chapter15 転移二日目、サバイバルグッズ入手
「さーて、なにが入っているのかな~」
洗って日の差す――なぜ地下に太陽があるのかはいまさらである――岩場に干していたボクサーブリーフはすでに乾いていた。
パンツを穿いてチンポジの位置も修正し、心機一転の俺は河原に移動して、興味津々宝箱に注目する男の娘を含めた四人の美少女たちが見守る中、『罠探知中級』スキルで罠を確認して、特に何の仕掛けもないので、簡単な留め金を外して蓋を開ける。
四人とも筵バスタオルを巻いただけの無防備な姿で――なぜフローリスまで胸を隠す形で巻いているのだ? というかフローリスを見ていると何か大事なことを忘れているような――興味津々、腰を屈めて箱の中身を覗き込んだ。
「ん~、これナイフね。そこそこ取り回しも良さそうだし、一つあると便利なのよね~」
真っ先にリーフェが柄付きの30センチほどあるナイフを取り出した。
うむ、こうして正面で屈み込むと一応は胸の谷間が見えるな。重力に引かれて辛うじて生まれたアポ○チョコみたいな胸だけど。胸は胸だ。
「こっちは……わっ、なんか重いと思ったら、調味料ですね! 塩にお砂糖! 胡椒までありますよ!!」
シーラは十歳くらいの女子の胸という感じで、屈み込んでもちょっと膨らみ始めかなぁ……という具合で、これは好みを選ぶ胸といったところである。
「あ、鍋とフライパンもあるよ。あと火打石に糸と針の裁縫セットも」
フローリスも嬉々として箱の中から物品を取り出す。胸のところで筵バスタオルを巻いているお陰か、胸があるように見えるのがイイ。
「あ、手斧があったわ。作業するのに『魔牛の斧』だと取り回しがし難いと思っていたのよね」
最後に瀬尾さんが片手で持てる程度の手斧を取り出して頬擦りした。
ちなみに、彼女だけやたらガードが固くて、筵タオルの腰と腹、胸のあたりを荒縄で縛って解けないようにしている。
そのありさまはまるで簀巻き。
だが、その奇抜な格好をなお空しくさせするほど、体にフィットした筵バスタオルが、彼女の無惨な平面をあらわにしていた。
鎖骨の下からストンと続く、それはいわば一枚の板と言っても過言ではないだろう。
「斧好きだなぁ、瀬尾さん……」
俺が呆れ半分で言うのと同時に、頑丈そうに思えた木製の宝箱が、バラバラと積み木のように壊れた。
「こーいう設定か」
薪がわりに便利そうだと思いながら、俺は再度軽く準備体操をして、きゃいきゃいと露天商に群がる女子高生のように、それぞれの物品を眺めまわしている女性陣に背を向けた。
「――って、どこ行くのよ?」
目敏く気付いた簀巻きガール――瀬尾さんが手斧を片手に聞いてくる。
「滝つぼの下の洞窟。さっきも言ったように、滝つぼの奥に洞窟があって、そこに宝箱が点々と配置されているんだ」
いや、俺もまさかこんなところに隠れイベントの宝箱があるとは思わんかったわ。
もともとこの滝の真後ろが上階からのスロープがある出口ということで、もしかすると滑り落ちた拍子に気付いて取れるように、ややひねくれた配置をしていたのかも知れないが、さっきの瀬尾さんの話を聞く限り、この世界の大部分の人間は泳げないそうなので、多分、誰も取れずに溺れたんだろうな。
「俺も気が付いたらなぜか滝つぼの中で攪拌されていて、目の端にちらっと見えたような気がしたけど、それどころじゃなかったので、慌てて水面目掛けて泳いで行ってから……そういや、なんで俺、溺れてたんだ?」
「そ――」
「熱中症じゃない!? なんかいきなり倒れて、そのまま滝つぼに流れて行ったってフローリスが騒いでいたから、私たちが慌てて様子を見に来た時に、ちょうどアンタが水から顔を出したところだったのよ」
何か言いかけたフローリスを遮って、瀬尾さんが立て板に水で捲し立てる。
……な~~んか怪しいな。リーフェとシーラもソワソワと落ち着かないし、心なしか頭の上がズキズキ痛むし。
とりあえず追及しても無駄っぽいので、俺は話の先を続けた。
「……んで、念のために『遠見』(通常の5倍の視力が持てる。一度、目にしたものに焦点を絞って見ることができる)で確認してみたら、案の定、洞窟があったのでもういっぺん潜ってみたんだ」
「「「「あ~~~」」」」
納得したように頷く四人娘。
深さはそれほどでもないけど、とにかく水流が激しいのをどうにかして突破して、洞窟に入ったところ、手前、中頃、最奥へと洞窟の床に宝箱が落ちていた。
(ラッキー♪)
と思いつつ念のために『罠探知中級』スキルで探ってみたが罠はないようだった。
ここで息継ぎのために一度水面に戻って息を整え、再び洞窟へと入って、とりあえず手近な箱を掴んで持ち上げようとしたが、何かで挟んであるようで動かない。
息も苦しくなってきてコリャ駄目かと思ったところで、箱と水平の洞窟の壁に金属製のレバーがあるのに気が付いた。
あ、これだな! と思ったけど息が続かないので、急いで水面へ戻った。
で、三度目の正直で真っ先にレバーを倒した途端、ガチッ! と何かが外れる音がして、いままでピクリとも動かなかった宝箱が動いた気がして、これ幸いと掴んで持ち上げたところ簡単に外れたので、それを抱えて戻ってきた……という具合である。
「じゃああと二個、宝箱があるわけね?」
瀬尾さんの問い掛けに俺は大きく頷いた。
「ああ、それも奥に行くにしたがって、見るからに豪華そうな宝箱になるんだよな~」
これはチャレンジするしかないでしょう!
「チャレンジするしかないわね!」
瀬尾さんも同意見のようである。
「え~、大丈夫かな。なんかいかにも欲をかくと死ぬようなパターンの気がするんだけれど」
リーフェの心配そうな言葉に、
「昔話でありそうな欲張りが損をする話ですね~」
シーラも頷いて、
「無理をすることはないんじゃないかな、ふたりとも?」
フローリスも及び腰のようだ。
「なにを言う。敵と戦うわけでもなく、努力すれば濡れ手に粟でお宝が手に入るのに、躊躇する必要などない」
「そうよ。この先のリスクを考えたら、この程度の危険は全然大丈夫なもんよ!」
基本的にタカ派の俺と瀬尾さんの見解が一致した。
「んじゃとりあえず、二個目の宝箱が取れるか、試しに潜って来るから、瀬尾さんは俺が宝箱を持って浮上してきたら、途中まで潜って箱を受け取って全力で浮上してくれ、俺は肺に残った酸素でシャカリキに浮上に費やすんで」
「OKわかったわ。任せておいて!」
自信ありげにドンと薄い薄い、段ボールのような胸を叩く瀬尾さん。
う~~ん、フローリスとの一件以来、評価とか感想が鈍りましたね。
あれは私としても、洒落で通じるか一種の賭けだったのですけれど、どうも通じないようなので読み手さんとの間に感覚の違いがあるのかなぁ、と凹んでいます。
御不快な思いをさせて申し訳ありませんでした。




