0.プロローグ
タイトルはまだ未定です。
私の名前はセシル · ライデンスノー、伯爵家の長女。
ライデンスノー家は魔法の腕を評価され、平民から貴族に成り上がった一族です。
私にはアズラウド·ライデンスノーという、双子の兄がいる。
お兄ちゃんはとても優秀で、2歳の頃から魔法が使えて勉強もかなり得意。
容姿は明るい赤髪で、身長も高くスタイルが良い。
私は双子だからか、よくそんなお兄ちゃんと比較される。
見た目はお兄ちゃんと似たような姿(少し私の方が背が低い)でしたが、私は魔法は全く使えなかった。
それは何故か?
そう、私は言葉を話すことができなかった。
人間は魔物と違って、魔法は詠唱をしないと発現せることができない。
だから声を出すことができない私は、魔法が全く使えない。
言葉を聞いて理解することはできますが、いざ話すとなれば声が出ない。
私は言葉を覚えようと、両親や従者が話しているのを毎日必死に聞いていたけど、やっぱり声は出なかった。
これは性格の問題ではなく、生まれつきのそういう体質なんだろう。
でも周りの人達はそれを理解できたかったのだと思う。
まだ1,2歳の頃は話す練習を一緒にしてくれたりと、まだマシだった。
私に「声を出せ」と怒鳴りつけたり、気味が悪いと避けられたりと、どんどんと待遇が悪くなった。
魔法の腕を評価されて貴族になったこともあり、魔法が使えないのはライデンスノー家にとって、かなり痛手だったのだと思う。
そして遂に、4歳の誕生日にライデンスノー家の追放が決定された。
今、私はニーハバード大森林、伝説の魔物、フェンリルが住んでいることから、通称フェンリルの森と言われているこの森に一人で雨に打たれて凍えている。
もう、この森に捨てられてから一週間ほどが経った。
飲食もほとんどせず、もうとっくに限界を超え、諦めかけたその時だった。
突如、私の目の前に、白い長髪の大人の男の人が現れた。
助けて!
しかし、その言葉は声とはならなかった。
なので私は身振り手振りで何とかしようと思ったが、体力がもう残ってなく、私はその場で倒れてしまう。
今からこの人に街に運んでもらえたとして、私は助かる見込みは無いだろう。
つまんなかったな、私の人生。
そう思うと私は意識を失った。
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