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ジョージのテキスト

2014/12/31 00:05くらいにひっそりと割り込み更新

 この世界は、魔法がある世界です。


 魔法がある時点で地球とはさまざまな法則が大きく異なる事はわかるでしょう。


 この世界にはダンジョンという謎の場所があり、この世界の人々はそこに出現するモンスターや、ダンジョンそのものから資源を得て生活の糧としています。


 また、ダンジョンに出現するモンスターを倒したとき、“生気”と呼ばれる一種のエネルギーが放出され、それを浴びた人間は少しだけ肉体が強化されます。


 モンスターにももちろん強弱の差があり、より強いモンスターが倒された時ほど、強い“生気”を放ちます。つまり、強いモンスターを倒した時ほど肉体を強化する効果は強くなります。



 さらに神という存在が地球の神よりも人間のすぐ近くに存在しています。


 神々はさまざまな加護をもたらし、時に神託を与え人間の営みを助けています。


 神々の加護の一つが“契約”です。


 この“契約”の加護がなければ他の多くの加護も語れなくなるでしょう。

(まだリサーチ不足でいろいろとはしょるけど納得してくれ)


 “契約”の加護は多くの場合、人間同士で行われ、ただの契約と違い加護たる“契約”を交わす場合は、近くに必ず目に見えぬ形で神が立ち会っています。


 神の立会いのもと行われた“契約”は神の御業によって絶対に違える事ができません。しかし、明らかにどちらかに不利な内容の“契約”は神様が認めてくれません。なので、最近はもう“契約”を悪用しようとするやからはほとんど居ません。


 絶対に居ないわけではないので、油断しきってはいけませんが。


 神々の加護はまだありますが、説明は後にします。



 このレドルゴーグという都市では、人間というものが明確に定義付けられています。


 つまり議会から認められ籍を持つ事です。籍を持っていなければ、この街では人間と認められません。


 この都市の法律は、人間でない者を守ってくれるようにはできていません。人間が人間でない者を傷つけ、殺してしまっても、殺した方を咎める法律はなく、逆に人間でない者を守るために人間を傷つけた人間は、人間を傷つけたとして法に罰せられます。


 籍を取得するには三つ方法があります。


 一つ目は、両親を含め十人の人間から保証される事。ただしこれは生まれたばかりの子供に限るので、雁沢さんはこの方法を使えません。


 二つ目は、移民として籍の申請を行う事ですが、これには厳しい条件がつけられます。これも雁沢さんが使うにはとても難しいので、省きます。どうしても知りたい場合は後で知りたいと言ってください。決してここで説明するのが面倒くさいわけではありません。


 三つ目は、潜窟者ギルドに所属する事です。雁沢さんが籍を得るために取れる手段はこれしかありません。

(四つ目の選択肢に、籍を取得せずにこのまま過ごすというのもあるけど、これもお勧めしません。理由は、言わなくてもわかるよね?)



 さて、今更ですがこのテキストの本題は、雁沢さんがこの世界でいかにして生残るか、を考えるための参考にしてもらう為のものです。


 ひとまず人間を相手に身を守るには人間として認められるしかありません。


 人間として認められるには上に述べた方法のいずれかをとる必要があり、現在は実質的に三つのうち一つ、ギルドに所属するという方法しか可能な手段がありませんが、これもメリットとデメリット、そしてリスクが存在します。


 まず一つに、潜窟者はモンスターとの戦闘を前提とした職業である事。当然、傷つく覚悟、命を賭す覚悟が必要です。これが最大のデメリットでありリスクです。


 生きるために死ぬかもしれないというのも矛盾した話だと思うかもしれませんが、地球でも意外とこういった側面はありました。ここは一つ、スッパリと諦めましょう。


 それに、モンスターと戦闘では必ずしも死の可能性がついてまわるわけではありません。弱いモンスターから順に戦って経験を積み、心強い仲間を得るか、それに匹敵するだけの戦闘力を個人で身につければ、死のリスクは限りなく低くできます。


