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いつか居た夏の居場所。

作者: すみ いちろ





自転車押して登る あの坂道の


向こう側の景色 知らなかったこの街の


ずっとずっと 青空の


夏の真下


白い 白い入道雲の彼方のこと


君とおしゃべりしてた時間


神社の赤い鳥居に吹く風の


誰も居なかった 一人で見ていた陽射し


海が見える 髪に吹く潮風


片手で前髪 掻き分けて


ここから見える 岬


灯台へと続く 曲がりくねる道


道沿いに灯る 海岸沿いの明かり


夜に灯る 蝋燭のような


遠く 遠く 離れた光


今は居ない いつかの


いつもの変わらない家並み 


昔と変わらない浜辺


貴方が居た場所


一人過ごして 歩いてた


足跡 振り返っては


寄せ帰る 波


通り過ぎていく 想い出


砂浜に飛ぶ ウミネコたちと


澄みきった星空の向こうに


名前を呼ぶ


今は目を閉じて 眠っている


潮風に 背中の髪を 靡かせて


白い波のきらめき 浜辺の砂粒に消える 


いつかみたいに


風 凪いで


星と月を映しとった 水平線を見つめて


吸い込んだ空気 胸の奥


高く 高く 込み上げる


真夏の 夜の空気


貴方の知らない 私の心臓の音 


未来は 渦巻いて

 

絶え間なく 飲み込む


押し寄せる波の もっと沖へと


吸い込まれていった気持ち


まだ 触れたことのない素足で


冷めない夜の 波に濡れた砂地に触れる


赤くなった 真っ白な足の裏 


気にしてる


誰にも見せたことのない素顔


真夜中の海に浮かぶ 満月のような


心に想う人 一人だけ 


凪いだ 風  くらくら揺らめく 波


蜃気楼のような 八月の夜空と 


蛍みたいに浮かぶ 星と月の明かり 水平線


海の孤島に居る 私の居場所


離れ離れだよね 君とは


眩暈して 煌めいてた 


追いきれないほどの時間


幾千も流れ行く 燈籠流しの川 光る流星群


星々の煌めきは 化石になるほど 遠く


神様の手から こぼれ落ちては 降り注ぐ


いつか見た未来の 二人の上に


まだ終わらない 遠い遠い 時間の続き









 






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― 新着の感想 ―
[良い点] とても綺麗な詩ですね! ちょっと切なげで静かな雰囲気が良いですね。 素敵な作品をありがとうございました!
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