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政治経済エッセイ

【出生率過去最低】「子育て支援策」と「少子化対策」を切り分けなければ少子化は更に加速する【東京は0.99】

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただき誠にありがとうございます。


 今回は出生率が1.20となり、東京都に至っては0.99とついに1すらも割り込みました。

しかし、それに対する政府の「少子化対策」の酷さについて改めて指摘していこうと思います。



◇結婚数も過去最少でこのままでは全国平均でも1を切る


 

質問者:

 改めてみても少子化が進む形ですよね……。



筆者:

 更に言うのなら同時に発表された結婚数が2023年は47万4717組と、2022年より3万213組減少し、戦後、最も少なくなったことにも注目したいですね。


 現在、結婚数と子供の数には少し年数は遅れるそうですが、かなりの相関関係がありますので数年後のさらなる少子化もある意味「保障」されてしまっているわけです。



質問者:

 そんなところが保障されなくても良いんですけどね……。

 24年6月5日には子ども・子育て支援法などが改正が参議院で可決されたそうなんですけど、それにはどんな内容があるんですか?



筆者:

 まず“財源に3兆6000億円”とか言い始めている時点で問題外です。

 「ゆりかご」と引退された高齢者に対して予算を付けている段階で正直なところ終わっています。


 増え続ける引退された方の保障にも生まれたばかりのお子様への支援金にも現役世代が負担させられては疲れ果てるのも当たり前です。



質問者:

 内容についてはどうなんでしょうか?



筆者:

 「北欧と同じだけのGDP割合の支出キリッ!」という事のようですが、

 そもそも23年のデータで出生率がそれぞれスウェーデン 1.45 、ノルウェー 1.40 、フィンランド 1.26と北欧自体が少子化しています。


 彼らと同じような少子化対策をしても改善しないことは明らかです。


 唯一先進国で出生率が高いアメリカとフランスは移民が子供を産んでいるだけで、元からいたアメリカ人、フランス人は子供を産んでいません。


 これらのことから総合すると彼らから学ぶことは問題外であり、

これまでとは全く違った対策をしなくては「異次元」とはとても言えないと思います。



質問者:

 日本独自の画期的な案とかは無いんですか?



筆者:

 失笑するような案ならありますよ。

 キッチンの対面化改修に最大89000円/戸、内窓設置に最大124000円/箇所、ドア交換に最大45000円/箇所とか住宅メーカーへ忖度かな? と言うような内容です。


 そもそも新居を買うことが出来ない人に対しては全く関係ない話であり、

 3人目同時に大学在籍時には大学無償化と同じように、

持つ者と持たざる者の格差がより広がることでしょう。



◇「子育て支援策」は「少子化対策」ではない



質問者:

 本当に笑うしかないですね……。一体どういう少子化対策ならいいのでしょうか……。



筆者:

 そもそも児童手当などのお金の給付も含めた「産まれた後」に行う政策の全ては「子育て支援策」と言えます。


 「子育て支援策」を全くやるなとは言いませんが、各国が同じような「子育て支援策」をやってダメとなるとそれらは「少子化対策」としては効果を出していないことを意味するのです。


 仮に「子育て支援策」が「少子化対策」になるためには子供を産んだ段階での大きなインセンティブが無ければなりません。

 子育てには大学卒業までに2000万円ほどかかると言われていますから、

 最低でも毎年100万円ぐらいの子育て支援金を出さなくてはお話にならないのです。


 現状の日本の子育て支援金は増額されても総計180万円ほど出産一時金などを含めても250万円ほどですからこの程度のインセンティブで子供が増えるはずが無いのです。


 現状化学物質による火災に水を撒いて消化するぐらい無駄なことをしています。

 子育て支援策オンリーだと格差が広がるからまさしくその状況だと思います。

(化学物質による火災に水を撒くと逆に爆発する可能性がある)



質問者:

 なるほど……。

 では「少子化対策」とはどうしたらいいのでしょうか?



筆者:

 他のエッセイでもたびたび指摘していますが、


 少子化対策=結婚増加策=若者貧困対策+将来不安軽減策


 だと僕は思っています。


 厚生労働省もこの出生率について、


「少子化の進行は危機的で、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでが少子化の傾向を反転できるかのラストチャンスだ。少子化の要因には、経済的な不安定さや仕事と子育ての両立の難しさなどが絡み合っているので、厚生労働省として、男性の育休の取得推進や若い世代の所得向上など、必要な取り組みを加速させていきたい」


 と若者への経済支援の理解はしているようですが実情は全くほど遠い対策と言わざるを得ません。



◇結婚数を単に増やすことが対策でもない



質問者:

 どうやったら結婚数を増やすことが出来るのでしょうか?

