41/395
テンション調整失敗
何かを喋るわけではない。
部屋には食材を刻む音だけ。テレビも付いていない。
人からの沈黙で、焦ることも急かされることも無い。ゆっくりとした無音。
月陽はそれが心地よかった。
大した事ないダイニングに鍋を夜桜が持っていき、月陽は小皿などを準備する。
「夜桜は箸とか持ってきたの?」
「あ、忘れた」
月陽は肩を竦める。
「文句言わないでね」
月陽が使った箸を置く。
「家宝に…」
「しなくていいし、流石に引くよ」
夜桜はボソボソと「使用済み…使用済み…」と呟いているが、月陽は白い目を向ける。




