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chapter19 変質者Ⅱの真髄! そして俺は5分後に死んだ

【告・現状の『賢者(ナビゲーター)』ではスキルの解析及び推測に限界があります。よって、先に『賢者(ナビゲーター)』を『スキル融合』で変化させることをお勧めします。】


 ひとしきり俺が癇癪を起すのを生温く見ていた感がある『賢者(ナビゲーター)』が、どことなく面倒臭げに提案してきた。


「『賢者(おまえ)』を『スキル融合』で変化させる? 自らゴミスキルになりたいとはチャレンジャーな奴だな」


【告・『賢者(ナビゲーター)』と同格以上の鑑定・解析・情報系スキルと『スキル融合』をした場合、高い確率で『賢者(ナビゲーター)』の上位互換スキルが得られると推測できます。】


 理屈はわかるけど、俺の周りにあるスキルって、基本的に頭使わない系の脳筋スキルばっかだぞ? せいぜい翻訳とその上位である『調教(テイム)』くらいか、辛うじて頭使っているのは。

 そう思った瞬間、瀬尾さん(こちらも、チュニックワンピースに着替え済み)、リーフェ、シーラ、フローリスが一斉にクシャミをした。


「……さすがに体が冷えたのかしら?」

 鼻の下を人差し指でこすりつつ、微妙に『変な事考えてない?』的な疑惑の視線を向けてくる瀬尾さん。

 いかん、若干デレてきたと思ったら、その分、俺の思考が見抜かれるようになってきた。これ、まかり間違って恋人同士になったら、『千里眼』とか『読心』『地獄耳』とかで、すべての行動と思考・言動が筒抜けになるんじゃなかろうか?


 とりあえず気が付かないふりをして『賢者(ナビゲーター)』とのやり取りを続ける俺。

(今後、そういうスキルを持った魔物とかと遭遇するまで、『スキル融合』は封印ってことか?)

 基本的にスキルは生きた相手からしか『複写(コピー)』できないからな。


【解・『スキル保存(上限なし)』にて、これまでマスターが『鑑定』をしたスキルの情報が蓄積されています。】


 これまで『鑑定』したスキルっていっても、ここにいるメンバー以外では豚と牛以外には――。

(!! 召喚の広間で『鑑定』したクラスメイト全員のスキルもか!?)


【解・肯定です。保存されているスキルは『スキル贋作』により50%の性能でエミュレーション可能ですので、『スキル融合』と併用して新たなスキルへ転換可能です。】


賢者(ナビゲーター)』の淡々とした解説とは裏腹に、俺のテンションが鰻上りに上がっていく。

 半分の性能とはいえ今後無制限にスキルを習得可能とは、まさに神! 神スキルである。


【告・『スキル保存』のリストを開いてください。】


 促されるまま『スキル保存』のリストを展開する。


『投擲』『強肩』『倉庫(ストレージ)』『自動地図(オートマップ)』『縮地』『脂肪蓄積』『霊視』『頭髪後退』『無詠唱』『脳内恋人(インナーラバーズ)』『オッパイ星人(オンナノテキ)』『孤独耐性』『疲労耐性』『睡眠耐性』『認識除外(モブ)』『無駄知識』『炎操作』『水操作』『風操作』『土操作』『男操作』『氷操作』『雷操作』『光操作』『闇操作』『自己暗示』『死んだふり』『時間停止(自分を含む)』『打撃耐性』『斬撃耐性』『刺突耐性』『落下耐性』『物理耐性』『ホモ耐性』『精神耐性』『火耐性』『水耐性』『氷耐性』『風耐性』『電撃耐性』『光耐性』『闇耐性』『全物理耐性(イタイノガカイカン)』『妄想透視』『天気予報』……etc


「どんだけあるんだ!?!」

 どんどんスクロールしていく膨大なスキルを追い切れずに、思わず途中で音を上げて『賢者(ナビゲーター)』にツッコミを入れる。


【解・重複しないスキルだけで486です。】


(いちいちひとつずつ見てったら日が暮れるわ! お前のお薦めのスキルってないのか!?)