 最近ではアプリでのマッチングシステムが多いようですけど……。



筆者:

 昨今では、婚活のマッチングシステムを東京都で始めるという事が取り上げられていました。

しかしながら、そもそも求められている年収のラインに引っかからなくて多くの女性から男性としては「足きり」にあっているのが実情なので、民間と行政との間で結婚の可能性が高い人を「取り合い」になるだけだと思います。


 また、結婚数だけでなく同じ時に発表された離婚件数は18万3808 組で、前年の17万9099組より4709組増加、しかも最も離婚をした年齢は男性が35歳~39歳、女性は30~34歳と結婚して間もない方が多いのです。


 無理やり結婚させてもすぐに別れる状況では根本解決には遠いでしょうね。



質問者:

 確かに……。ではどうしたらいいんでしょうか?



筆者:

 やはり、若い方の税金又は社会保険料の免除です。

 現在育児休業中の保険料納付免除と言うのがあるのですが、

 それを思い切って20~30代全てに広げてしまうのです。

 

 勿論追加の負担金はナシです。


 現状は負担金を若い方から徴収して「少子化対策」ではなく「子育て支援策」をしているのですから1万%の確率で「少子化対策」としては失敗することでしょう。



◇東京では「お金が残らない」



質問者:

 一方で東京都で出生率が1を割ったことについてはどうなんでしょうか?

 


筆者:

 皆さん「東京都に住んでいる人は裕福だ」と誤解をされていると思うんです。


 確かに所得そのものは全国トップではあるのですが、何回か出させていただいている、

国土交通省の令和3年1月29日より開催された『企業等の東京一極集中に関する懇談会』での参考資料『企業等の東京一極集中に関する懇談会 とりまとめ』というところからの78ページ目以降のデータを参考に書かせていただきますと、


全世帯の可処分所得 は東京は全国3位 (1位富山)

中央世帯の可処分所得は東京は全国12位(1位富山)

中央世帯の可処分所得-基礎支出(食費や水道光熱費、家賃など)は全国42位(1位三重)

中央世帯の可処分所得-基礎支出+通勤時間の費用換算)は全国47位(1位三重)


 東京一極集中は実を言うと1人当たりの可処分所得の上では貧困化しているのです。

 自由に使えるお金が少なければ当然のことながら子育てに使えるお金が減り、

 子供も減少していくという事です


 特に平均では上位でも「中央値」で見た場合は順位が下がるという事を見逃してはいけません。


 一番多い層が全国で使えるお金が最下位と言うのは致命的だと思います。



質問者:

 なるほど……。そもそもの生活に手一杯では子供とかそれ以前の問題になりますものね……。



筆者:

 後は年金を削られ続けていることも大きいです。

 この理論を提唱している人は少ないのですが、老後の将来不安を軽減することこそ

 先の見通しが立って過度に貯金をする必要もなくなり子供にお金をかけようという話になるのです。


 これはかなり意外と思われるかもしれませんが18歳ですら6割の方が老後に不安があるというデータもあるので、これも実は少子化対策になるのです


 詳しいことは近日中に今行われようとしている年金改悪案をまとめようと思いますので少々お待ちください。



質問者:

 日本人の方は真面目ですから、後先考えない方と言うのは少ないという事ですよね……。



◇今後は優秀な人は海外へ流出して安易に外国人を入れる



筆者:

 今後は将来不安軽減策をしないままですと、国外に優秀な若い方は流出していくことになると思います。

 毎年海外へ移り住む日本人永住者は去年は1万7千人増えて57万4千人となっています。

10年前は41万8千人だったので、10年で15万人以上国外に流出したという事です。



質問者:

 人口減少社会の上に優秀な方から移り住むでしょうからよっぽど深刻ですよね……。



筆者:

 まず外国語が話せないと移り住めませんからね。

 そして足りない人員を外国人で安易に埋めようとしているのですから日本は傾いていくと思います。


 それを少しでも変えるために若者の貧困対策と老後年金制度の拡充を真水で行う事を訴えていきたいと思います。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は「子育て支援策」と「少子化対策」は全く異なるものであり、

 今の状況は「少子化対策が皆無」であることをお伝えしました。


 今後もこのような政治経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていきますのでどうぞご覧ください。

※K泉S次郎氏が『将来に悲観する1億2000万人より将来に自信と楽観を持つ6000万人のほうが強い』と以前おっしゃっていましたが、今のままでは『絶望的な6000万人と搾取して楽観している一部の政治家』という事になりそうです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >お子様への支援金にも現役世代が負担させられ  0歳児選挙権も似たようなものかなと感じています。  今まで高齢者に向けて出されていた政策を、今度は子育て世代に向けますよと。独身は黙って税…
[一言] 家族制度が崩壊する可能性もありますが、 不倫で産まれた子どもとかでも 倫理的にダメとせずに社会として明るくバックアップしていくとかがあってもいいと思っています。 家族制度に縛られて、子の人…
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