表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

鏡の中の自分

作者: 涼吹 翼

みなさんこんにちは、

今日は私が長年取り組んできた研究の成果をお見せしたいと思います。


さて、こちらの光線銃をご覧ください。

どうです?見事なものでしょう。

私はこの光線銃を作り出すのに人生の半分と莫大なお金をつぎ込み、

つい先日完成いたしましたのでございます。



さて、人は誰しもがこことは違った世界に行ってみたいと思ったことがあるはずです。

小さい頃にヒーローに憧れませんでしたか?

ヒーローに限らず魔法使い、侍、あるいは怪獣になりたいと思った人もいるかもしれません。

しかし、それは別の世界だからできるというもの・・・。

この制限だらけの現実の世界ではそういう事をできるのは夢の世界だけではないでしょうか?



そこでです。今日皆さんに集まってもらったのは、ある報告をするためです。

もったいぶらずに話していきましょう。

私はついに長年の研究によって、ついに別の世界に行く方法を確立したのです。

その世界では誰もが自分の今以上の力を発揮する事ができ、

今まで、できなかった事が出来るようになるのです。

そんな夢のような場所があるわけないとアナタは思うでしょう。


しかし、実際にあるのです。

しかもとても近くで、とても簡単に行くことができるのです。



結論から申しますと。



入り口は鏡……そうです「鏡」です。

例え話ではありません。鏡そのものが入り口なのです。

誰でも鏡は持っているもので、一回くらいは鏡の中に入ろうとした人がいるかもしれませんが、本当に入れた人はいないことでしょう。


しかし、鏡の中は、この世界と全くの正反対。

つまり、理論上ではこっちの世界では「できない」ということが正反対になる。

ということは鏡の中では「できる」という事になるのです。

最初のヒーローや怪獣のくだりはこれです。


さて、今ここに来ている方々

アナタはなぜ鏡の中へ入れないと思っているのです?

鏡は硬いものだから入ろうとするとぶつかってしまう。と考えているのでしょうか?


残念ながらそれは大きな間違いです。

鏡の中へ入れない大きな理由。それは、向こう側の「自分」です。

鏡を触ると向こうにいるあなたも鏡を触りますね?

すると向こう側からもあなたと同じ力で鏡を押しているわけです。

これだと入れないのも当然です。

だからといって、向こうの自分よりも大きな力で押そうと無理をすると鏡は割れてしまいます。


やはり皆様は無理だと思うかもしれませんが、そうではないのです。



そこで、この先程のこの光線銃を使うのです。

この光線銃は鏡の中の物を打つと

鏡の向こう側の物は消えてなくなってしまうのです。

信じられないですか?


それでは、誰かを実際に……。







ここまで台本を書いたところで博士はペンを止めた。

「そういえば、実際に物そのものを消した事がないな……。失敗したら大変な事になるだろうから避けてきたのだが……」

博士は光線銃を手に取り。

「そうだ、私が最初の鏡の中へと行った人間になろう」

と言うと、大きな鏡の前に立ち、鏡の中に立っている自分に狙いを定め引き金を引いた。





「まてよ……鏡の向こうの自分が持っているものも、この光線銃と同じ」



結論を急ぎ過ぎると必ず失敗をするものです。

深呼吸をしてもう一度自分を見つめなおしてみましょう。

アナタはなにかを忘れていませんか?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ぞくっときました
[一言]  すごいですね。  人生の教訓になるような物語だなぁと思いました。  こんなストーリーを思いつくなんて、才能を感じます
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