 つーか、軽く見て行っただけだけど、経験値10倍とか、インチキとしか思えんスキルがゴロゴロしてやがるな。このスキル持っているヤツとか、今頃、思う存分俺TUEEEしてるんだろうなぁ。


※なお、このスキルのオリジナルを持っている佐倉真凛(さくらまりん)は、毎日毎晩イケメンを相手に別な意味での経験値をズンドコ上げていき、頂点を極めた性技をもって「恐怖のスッポン女」と陰で呼ばれ、王宮の男たちを恐怖のドンゾコに堕とすことになったりする。

 そのため、思い余ったアルセリア王女を筆頭とする女たちによって、オークばっかりの《穢穴(アビス)》へ密かに廃棄されるのだが、オークの餌食になるどころか、どっこい逆にボスのオークキングすら手玉に取って、男漁りのためにオークの大群とともに近隣の都市国家(ポリス)に攻め込むことになる……だが、その辺の話はまた別の話である(ノクターンとか)。


【解・『神託(オラクル)』が最適であると思われます。】

(『神託(オラクル)』?)

【解・宇宙の過去から未来まで記載されているアカシックレコードに接続することで、いかなる難問奇問、今後の最適解も即座に求める回答が得られる伝説級スキルです。】

(あー、つまりインターネットみたいなもんか。攻略サイト見ながらプレイできるみたいなもんか。一気にイージーモードじゃねーか)

【解・その理解でおおむね合っています。】

(ん、でも伝説級スキルだよな? フローリスの『傾国傾城』に手出しできなかったけど、いまはできるのか?)

【解・伝説級スキルや種族スキル、その個人にカスタマイズされた特殊スキルのオリジナル(・・・・・)にはいまだに干渉できません。ですが劣化版である『スキル保存』に保存されたスキルならば可能です。】

(ふーん、まあ、できるっていうならやってみるか)


 にしても『神託(オラクル)』ねえ。マジでチートの塊だな異世界からの召喚者って。今頃はウルトライージーモードで存分俺TUEEEして(ry


※なお、このスキルのオリジナルを持っていた原田伸太郎は、スキルを習熟する間もなく、召喚3日目に《穢穴(アビス)》第一層でコボルトの群れに襲撃されて鬼籍に入っている。


【告・了解しました。では、ウィンドウを操作して『スキル保存』から『神託(オラクル)』を選択して、『スキル贋作』にて既存のスキルの上書きをしてください。】


 ほいほい、とりあえず『精神耐性(小)』がいまんところ死にスキルなので、これに上書きしようかね。


【告・『神託(オラクル)』が『星詠み(フォーチュンテラー)』へディグレードされ、『精神耐性(小)』へ上書きされました。】


 どうやらいまのところ上手く進んでいるようだ。


【告・『スキル融合』で『賢者(ナビゲーター)』と『星詠み(フォーチュンテラー)』を融合してください。】


 言われるままに操作をした瞬間、ステータスウィンドのMPが、底の抜けた風呂桶みたいに見る見る減って行った。


(おい、こら、なんじゃこりゃ!)


【告・融合まであと十……九……八……スキルのレベルに応じて必要な魔力量が増加するものと……五……】


 聞いてねえぞ! つーか、間に合うのか!? ほとんどギリギリだぞ!!

 そして、カウントダウンがゼロになったのと同時に、俺のMPも0になった。


(成功したのか? おい、こら、返事をしろっ!)

 そう呼び掛けるも『賢者(ナビゲーター)』からの返事はない。

 こりゃ、成功したとしてもクズスキルになり果てたか……? と思った瞬間、俺のMPが1だけ回復した。


「ぱんぱかぱーん! 自分、爆誕っす!」

 不意に目の前にほのかな燐光が集まったかと思うと、身長20㎝ほどの蝶のような(はね)の生えた、オレンジ色の髪をした少女――どっからどう見ても、

「「「「「フェアリー!?!」」」」」

 そのものが現れたのだった。


「うわ~、妖精とか初めて見たよ~」

 リーフェが目を丸くして、エルフにあるまじきことを口にする。

 思わず「お前、本当にエルフか?」という疑念の視線を向けると、ワタワタと両手を振りながら、

「いや、だって精霊とか妖精とか、〝目には見えないけど居るのを感じろ”とか、年寄り連中が言ってたけど、目に目ないモノとか信じられるわけないじゃん。普通に妄想だと思うのが当然じゃん」

 弁解すればするほどボロが出る。道理でエルフの割に精霊魔術のひとつも使えないなぁと思っていたら……いいのかファンタジーの住人?


