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再び南方へ
夕方からは看護婦さん達の手も借りて見張りを続ける。船長の赤木少尉の話しでは(先行している連中が襲われてないから大丈夫。)らしいが安心出来ない。何もしていないがクタクタになった。無線封鎖の為海軍からの情報を聞いているしかなかった。 寝不足で迎えた4日目の夕方、航海長の寺田少尉がやって来た。「先に行った連中が喰われたらしい。損害は軍機に触れるんで言わないがどうも壊滅らしい。」聞いているとどうも不正確だが、仕方ない。敵も放送を聞いている。本当の所が言えないのだ。「済まんが浮き輪でも用意しといてくれ。」 秋谷に水筒と乾パンなんかを準備させ各自携帯する。「大砲の訓練とかしなくて宜しいですか?」心配そうな顔をした田口が聞いてきた。「無駄な事はせん。どうせ撃たれたら終わる」熊さんが酒をカバンに詰め込んでいる。「そうそう、アホみたいにしがみついて死んでしもてもつまらん。先の一手考えんと。」 ご飯を交代で食べ、見張りが疎かにならないようにしていた。