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夜桜の約束
「で、何時にする?」
ああ、そうか。日にちと時間と場所。
誰かとどこかへ行くなんていつぶりか分からないほど1人で居たから約束のその後なんて考えてなかった。
「私はいつでも暇してるからいつでもいい。だから夜桜の都合に合わせるよ」
確実に頻繁にこの家で寝泊まりするだろう夜桜。
夜桜のバイトの休みの日でいいや。
ほんの少し固まった夜桜はいいこと思いついかのように笑顔で月陽に提案した。
「そーか、なら、2度行かない?」
「何回でもいいけど?」
夜桜の言葉の意図がまるで分からない。
「今日、私を見に行こう」
「夜桜を?……ああ、夜桜を!」
私は想像した。辺り一面が闇に静まり返った夜。それでも、春の象徴は美しく咲き誇っているのだろう。
「そう。月明かりとライトアップされた夜桜を。で、流石に一旦実家の方に1日くらい戻らないとあれこれ言われそうだから…明後日朝から花見だね、大丈夫?」
「明後日ね、問題ないわ。それより夜桜を今から見たくて待ちどうしい」
いつもとは別の意味で時間の経つのが遅くなりそうだ。




