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無経験だから…
その後黙々と鍋の中を食べていた。
なにかしてれば言い訳になると思っていた。
夢中でうどんが美味しいからって理由はけれど使えそうにない。
味なんて感じてなかった。
ドクドクと心臓が五月蝿い。
嫌な沈黙に感じた。
食べ終わり、洗う気なんて起きなかった。それは2人とも同じようで、月陽が明日片付けると言うとどこか安堵した表情を見せた。
夜桜はどう思っただろう。
私の気持ちは?
また、世界から色が消えた。
「風呂は入ったからいいよね」
違う。そんな事言いたいわけじゃない。
もっと、別の、大切なことがある気がする。
でも、それすら分かんない。
「月陽、寝よ」
その声は今までで1番優しい声で、月陽は頷いた。
パパッとパジャマに着替えて歯磨きを済ます。
何も言えない月陽と、何も言わない夜桜。
電気が消えて闇が訪れる。
誰も知らない静寂と闇が優しく2人を迎え入れる。




