第一回目の風景
2008年第一回目の空想科学祭は、手探りの連続だった。
一部、コンテンツは閉鎖しているが、当時の状況がわかるように、少し思い出しながら書こうと思う。
とにかく、SFが読みたい。
ふと思い立った私は、とにかく祭りのようなものがやりたかった。だから、空想科学“祭”と銘打ったわけだ。
前年に「小説家になろう」に登録し、ホラー企画等に参加してみたものの、どうもあっけなく、一方で某掲示板発端の春エロやムーンチャイルド企画が賑わっているのがねたましかった。それは、とにかく流れに乗れなかったということに対しての不安から来るのか、それとも、自分の書けそうもないジャンルで賑わっているのが悔しかったのか、今となってははっきり思い出せないが、どうにもならない憤りから、こうなったら自分が好きに立ち上げるしかないという結論に至ったのだ。
無謀なことに、私は春から職場に復帰していた。その前年に長男を出産し、とてもじゃないが、自分の好き勝手な時間をこれ以上増やすわけにはいかないという状態だったにもかかわらず、第三子だという余裕からか、思い切りすぎた決断をしていた。当然、しわ寄せはどこかしらに来るものだ。しかし、面白い、楽しいという気持ちが、全てを忘れさせてくれた。
さて、私事はさておき、当時いったい何で盛り上がっていたのか。
まずは、企画サイト内での催し物中心に見ていこう。
http://sffesta2008.soragoto.net/
“ようこそ、SFの世界へ!”
これが、たぶん一番わかりやすく、私のやりたかったことを示す画像ではないかと思う。
SFというコアなジャンルを盛り上げようと、「作品を投稿し、読みあう場」以外のことをやるのが、空想科学祭のモットーなのだ。
一年目は、まず、「SF(空想科学)とは何か」というテーマに基づき、知識を寄せ合って、「蘊蓄館」なるページを作成した。
本当にSF好きな人がたくさん集まってくれたおかげで、私の全く範疇でない分類に関しても、自然と記事が寄せられた。今もそのまま公開してあるので、SFの境目、SFとはなんぞやと悩まれている方は、一度目を通しておくことをおすすめしたい。
http://sffesta2008.soragoto.net/unchiku.html(PC)
http://sffesta2008.soragoto.net/munchiku.html(携帯)
素人の蘊蓄であるので、資料としてはイマイチといわれるかも知れないが、ネット上いろいろ探しても、事細かにSFについて語っているサイトは少ないのが現状だ。どうしても、どれかに特化してしまう――たとえば、宇宙ものであったり、未来ものであったり、ロボットものであったり――それほど、SFとは許容範囲の大きなジャンルだったのである。
そのほかに、SF小説の書評であるとか、おすすめのSF書籍コーナーなどもあったが、一部は閉鎖している。
こういったネタのほとんどは、私ではなく、参加者だったり、参加したいと思っていたが「小説家になろう」利用者ではないのでというWEB作家の方だったり、とにかく、多くのSFファンから寄せられたものだ。ほとんど口コミだったにもかかわらず、たくさんの方からご支援いただき、本当に感謝した。今もその思いは変わらない。
初めてということもあり、かなりの手探り状態。
感想は「辛口」「甘口」希望者申告制度があったり、「イラストやイメージ画を描いてもいいよアイコン」なんかもあった。効果があったかどうかは別であるが……様々試みてみたものだ。
実は、第一回目には、イラスト部門もあった。
イラスト専用の掲示板にSF系のイラストをUP、投票まで行ったのだ。
pixivなどの大手イラスト投稿サイトには全く告知していなかったため、参加者の中で絵心のある者+α程度の投稿であったが、これもまた、目を楽しませてくれた。
空想科学祭では、一回目からチャットを設置している。これも、別に呼びかけすることもなく、自然と作者同士のつながりを深めるのに役立ったようだ。使っているシステムは少しずつ変えていったが、今もチャット交流は健在で、週末の夜になると、誰彼ともなく入室し、SFについて、小説について、おしゃべりするのを待っている。
参加を迷っているんだけど、どうしよう……そもそも、何を書いたら……などと迷ったら、チャットを覗いてみるのも方法の一つだ。初めての方にも優しく声かけしてくれる先輩方(この場合、空想科学祭参加経験者、の意)も常駐しているようなので、思い切って足を踏み入れてみてはいかがだろうか。
5/22追記しました。
6/22企画サイトURL掲載。