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chapter21 入って15分、衝撃の出会い

 新月刀(シミター)円形盾(ラウンドシールド)を持った、これぞ『ザ・骨』と言わんばかりの骸骨の群れが襲い掛かって来る。


・NAME:スケルトン・ポーン

・JOB:《穢穴(アビス)》第26層を徘徊しているステレオタイプの雑魚

・Lv25

・HP:250

・MP:65

・筋力:160

・知力:15

・敏捷:55 

・スキル:『自動修復(中)』『生気吸収(エナジードレイン)(小)』『生体探知(小)』


 雑魚という割には(言っているのは例によって『預言者(ウィスパード)』だが)、それなりにステータスも高くて、スキルも多少は持っている手堅い感じだ。


「『レイジング・アロー』っ!」

 リーフェが放った光の矢が分裂して骨の大群に向かうが、ほとんどが骨の隙間をすり抜けたり、当たった部分が砕けても、気にした風もなくB級映画みたいに通路一杯を埋め尽くして襲って来る。

「きゃああああっ! ナオキ、ボク怖い!」

 例によってフローリスが俺に縋りついて身を震わせているが、コイツはコイツでなんでいつも真っ先に俺のところに来るんだ? 馨しい髪の匂いや甘酸っぱい体臭、柔らかなフトモモの感触が男の本能を刺激しまくるお陰で、ロクに身動きがとれんわ。


「あ~~ん、やり辛~~い! 手応えがスカスカで相性最悪!」

 地団太踏んで歯噛みするリーフェに対して、

「見りゃ頭蓋骨(シャレコウベ)をぶっ壊さないと、物理では動きを止めないとわかりそうなもんっすけどねえ」

預言者(ウィスパード)』が辛辣なコメントをする。


 そんなわけで実質的に五人のうち三人が使い物にならなくなった状況で、頼りになるのはパーティ内で胸の残念さでワンツーフィニッシュの女子ふたりだけである。


「コンチクショーッ! なんか、いますンごい頭にくること考えたでしょう!?」

『魔牛の斧+3』を風車のように振り回して、スケルトン・ボーンの頭部を的確に粉砕する瀬尾さん(No1)。


「『ホーリー・ウエポン』! 『ターンアンデッド』っ。『ターンアンデッド』!」

 同じように聖属性のオーラを纏わせた『紅亀のメイス』でスケルトン・ボーンを牽制しつつ、的確に『ターンアンデッド』で浄化させるシーラ(No2)。


「この調子ならあと10分から15分くらいで全滅させられそうっすね」

預言者(ウィスパード)』の楽観的な予想を裏付けるように、瀬尾さん、シーラとも無傷でスケルトン・ボーンを駆逐していく。


「ヘッドショットっていちいちメンドイのよね~」

 ブツブツ言いながらも、リーフェが実体のある矢で、確実にスケルトン・ボーンの頭蓋骨を狙って撃ちだした。

 なんだかんだ言っても一射で、射線に重なった複数の頭蓋骨を貫通破壊するのだから大したもんだ。

 あと、うちの女性陣は虫はダメだけど、アンデッドは平気ってどんな神経してるんだ?


「マスターはか弱い女の子っぽい子がタイプっすからね~。あとついでにオッパイがおっきい方」

 俺の趣味嗜好を当然全部知っている『預言者(ウィスパード)』が要らんことをばらす。

「残念ながらパーティ内にはいないっすよね。強いて上げれば、あの性悪王女がストレートど真ん中だったんですけど――」

 いや、あれは中身を知った以上、一番あり得ないタイプだろう。

 そう言いかけた俺の背筋にもの凄い悪寒が奔った。


「(怒・怒・怒・怒!!!)」

 同時に、気のせいか瀬尾さんの殲滅速度が上がって、何をエネルギーにして燃えているのかは不明だが、凄まじい勢いで八面六臂の大活躍を見せる。


「ううう、ボク、オッパイないから……」

 しょんぼりするフローリスだが、いや、そもそもそれ以前の問題だから、お前の場合。

 こう密着されると『傾国傾城』の効果か、『精神耐性(大)』を持っている俺の理性でさえ悲鳴をあげるフェロモンが分泌されて、変な気分になって――こう、頭の上で天使と悪魔が入り乱れて論争を行う感じで、


悪魔「いいから、このまま暗がりに連れ込んでやっちまえよ。ちょっとツイてるだけで女と変わらねえだろう?」

天使「いけません。瀬尾さんとはキスをした仲ではないですか。ちゃんと瀬尾さん同様、キスから順序良く始めるのですよ?」


「この天使は堕天使だーっ!」

 本来ストレートなはずの俺を、いつかのように無意識に転ばせようとする。

 フローリス、恐ろしい子……。


「ど、どうしたのナオキ?!」

 怯えたようにちょっと身を引くフローリス。お陰でちょっと呪縛が解けた。

 いや、なんでもない……と、答えようとしたところで、ふと俺の耳に、ここから離れたところで誰かが戦っているような、剣戟の音が微かに通路――というか墳墓だよな、ここのフロアは――の背中側から聞こえてくるような気がする。


 試しに『ユニット感知』スキル(※フロア内にある敵味方、設置物(オブジェクト)の位置を大まかに表示できる。『自動地図(オートマップ)』の下位互換)を発動して確かめると、200メートルほど離れた場所に、敵性表示を示す赤が三個と、中立を示す黄色がひとつあった(味方は青で表示される)。


「中立? こんなところで?」

 まさか他にも人間がいるのか、この階層に!?

 ほとんどあり得ない可能性だが、初めて見る中立の存在の正体が気になる。


「――ひょっとすると、誰かほかの人間がいるかも知れないので、ちょっと確認してくる」

 そうフローリスに簡潔に説明をして、俺は女の子たちの修羅場を後にして(どうせ時間の問題だし)、スタコラサッサとMAPが示す光点目指して走り始めた。


「へ? あ、待って、ボクも行くよ!」

 慌てて追いかけてくるフローリス。


「あ~~~~~っ、ナオキがフローリスを連れて、人けのない方向へ走っていくよ!」

 リーフェの素っ頓狂な声に続いて、瀬尾さんの「なぬっ!?」という殺気混じりの叫び声が上がった。


 あとあと弁解が面倒臭いな、と思いつつ通路の分岐を光点目指して、フローリスの足に合わせて走ってきた俺の耳に、確実に剣と盾がぶつかる音と、

「てやーっ、とうっ!」

 勇ましい少女の気合の声が聞こえてきた。


 生きた人間がいるのか、それも女の子がひとりで!?

 嘘だろうと思いながら、暗闇を透かして見た俺の目に飛び込んで来たのは――。


「あ~~~っ、クソ王女!?!」


 忘れもしない俺たちをこの世界に拉致した上、俺のスキルを一瞥して《穢穴(アビス)》送りにした、ど腐れ王女が勇ましくも白銀の鎧を着て、いかにも上級そうな鎧兜をまとった骨たちと戦っている光景だった。


 同時に俺の隣で、フローリスが「あれ?」と小首を傾げた。

さすがに疲れ気味なので、今回は短めで。

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