蠱惑的
寝ると言ってもまだ、闇に蒼が混じり合う時間。
色んな事があったし、疲れたはずなのに全然眠れる気がしなかった。
悩んでぐちゃぐちゃになりそうで。
すぐ横に横たわってる夜桜は月陽が何か口を開くよりも先に一緒にベットに入ってきた。
小さなベットだから2人並べばギリギリだ。
夜桜も同じだろう。
「夜桜」
消え入りそうな声。声を出したことを無かったことにしてしまいたかった。
手に温もりを感じだ。夜桜が、手を握ったのだ。
彼女の熱を感じる。
「私は怖いのかもしれない。言葉が生み出す残酷さとかが」
「考えすぎだって。だって、言ってくれなきゃなーんにもわかんないんだよ?」
月陽は体の向きを変えた。夜桜がよく見えるように。
「夜桜も分かんないの?」
月陽は自分が抱える曖昧な気持ちを纏めようとする。言葉で伝える準備をする。
「分かんない。月陽が何考えてるかなんて1個もわかんないさ。よく考えてみ、話し始めて1週間も経ってないんだよ」
確かにそうだ。
「どんな些細なことでも言って欲しかった。私に聞いてほしいかった。1人で勝手に決めるのは…」
「そっか、悪かった。でも月陽さ、こっちが強引に行かないと全部拒絶しそうだし」
「慣れてないだけよ」
「慣れなくていいよ」
どう言う意味なのか推し量れずに夜桜を見つめる。
夜桜は月陽の方へ体の向きを変えるとコツンと額と額を合わせた。
「私だけが味方であり続けてあげる」
蠱惑的な声がすぐ近くで私を溺れさす。
「ねぇ、私だけを見ててよ。月陽」