 ギルドに所属する事でギルドカードというものを得られます。これは先に述べた“契約”の加護をもちいての加入が必須で、ただの口約束ではギルドカードを得る事はできません。


 ダンジョンの攻略にあたって、このギルドカードの取得は絶対とまではいかないまでも、有ると無いとでは非常に大きな差を生むものです。ギルドカードの取得は同時に、“ジョブ”という重要な神の加護を受けられるからです。


 “ジョブ”は、パン屋やシェフ、会社の営業や事務などといった地球でも一般的だった“職業”と呼ばれるものは大きく異なります。


 “ジョブ”の加護は“スキル”という常識を超えた戦うための力を授けてくれ、同時にその系統の“スキル”を新たに習得しやすくしてくれます。この“スキル”も地球で言う何かしらの“技術”や“資格”とはまったく異なります。


 地球での“技術”とは、自分の意思であとから身につけ、技術を持っている事の証明が“資格”であり、“職業”とは肩書きでしかないものでした。この世界にもそういう意味での“職業”は存在していますが、潜窟者における“ジョブ”にこれはまったく当てはまりません。


 この世界の“ジョブ”は、いくつかの自分の希望に沿う形で神から授けられ、その“ジョブ” に就いた瞬間に、“ジョブ”に応じた“スキル”を習得します。


 そして“スキル”は習得した瞬間から、まるで生まれた時から持っていた知識や技術であるかのように使いこなす事ができ、繰り返し意識し使い続ける事で、さらに習熟し磨く事のできるものです。


 “ジョブ”とはいくつかの“スキル”をまとめた物、という言い方もできるかもしれません。

(しかし、本来そのジョブでは習得できないスキルでも、すでにそのスキルを習得している誰かとの契約によって教えてもらう事ができるらしい。だからジョブという加護の本質はスキルだけではないのかもしれない。この辺りもリサーチ不足だ)


 その“ジョブ”に就くだけで“スキル”という戦いに役立つ手段を使えるようになり、その“ジョブ”には潜窟者ギルドに所属するだけで就けるのですから、これは大きなメリットと言えるでしょう。


 しかし、潜窟者ギルドに所属することで就ける“ジョブ”はほとんどがモンスターとの戦闘を、更にいえば、ダンジョン内でのモンスターとの戦闘を前提としているものばかりです。中にはモンスターが遺したアイテムがいかなるものであるかを『鑑定』する、


『鑑定者』といった補助的なジョブも存在しますが、そういった戦闘に向かないジョブであっても強くなるためにはモンスターを倒さなくてはなりません。


 つまり、潜窟者ギルドに所属するという事は、その時点で戦闘を前提としない一般的な職業に就く事の妨げになるでしょう。これも、デメリットのひとつとして数えなければなりません。


 

 メリット・デメリット・リスクに関する問題は以上ですが、最後にもう一つ。


 潜窟者ギルドに所属すると、レドルゴーグという都市に対して収めるべき税のほとんどが免除される代わりに、ギルドメンバーごとに神より課せられる義務が発生します。


 納税の義務は潜窟者ギルドに所属するすべての人間に発生するものなので、それが免除される代わりに何かをやらなければならない、という事自体は、メリットともデメリットともいいづらいため、注釈としてここに書いておきます。

(この義務、ノルマについては俺もよくわからない。どうやら普通はギルドマスターを通して各メンバーに申し付けられるらしいんだが、俺がここに入った時には何もいわれなかった。そのまま今まで来ていてとくに不都合も起きていないし、マール、モンド、ヒュールゲン、スドウドゥ、トゥトゥルノ、カルサネッタ、この六名がギルドに加入した際に立ち会ったが、そういった事は言われていなかった。あとでちゃんと聞いてわかったら教える。それか、雁澤さんが直接ランナに聞いてみてもいい)



