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戦の舞  作者: 闇の獣性
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第2章 — オーディション

階段は古びた金属と、安い香水に混じったアルコールの匂いがした。ひとつひとつの段差が脈動のようにカイトを下へ、下へと導き、血の中で鳴る音へと近づけていく。地下クラブには看板がなく、鉄の扉にだけ落書きがあった──赤い目をむき出しにした顔が誰かの手で描かれていた。扉の先は細い廊下で、人いきれが揺れていた。押し合う身体、電子煙の残骸、静脈のようにジグザグと走るLEDの配線。


メインホールの扉が開いた瞬間、騒音が波のように彼を打った。重いビート、軽いビート、叫びがリズムへと変わる。中央にはモジュール式のプラットフォームがいくつも浮島のように配置され、その周囲には即席のテーブルや椅子が敷き詰められ、指にはめたリングをコップに打ちつけて拍子を刻む者たちがいた。壁には象形文字のような記号──三本線とスタイライズされた拳の旗が掲げられ、ここがどこに属する領域かを示していた。別の角には巨大なスクリーンがあり、過去の戦いの結果が映し出されていた。落下の瞬間、勲章のように刻まれた傷のある顔たち。


カイトはほとんど息をするのを忘れた。視線が──まだ彼にではないが──その空間へ向いていた。そこは戦いとダンスが交錯する場所。中央では小さなプラットフォームが、ふたりの足に押されて震えていた。対峙する二人のダンサー──攻撃と美のデュエットを踊る者たち。短い動き、フェイント、計算された押しで、一瞬だけ片方が重心を失う。観客は息を呑む。ここでは規則が残酷なほど明白だった:落下 = 敗北。暴力が演出であっても、危険は本物。


革のジャケットを着た男がカイトへ近づいてきた。賭場で目が鍛えられたような眼差し。サーキットの受付係で、顔馴染みの計算高い笑みがあった。


「初めてか?」

驚きのない声で。


カイトはうなずいた。その一言は闇に落ちてビートに吸われた。


「見せたい若いのが並ぶ順番待ちがある。」男は続けた。「オーディションは数分おきだ。百払って列に入れ。三ラウンド耐えたら、今夜の本戦に出られる。」


カイトはポケットを探り、自分がかき集めたわずかなものを見つけた。くしゃくしゃの札、刻印のある金属片、そして住所の書かれた紙。彼は払った。金だけではない──存在するという浅く鋭い宣言でもあった。彼はゲームに入ったのだ。


奥ではDJがプレートを操り、音を外科医のような精密さで切り貼りしていた。ヘッドフォン越しに指令を送る──イントロ、ビルド、ドロップ──そのたびにプラットフォームのパターンが変わり、安定の道か、敗北へ滑る罠かが生まれる。ここでのダンスは適応の試験だった。武器が出る戦いもあった──小さなネット、ゴム製の棍棒、衝撃弾を撃つ装置──だがいつでも“倒す、殺さない”が原則だった。危険はある。だが死だけは禁忌。コミュニティには循環する名前が必要だから。


カイトは観察した。ダンサーたちがアレンジと完全に同期し、グルーヴの裏に攻撃を隠し、ポーズの影にクリンチを潜ませる様を。彼は欠点を読み取った──足の終わりが甘い瞬間、軸がぶれる瞬間。それは汚れた譜面を読むようなもので、彼はそれを自分で演奏する飢えに駆られた。


名前が呼ばれた──「カイト」。

ほんの一秒、静寂が彼を包んだ。それは長い和音のようだった。観客は無関心ではない。一人ひとりが光と影を宿し──賭け、証明、あるいは新たな才能が台頭して領地を奪う瞬間を期待する眼差し。地下には地下のスターがいる。そこへ上がれば部下がつき、領地を得て、尊敬を得て──そして敵も増える。


彼の手はわずかに震えた。プラットフォームへ上がると、床が脈動して足裏を撃った。向かいの相手はサーキットのベテラン。頬に刻まれた傷、かつて笑いを失ったショーマンのエンブレムをつけた上着。男は嘲りの笑みを浮かべた。「俺と踊りたいのか、坊主?」


