0-2 カコのはなし1
シノビと呼ばれ、隠密行動に特化し、偵察、暗殺、護衛などの任務を主に任せられる職業。
その中でも王家や一部の高級貴族からの依頼しか受けない孤高なシノビ一族_『カクレ』
そんなカクレ本家、母屋の地下一階には独房と呼ばれる部屋がある。四畳ほどの狭い空間に水を汲んだ桶が一つ。外から鍵がかけられており、その鍵は統領である父だけが持っていた。
その空間が私の部屋だった。
1日の半分以上をそこで過ごした。睡眠も食事も独房の中だった。
1日10時間程度の修行があったから、外に出られなかったわけでなかったけれど。
修行の時間が一番過酷だった。血を吐くほどの走り込みと数時間に及ぶ筋トレ、リンチされるだけの戦闘訓練。
それに比べれば、独房の中は平和だった。独房ではひたすらに瞑想をした。食事中も睡眠中も。それが父からの命令だったから。誰にも自分の存在を気付かれぬように気配を消す訓練だと言われた。
こんな待遇を受けるのは私が能無しだからだと聞いた。父の実の子供ではなく本家特有の魔術適正が無いからだ、と。戦闘訓練で兄弟から足蹴にされながら知らされた。
それでも、母は私を愛してくれた。
たまに独房に現れては私の怪我を治療してくれた。お陰できつい訓練にも耐えられた。
「あなたは私とカゲツの子よ。きっと強く優しい子になるわ。ごめんね、あとすこしだから」
私はその母の言葉を信じていた。
重たいですね、すいません。あと、もう、もう少しで平和になるので…!!!
気楽に読んでいってください(・ω・`)