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9.『模倣』

『そんなことも出来るんですか!?』

 『鑑定』をする魔物は恐ろしく知性が高く、発見次第、即刻駆除対象になる。

 メラさんって本当に魔物なのか疑いたくなる。

 でも、それは人間なのに無詠唱で魔法を使える私も同じか。

 何だか複雑な気分。


『えぇ、勿論。私は情報収集能力に長けています。それ故鑑定することも雑作も無いですよ』

 凄いなぁ。鑑定出来ることもそうだけど、そうやって自信を持って振る舞えるなんて。

 私もメラさんみたいに自信を持たないと。いつまでもぐずぐずしてられない。フェンリルに頼られる私になるんだから!

『じゃあ、お願いします』

『はい。それでは』

 するとメラさんは大きく目を見開く。

 もう、鑑定してるのかな?なら、何を見て驚いてるのだろう。


 暫くして、メラさんは話し出す。

『まず、スキルから。スキル名は『模倣』。内容は、関わりを持った異種族の姿や能力を模倣する。能力は、関係が深ければ深い程、よりその者に近い能力を得ることが出来る。というものです。興味深いスキルですね』

 説明を聞いて、合点がいく。

 メラさんに変身出来たことも、フェンリルの力を使えることも、逆にドラゴンになれなかったことも。

 異種族と関わりを持たないと、このスキルは使い物にならない。

 でも、これはフェンリルと暮らす私にとっては、最強のスキルだ。  


『……?どうしたのですか?セシルさん。そんなクスクス笑って』

『いや、今までずっと不思議だったことが、今かっちりとピースがはまっていったのが、少し面白くて』

 私の言葉を聞いて何を思ったのか、メラさんは私の頭を撫でる。

 私の頭を撫でるメラさんの手は、今まで感じたことの無い温かさで、このまま眠りにつきそうなくらい気持ちが良い……


『セシルさん。スキル以外にも気になるのなら、教えましょうか?』

 私の頭を撫でるのを止め、メラさんは私にそう提案する。

『はい、勿論!』

 知れるのなら知っておきたい。私はどんなことが出来る人間なのかを。

『それなら上から言っていきますね』


──────


 名前 セシル

 種族 人間

 性別 女 

 年齢 九歳

 魔法適性 火<風<光<水<氷<無

 物理適性 鉤爪<斧

 スキル 模倣


─────

 

『こういう感じですね。魔法の適性が多いですね。それだけでなく、複合属性の氷属性や、特殊属性の光まで……適性は遺伝しますので、きっと血筋が良いのでしょう』

『後、家名がありませんね。人間で家名が無いのは奴隷くらいですが、セシルさんの場合は、追放されて、家族と見なされなくなったのが原因でしょう』

 当たり前なんだけど、捨てられて家名が無くなっても、血は繋がってるんだ。

 ライデンスノー家は魔法使いの名門。自惚れしてる訳じゃないけど、私の魔法適性が多くて当然なんだ。

 

『スキルによって、更にここに、さっきから置いてけぼりのフェンリルの適性も加わります。フェンリルは闇以外の適性はあるらしいので……もう凄いとしか言い様がありませんね』

 少し呆れたようにメラさんは言う。


 魔物なのに鑑定出来るメラさんに呆れられているって、結構私凄いのでは?


 

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