の子で、下町に今でも親しい友達が多いようだ。兄が王女様の許婚となり、自分の立場も変わるということで、礼儀作法や振る舞いを今も日々磨いてきた身であり、昨今形になりつつあるたたずまいも、彼女が短い歳月のうちに一生懸命身につけた風格と言える。
誰がどう見てもわかるほどハルマにベタ惚れでありながら、彼女の中でもそんな身分違いの人に想いを打ち明けることに、葛藤があったりもするらしい。将来的には女王様の義理の妹ということで、姫様的な扱われ方をされてはいるが、当人の中ではそんな自分に対し、まだまだ戸惑いの方が勝つようだ。
<ヘンリー=エルジニス>
ニトロとイリスの父親。セプトリア王都出身。既に故人であり、享年47歳。
若い頃から剣士としての力量に秀で、庶民の生まれでありながら王国兵、城兵、王側近の衛兵と出世していった、叩き上げの武人である。晩年の実力は、エレム王国の騎士と比べても遜色のないものであり、生前の彼がユースやシリカと剣で勝負をしたとしても、それなりの好勝負になっていたのではないかと言われるほど。気立てもよい人格者であったため、民や王族からの信頼も厚い人物だった。
セプトリア王国がアルバー帝国から独立するための戦争にて先陣を切り、幾多の敵を打ち破った末、アルバー帝国の皇帝を遂に討ち果たした人物でもある。独立戦争の勝利の立役者として、真っ先に名の上がる偉人であり、恐らく今後もセプトリア王国史においては、永遠に英雄として語られていくであろう人物である。惜しむらくも戦線での傷により世を去ったが、今でも彼の墓を見舞う者は、親族のみならず民や王族は絶えていない。
【舞台設定】
<トージュの村>
セプトリア王国領土内の小さな村。露骨なほど汚らしい全景が、知らずに訪れた来村者を驚かせる村である。
国に納める税金や租税などが相当に低く設定された村であり、それはそうした収入を得難い者達を集めるための村であることに由来する。諸事情あって、社会復帰が難しい境遇に置かれた者達が農業に励み、自給自足を営む最後の地、という扱いである。たいした税も納めずに住まう土地を国から提供して貰える環境にあるぶん、国からこの村への援助はさほど行なっておらず、それが貧しい農村全体の、荒廃した風景の一因でもある。ただし、人命を軽んじないスタンスのセプトリア王国らしく、兵や医者の派遣など、最低限の補助は行なっている模様。
一般的な外からの見解では、こんな村に住まうようになっちゃ人生終わり、と陰口を叩かれるような村ではあるが、財政破綻や人生の落とし穴は誰にとっても明日は我が身であり、それが理解できるならあまり嘲笑してはいけない世界でもある。行くあてもなく野垂れ死ぬだけだったはずの人々が、尊厳も何もかも捨てて最後のスローライフを送るのがこの村で、ここで生産される農作物が、国に広がり力になっているのも事実である。
<トージュの沼>
世間的には非常に認知度が低いながらも、トージュの村の密かなる名所。
貧しいゆえに全体的に汚らしいトージュの村だが、村の端にあるこの大きな沼だけは、絶対に軽率に汚すようなことはないようにと不文律が出来ている。大小さまざまな魚が生息しており、その多くが食用として利用できるものであるため、村にとっては貴重な食料源かつ、たまにの贅沢な晩餐を可能とするための生簀のようなものでもあるからだ。自分の住まいを綺麗にすることすら疎かな村人も、この沼を清廉なるままにするためには神経を使うほどであり、結果として村の全容からは想像しづらいほど、水はまるで人住まわぬ山奥の湖のように棲んでいる。
天気が良ければ水面を眺めるだけでも景色を楽しめるこの沼は、認知度の低さ、加えてこの沼に到達する前にはくそ汚い村を横切らねばならぬことから、外からの来客数も非常に少ない。しかし、人里の中にあって安全かつ、これほど綺麗かつ釣りも楽しめる、そんな沼は限られたものであり、訪れることさえ出来るなら、それなりに楽しめる名所としてはっきり遜色ない。一部の物好きか在村者ぐらいしか訪れない秘境、と言える場所ではあるも、色々許容できる価値観と時間を持ち合わせているなら、一度は訪れてみても後悔はあるまい名所である。




