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楽しい事に必ずしも意味があるわけでわはない
外に出ると少しだけ肌寒い。
紺色の世界で2人は歩き出す。
夜の冷たい風は風呂上がりの火照った体に心地よく感じる。
こんな風に夜に出歩くなんて初めてかもしれない。
夜桜は後ろで手を組んでリズムをとって大股で歩く。たまにクルクル回って、月陽を待つ。
月陽は小走りに夜桜に追いつき、右手を開いて突き出した。
「もう、勝手に動かないの」
夜桜は少しの間ポカンとしていたが、照れくさくてそっぽを向いてる月陽を見てようやく察した。
夜桜は左手を開いて、月陽の右手に絡める様に握る。
「これで、離れ離れにならないね」
ニコニコとご機嫌で夜桜は意味もなく走り出した。
月陽はそれに釣られて足を早めて、
「なんで走るの!」
「だって、何となく!そんな事がしたいから!」
全く意味がわからない。
それでも何でだろう。楽しくって笑顔で、暫く走り続けた。
夜の街を駆ける2人は月明かりに照らさてまるで踊るよう。
今、この瞬間だけはこの街は2人だけの街に思えた。