「どーもどーも、マスターの『スキル融合』で誕生した『預言者(ウィスパード)』――の外部インターフェイスっす。痒いところまで手が届くように、こうして皆様にもわかりやすいように星幽(アストラル)体でお目見えっす」


 なんだろう、『賢者(ナビゲーター)』の時と違って、一気に俗っぽくなったような気がするんだが……。


「そりゃあ、自分はマスターの特殊スキルで分身みたいなものですからね~。性格のベースはマスターっすよ」

 俺の考えを読み取って、けらけら笑う『預言者(ウィスパード)』。


 一方、瀬尾さんたちは、「「「「あー……」」」」と、一斉に納得したような、脱力した声を上げた。

 ちょっと待て、貧乳ども! 俺ってこんなにウザイ奴なのか!?


「っても、MPが1回復したところで現れたってことは、その姿で現れるにもMPを消費するってことだろう? わざわざ出てくる必要があるのか?」

 俺の問い掛けに、「もちのろんっす!」と胸を張って俺の肩に止まる『預言者(ウィスパード)』。

 全体がミニマムなのでわかりづらいが、人間サイズになればCカップくらいはあるな。


 瀬尾さんがなんか釈然としない視線を、『預言者(ウィスパード)』の胸元に向けているが、さすがに妖精相手に我を忘れるほど大人げなくはないようだ。


「マスターはこれから自分を含めた全員のスキルを融合強化するつもりっすよね。けど、スキルってのは人によって合わなかったり、逆に通常ではあり得ない特殊な進化をする場合があるんす。そのあたりを個々に説明しながら、カスタマイズするにはいちいち中にいる自分を通して話をしては二度手間になると思うっす。そんなわけで自分が直接、話をして了解をもらったほうが手っ取り早いと思ったんすよ。間違ってますか、マスター?」

「――いや、確かに助かる」

 なるほど、『痒いところに手が届く』と自称するだけのことはある。


「へえ、スキルってもっと単純なものかと思ってたわ」

 感心する瀬尾さんに向かって、『預言者(ウィスパード)』が他愛ない口調で、

「そんな単純なものじゃないっす。例えば斬首牛の『威圧の咆哮』とかは、普通の人間の声帯では再現不能ですし」

「ふむふむ、道理ね」

「同じ人間でも瀬尾さんに『豊胸』スキルを付けようとしても、体質で弾かれるようなもんっすね」


 殺気を感じた次の瞬間、咄嗟に飛び退いた俺のいた場所に瀬尾さんが振るった『魔牛の斧』がクレーターを作っていた。


「なんで逃げるのよ!?」

「逃げるわい! 俺を殺す気か!?」

「アンタじゃないわよ、その腐れ妖精を狙ったのよ!」

 同じだ同じ! 肩を吹っ飛ばされたら死ぬわ!

「あははははは! 自分は星幽(アストラル)体ですから物理攻撃は利かないっすよ。それに端末ですから本体はマスターのスキルっすよ」

「……つまり上北君をぶっ殺さないと元が断てない」


『魔牛の斧』を持ち直して、ゆらりと立ち上がった瀬尾さんの目がマジだった。


「待て待て! おい、『預言者(ウィスパード)』。お前が悪いんだから、ちゃんと瀬尾さんに役立つスキルとか助言してやれよ!」

 慌てて『預言者(ウィスパード)』にフォローを促すと、

「あははははは! 既存のスキルを融合させて瀬尾さんにピッタリとなると……あ、コレなんて凄いっすよ! 『金剛筋』といって筋肉をダイヤモンド並みの強度にするスキルと、『波動掌』という……まあ、ぶっちゃけ、○めはめ波っすね……を『スキル贋作』後、融合させた場合、通常なら『逆ホタル』といって、頭がツルッパゲになる代わりに、任意で光を放てる微妙なスキルになるんすけど、この世で瀬尾さんただひとりだけ、体質的にまったく違う、もの凄い威力の攻撃スキルになるっす!」


 その言葉に瀬尾さんも興味が湧いたようで、若干殺意が薄らいだ。


「――というと?」

 先を促す瀬尾さん。

「ズバリ、その名も『ナイチチ波動砲』といって、こう瀬尾さんが鉄板の如き鋼鉄の胸をばッとはだけて、貧乳の哀しみと巨乳に対する怒りを込めて『ナイチチ波動砲発射っ!』と叫ぶと、最大でドラゴンのどてっ腹すら一発で貫通するビームが――」


 次の瞬間、『疾風迅雷』で飛び込んできた瀬尾さんの斧によって、俺の意識は闇に沈んだのだった。


 ――残念ながら俺の冒険は終わってしまいました。

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