 ここまでで、レドルゴーグで生きていくための手段として潜窟者ギルドに所属する事を選んだ場合のメリット・デメリットは理解できたと思います。


 次は潜窟者としての選択肢を知りましょう。


 ただ一口にモンスターと戦うといっても、いろいろな戦い方があります。


 大まか、前衛、中衛、後衛、特殊、の四つにわけられますが、特殊に分類されるジョブはほとんどありませんから、ここでは前、中、後の三つをよく憶えましょう。


 前衛と後衛は読んだ印象そのままだと考えてかまいません。


 前衛は剣や鎚などを持ってモンスターに直接攻撃して戦います。

(アラシ、ヒュールゲン、スドウドゥがここに入る)


 後衛は逆に、弓矢や魔法を使い遠隔攻撃でモンスターと戦いますが、ここに

回復や支援も含みます。


 魔法や神に奇跡を願い傷ついた仲間の傷を癒したり、魔法や神の加護を仲間の武器や防具に与え攻防の支援をしたり、歌や音楽で仲間の動きを支援したり、逆にモンスターの動きを鈍らせたりと、内容は多岐にわたります。

(モンドが見習い魔法使い、マールが見習いヒーラーでここだ)


 中衛の定義は少し複雑です。大まかに定義は二種類あり、まずは単純に近距離でも遠距離でもない中距離から攻撃を行う職です。

(ランナ、カルサネッタが鞭使いという事でここに入る。ネッタは頭に見習いがつくが)


 そして二つ目の定義は、前衛と後衛を状況に応じて使い分けられるジョブ、両方できるトリッキーなジョブもここに含みます。

(魔法剣士として剣術による近接と魔法による遠隔と両方こなせるロックがこれだ)


 それぞれ、その方面に興味が強い人が自然とそのジョブを与えられるようです。


 ちまちました戦いは嫌いだ! という人は前衛ジョブに。直接殴るのは苦手だけど遠くからひっそりスナイプするのには興味が、という人は後衛ジョブに。どっちも苦手だけど石とか投げたり走り回ったりして敵をかく乱したい、という人は中衛ジョブになりやすくなります。


 また、ジョブは後からチェンジする事も可能です。ある程度はじめのジョブをこなしてみて、やっぱり自分には合わないなと思った時は、全く別系統のジョブであっても就き直す事ができます。


 ここで特殊なジョブにも触れておきましょう。


 特殊は文字通り、前、中、後のどこにも分類しきれない特殊なジョブです。そのため、どういった条件でそのジョブに就けるのかもあまりわかっていません。


 できる事、得意な事もそのジョブによって全く違い、一口に何ができるとは言えない、まさに特殊なものです。

(俺も一応、見習いダンジョンマスターという特殊なジョブだ。もう一人この街の有名人でサディカという人がいて、その人はメカニカルサマナーというジョブだそうだ。どっちもまだ詳細がわからない)



 ここまで読んで、雁澤さんはどんな職業に興味がわいたでしょうか。


 今まで戦いなどとは縁の無かった日本人が、いきなり戦えと言われ、この中から好きな武器を、戦う手段を選べと言われてもきっと困るだけだったでしょう。だから今、この世界にある戦闘スタイルの大まかな区分を紹介しました。


 一番最初に就ける“ジョブ”はその人の意思と好みに大きく影響を受けます。たぶん神様が本人の意思に沿うようにしてくれているからです。ですので今からでも、これなら自分に向いているんじゃないか、あるいは、これなら興味がある、という事を決めておいてください。


 試してみてやっぱり向いてなかったかもと、別のジョブに就く事もできるのですから。



 ここからはあの時の繰り返しになります。


 雁澤さんの最終的な目標が、地球へ帰る方法なのか、それともこの世界に居場所を見つける事になるのかは、やっぱりまだわかりません。


 けれどもどちらを選んだとしても、あるいは違う選択になるのだとしても、この世界ではわれわれ異世界人を守ってくれるような組織や団体というのはないでしょう。あったとしてもすごく胡散臭いです。


 だとすれば自分の身は自分で守るしかありません。戦う力は、そして仲間がどうしても必要になるでしょう。



 戦う事を恐れないでください。



それではみなさま、良いお年を

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