間章
どうしたんだ暁? 急に俺のところに来るなんて。珍しいじゃないか。
え? どうして自分たちを助けて保護してくれているかって?
そんなの俺の心が昔語りに登場する聖人のように清く広大だから――ってわかったわかった真面目に話すからそう睨むのはやめろ。
正直な話な、俺って昔は、お前たちみたいな魔剣が嫌いだったんだよ。他の人たちみたいにな。おい、そんな顔すんな。『昔は』って言っただろ。今は違うんだよ。……でもな、当時は魔剣のせいで俺の奥さんは体を壊して今も入院生活だからな。英雄なんて呼ばれているけど、あの時はただ復讐がしたかっただけなんだよ。……情けないことにな。
え? それなのになんで自分たちを助けたかって?
憶えてないかもしれないが、実は俺はお前らが産まれる瞬間に立ち会っているんだよ。そうそうお前ら二人が戦場に生を受けた瞬間にな。
その時にお前ら何をしたか憶えているか? 憶えてない? そりゃそうか、お前らまだ産まれたてだったもんな。
お前らはな、思いっきり泣いたんだよ。天にも届くんじゃないかって思えるくらいの大きな声でな産声を上げたんだよ。
その声はな、陽菜が産まれ時に聞いた声と全く同じだったんだ。
それからだな、お前たち魔剣が人間にしか見えなくなったのは。
だからお前らを保護したんだよ。
え? よくわからない? ははっ、ガキには少し難しい話だったみたいだな――