もう少しそばに
今の私の悩み。
だけど、悩みと言うほど困ってるわけでもないかもしれない。
だけど、スルー出来るほど小さなものでもない。
いつからこうなったのかなんて、思い返して見ても心当たりがなくて。
悔しいけれど、考えない日はないくらい。
認めたくないけれど、幼なじみの裕太が気になって仕方なくなっていた。
「愛、英語の教科書貸して?忘れちゃった」
そんな私の気持ちなんか知る由もなく。
裕太は私のクラスまでやってきた。
「…ちょっと待ってて」
私はガサガサと、決して綺麗とは言えない机の中を探す。
「愛が読みたいって言ってた漫画の新刊読み終わったから貸すよ。今日夜家まで取りに来て」
私は裕太の話を聞きながら、特に返事もせず雑な仕草で教科書を渡した。
「はい」
裕太は少しムスッとした態度で私をじっと見て言った。
「聞いてんの?」
私は面倒くさそうにコクリと頷く。
「何か最近態度悪いね」
だってしょうがないじゃない。
自分だってどうしたらいいかわからないんだもん。
「まぁいいや。今日夜、取りに来いよな」
裕太は気付いてるだろうか?
裕太だって最近おかしいんだよ。
やけになついてくる気がする。
この気持ち悪い、難しい距離感に私は戸惑うばかり。
それでも、漫画読みたさに私は裕太の元に向かう。
「裕太ー入るよー」
私は裕太の部屋のドアをノックした。
「裕太?」
返事がなかったので、私はドアを開けた。
「入るよー」
私はゆっくりとドアを開け、裕太の部屋に入ると、裕太はベッドですやすやと気持ちよさそうに眠っていた。
自分から呼んだくせに、寝てるのか。
そんなことを思いながら、私は裕太をじっと見ていた。
そんな自分にはっとして。
そんな自分に気付かれぬようにと私は静かに本棚から漫画を探し始めた。
「…どこだ?ないな…」
小さな独り言を呟きながら探していた。
すると背後から気配を感じ、私はすぐさま後ろを振り返った。
「漫画、そこじゃないよ」
裕太の寝起きの低い声に私はドキリとして、何だか…変な感じだ。
「あ、どこ?てか、裕太が呼んだのに寝てるとかなしだよ」
どうして裕太にドキドキするのか。
部屋に二人きりだからだろうか?
「ごめんね」
裕太はそう言いながら、私の真後ろから私の背より少し高い場所で、本棚から漫画を取った。
「はい。これ」
背後にいるとわかっているから、振り向くに振り向けない私。
裕太なんかただの幼なじみのくせに。
そんな幼なじみに緊張して私は馬鹿みたいだ。
「あ、ありがとう」
私は素っ気ない態度で漫画を受け取った。
裕太の顔なんて見れるわけがない。
だって…。
「愛、ちょっと待て」
「な、何よ…」
私は俯きながら答えた。
「おかしい。愛最近、絶対おかしいよ。俺何かした?」
「はぁ?何急に…」
おかしいのはお互い様のはず。
「俺に態度悪すぎ。嫌いになった?」
「な、何言って…!」
私が裕太を嫌いになる?
裕太に関してはこの先何があっても嫌いになることは一生ないって思っているのに。
気が付けばいつも裕太が近くにいた。
嫌いになるわけなく、気になって仕方がないのはもしかしたら…。
「…その反対なのかも」
私はボソッと呟いた。
「愛?今何か言った?」
私はフルフルと首を横に振った。
「何でもないよ」
それより、裕太もおかしいんだってば。
「裕太もやけになついてくるけど…何なのよ」
私は怒ってるわけでもないのに、少しだけ不機嫌な態度になってしまった。
「そりゃそうだよ。愛が逃げれば俺、追うよ?」
「…何それ」
裕太のちゃらけた発言に自然と笑いが出てしまう。
「愛に嫌われたら困るから機嫌取ってた」
裕太は何のために機嫌を取るの?
どうして嫌われたくないの?
きっと裕太に特別な意味がないことは聞かなくてもわかってる。
そんなの幼なじみだからでしょ?
「俺、愛が好きだし」
一瞬、その言葉にドキリとしたけれど…。
きっと、この意味は違うことを私は知ってる。だから、私も…。
「大丈夫!私も裕太好きだから」
笑って交わすの。
「じゃあ漫画借りてくよ。じゃあね」
私が裕太の部屋を出ようとしたとき、裕太に腕を掴まれ、私は裕太の顔を見た。
「違う。そうじゃない」
裕太の低い声、少し俯いた顔。
最近裕太が気になって仕方がないその理由は?
「やっと言えたんだから、流さないでよ」
裕太の部屋に二人きり。
この距離感がずっと気持ち悪かった。
ドキドキが最高潮に達して苦しくなったとき、私の悩みにどうやらやっと答えが出たみたいだ。
だから、迷いはどこにもない。
もう少しそばに行って、私の気持ちも打ち明けようか。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
幼なじみ…実際恋愛に発展とはあるとは思いますが、どんな感じに両思いになるのでしょうか?(^^;)
振られたら気まずいと臆病になるタイプの人にはなかなかの高いハードルな気がします笑!!




