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伝染の期待
2人は1缶で酔えるほどお酒は弱くなかった。
夜も更け、星空が静寂の中輝いた。
「そろそろ帰ろうか」
「そうだね、夜桜も悪くない」
「えっ、私?」
月陽はフフッと笑い、
「あなたも、この桜も悪くない」
と、言い直した。
夜桜は自分の事だと勘違いした事が恥ずかしくもあり、月陽がそれをフォローした事が余計に恥ずかしかった。
行きと同じ道。
「人が多いと騒がしいのかな」
「それは活気があると言おうよ」
人混みが苦手な月陽にとって発想の転換は難しい。
「それに、皆楽しそうだよ。だから、他の人の楽しいに当てられて楽しく思えるんだと思うよ」
「それは、期待しておこう」
人の楽しそうな笑顔、その場所で一体となった賑わい。
幸せは伝染する。
それはあの場所では1人でも2人でももっと、大勢でも同じなのだろうか?
月陽は振り返り、後ろで小さく見える夜桜を見やった。