審判が現れた──重いコートと電子義眼の男。手を叩いてルールを告げた。

二分三ラウンド。落下で敗北。武器は審判が許可したときのみ。致死行為は即追放。


審判はカイトとベテランを順に見た。腕が上がる──そして試合が始まった。


カイトは深く息を吸った。音楽が熱い液体のように体へ侵入する。彼は独りで練習したステップから始めた。横へのスライド、偽のフリーズ、腰への押しを隠したローキック。孤独を抜けてきた身体が、技術を見世物へと翻訳しようとする。ベテランは待ち、驚いたふりをし、ショーマン的な大きな動きと隠された投げ技を織り交ぜて返した。


第一ラウンドは神経の試験だった。カイトは即興へと追い込まれた。サトウから正式に教わってもいない空手、柔術、柔道の混合を本能で呼び起こし、路上セラピーで見た動き、擦り切れた映像の記憶をつなぎ合わせた。ダンスの一歩をクリンチに変え、相手を引き寄せ、投げ──観客を空気の中で凍らせた。だがプラットフォームは動き続けた。パネルがせり上がり、小さな隙間が生まれ、ベテランは揺らぎを利用してカイトを縁へ追い込んだ。カイトの足が床を探し──そこには風しかなかった。


そのとき、奇妙に心地よく、同時に危険なものが肩を走った。前章で彼を救いかけたあの感覚──鋭さ、優位の約束。彼は爪を立てて縁をつかみ、反動を感じた瞬間、勢いを反転させるように回転した。観客が叫ぶ。第一ラウンドは両者立ったまま終わり、荒い息の中でカイトは小さな勝利の熱を感じた──戦える証明。


裏では囁きが始まっていた。

「彼か?」

「ディストーション持ちらしい。」


言葉は電気のように流れ、まだ全体を照らしはしないが、確かに回っていた。カイトも聞いた。胸の奥が締めつけられた──好奇心、恐怖、可能性。弱さでそれを無駄にしたくない。代償を払う力に屈したくもない。


ベテランはインターバルでも威圧してきた──鋭い言葉、過去の落下の記憶。しかし二ラウンド目に入ると、観客はもう感じていた。そこには技術だけではない“何か”があると。カイトは動いた。ビートが空中に地図を描くように。それをなぞるように。そして三ラウンドの半ば、彼は攻撃というより舞に近いコンボを放った。ステップの連続が蹴りを偽装し、ベテランの重心をずらし、バランスを奪った。肩が金属に触れ──落ちた。


小さな落下だった。だが決定的だった。

審判はカイトの腕を掲げた。

音が爆発した。街全体が抑えていた拍手を解放したようだった。


バーでは賭けが書き換えられ、アマチュアのカメラが試合を撮影し、ノートを持った男が書いた──

「新星──カイト──“声”の可能性?」


プラットフォームを降りたとき、肩に手がいくつも置かれた。尊敬、あるいは興味。革ジャンの男が再び現れ、囁いた。


「ローカルトーナメントに参加するか?土曜からだ。優勝すれば地域サーキットに行ける。それと──カイト……もしお前に“何か”があるなら、見ている奴が必ず現れる。」


言葉は重かった。物体のように。

“見ている奴ら”──隠れたスポンサー、ギャングの頭、企業の目。拍手を送る者とは違う。

彼らは運命を決める目だ。


出口へ向かう途中、名前の書かれた紙を折ってポケットにしまったとき、フードをかぶった人物が彼の腕に触れ、善でも悪でもない、ただ避けられない言葉を落とした。


「お前の中で目覚めるものに……気をつけろ。」


カイトは顔を上げた。返事をしようとした瞬間、その人物はもう迷路のような陰へ消えていた。

外では雨が少し弱まっていた。

彼はトーナメントの紙を見つめ、歯を食いしばり、存在を誓った。

街は上では無関心のまま。しかし地下では、何かが形を取り始めていた。



---


次回へ続く:


紙を折ったとき、裏側に手書きの警告が刻まれていた。

「もしディストーションが現れたら──一人で戦うな。」

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