ものぐさコミュ障
「今日なんか約束してたっけ?」
月陽は首を傾げて心当たりを探す。夜桜が来る時はなんかしら用があるときか企みがある時だ。
「んいや、何も」
夜桜はさもなんでもないように、実際になんでもないけれどあっけらかんとしている。
月陽はジト目だ。
「で、何しに?」
月陽は悪事を暴く探偵の気分で夜桜に質問する。
「んいや、何も……じゃない宿題見せて」
まるで今思い出したかのような言い草で素早く机に宿題の山をドンと置いて縋るような眼差しを向ける。
「報酬は?」
「私」
月陽は一瞬考えた。夜桜を所持するという事を。思考がやばい方に行きかけたのでかぶりを振ってクールを装った。内心バクバクなのは何故か。
「んー、要らないかな」
「酷いっ!」
オーバーに嘆く夜桜と、話題を変えたい月陽。
「それよりもせっかくだし珈琲、淹れてよ」
「ん、こないだのまだある?」
夜桜も冗談と分かっているから月陽の言葉に従って珈琲豆のことを聞いた。
「あれから触ってすらない」
「なんでっ!」
目を向いて驚く夜桜に月陽は簡潔な説明をする。
「いや、だって豆挽くのめんどう」
「ものぐさコミュ障め」
「今コミュ障関係ないだろ!」
憤慨した月陽も可愛いなと思う夜桜だった。




