ワールド・クエスト 序文
冰歴997年。
それは遠い異世界の物語。
人間、エルフ、ドワーフ、フェアリー、四精霊、そして闇に潜む魔獣達。
様々な種族の住む夢幻の世界。
"ファンタズム"と呼ばれる幻想大陸は、終わりなき氷の季節に囚われていた。
空は常に分厚い灰雲によって閉ざされ、終らない吹雪によって大地は痩せ。
生命は餓えて枯れ果て、全ての人族が絶望の淵に立たされていた。
そんな中、徐々に体制崩壊の迫る西の大国。
ライオネルの老王は神託の儀にて、"世界"より十の試練を告げられる。
「我が試練を踏破し、生命の罪を濯げ。さすれば冬の帳は開かれん」
滅びゆく世界にもたらされた最後の希望。
それは広大なファンタズム大陸の全土を駆け抜ける遼遠の旅路。
世界を救う冒険へと、神々に選ばれし運命の少年は旅立つ。
大陸各地に散らばる試練を達するため。
そして世界を凍てつかせる"魔王"を討滅するため。
多くの仲間との出会いを経て。
恐るべき魔族との戦いを潜り抜け。
いくつもの困難を乗り越えた果てに。
もう一度、人々の心に、日の暖かさを取り戻すために。
勇者ロミオは聖なる剣を握り締め、過酷な試練に挑み征く。
『ワールド・クエスト 1巻 ~氷の世界と十の試練~ 序文より』