アクエリウス 1
「ネルゴ、大会ならもう終わったぞ」
「は?」
魔法学園では毎年1年生の大会があり、優秀な12名は称号をもらえる。それに参加するため、俺は開催日ギリギリまで魔力を温存していた。
「昨日終わったんだよ」
「もう表彰者も決まってる」
俺はだまされた。数日前……養父の学園長に嘘の開催日を教えられて騙されたのだ!
「まあ、いいじゃないか」
「なにが!?」
「お前も運がよけりゃ称号もらえんだよ」
「え?」
なんと次の日に大会に参加した者の中から抽選で隠し称号が与えられるらしい。
「隠し称号か……なんだろうな」
◇◇
「これより称号の発表を行う」
1位のマウズはアリエスでモースがカウ、ティガーをラトが。そして女子生徒のサウとツタとヘルビィはそれぞれヴァゴー、ケス、シャークペッドを得てここまで6位。
7位のマウがルブレ、ティザがサジット、ルーサがピスコス、ギャスはコーンでニカはカーヌ。
「ほぼ貴族の子息息女だな。貴族じゃなくても大魔道一族もいるぜ」
「ネルゴ、あいつら家名ないのにわかるのか?」
※この世界の貴族は家督の継承者のみが家名を名乗れる。貴族は名前のみを名乗り、平民は皆ヘミンという名字がつく。これは全コロニー含めて人口が5000程度と少ないからである。
「髪の毛の色を見ろ。赤や黒や黄色で出身惑星が特定できる。……そもそもヘミンついてねえから貴族か王族で間違いないだろが」
「それもそうか」
というか、俺は称号の抽選に当たっただろうか?
「最後に13番目の称号を発表する」
「そんなのあるの!?」
「知ってる! アクアリウムでしょ!?」
「アクエリウム継承者は……トップシークレットとなる。後で学園長室まで来るように」
掌に温かさを感じ、なんだろうと見れば、浮かびあがる紋様。間違いなく俺が継承者だろう。