ちょっと早い真夏の夜の夢
今さっき起こったありのままを話すぜ…(現在2024/05/01 AM2:30)
「いま、宇宙の中心から「コンビニへ行け」て司令が来た… なぜか逆らえない。」と。
かつて「Twitter」と呼ばれていたSNSに書き込みをした私は、ジャージと短パンというラフな格好で近所のコンビニまでスクーターを走らせていた。
今日は5月1日、私の住んでいる地方ではそろそろ梅雨入り宣言が出てもおかしくない季節。連日の雨のお陰でジャージを貫通してくる夜風は湿っぽくて、いつ降り出してもおかしくない。
ちょうど去年の今頃に、9年間連れ添った愛猫と死別した。真夜中にトイレ起きしたついでに夜のおやつでもあげようかと顔を見にいったら、彼女は四肢をピンと張ったまま寝床の横で息を引き取っていた。抱き上げたその軀はまだ少し暖かくて、そのことがなおさら悲しくなったことを思い出す。
おっと感傷に浸ってしまった。
直線距離で1kmほど先のコンビニへテレテレとスクーターを走らせてると、ヘッドライトに照らされた路上に何やら黒い物体がちらりと動いた気がした。
最初は石か何かかと思いハンドルを切ってそのまま通り過ぎようとした瞬間、
「こ・・・ネコ?」
私の視力は裸眼だと0.01以下でメガネを付けてもギリ1.0、時速20km/hで走りすぎた路上の物体、ましてや深夜、街灯もない坂の途中だと言うのに私の目は「子猫」を正確に識別した。
「いま、宇宙の中心から「コンビニへ行け」て司令が来た… なぜか逆らえない。」
「いま、宇宙の中心から「コンビニへ行け」て司令が来た… なぜか逆らえない。」
これマジで指令が来ちゃったんじゃないの?!
あ、つぶやきの「司令」はTypoで「指令」のつもりが間違えてのまま送信しちゃってるんだけど、それはこの際置いといて、無意識のうちに子猫の命を救うために、いま私はこの夜道を、この下り坂を、コンビニに向けて走り出したのではなかろうか!
この間約0.5病!ちがう0.5秒!!
一度通り過ぎた子猫の元へAKIRAの如くバイクターンを決め(誇大表現)、スクーターのエンジンを切ってLEDライトを照らしてみた。
ちなみにバイク乗りは必ずキーホルダーに小型のLEDライトを忍ばせているものである。言い過ぎた、少なくとも私は常に忍ばせている。
小さいながらも強力なLEDライトの光が照らし出したのは、歳の頃なら生後4週間ほどの、まだ手のひらで包み隠せるほどの小さな子猫だった。
彼(彼女)はLEDの光に驚いたのか、うずくまってた路の真ん中からちょこちょこと路端の草むらへ走っていく。まだ小さい手足を必死に動かして、巨大な生物(私)が照らし出すサーチライトの光から逃げるために走っている。
ちょーかわいい。
もうこちとら宇宙の中心から指令をビンビンに受信しちゃってるから、彼(彼女)を捕まえたらまず先代のネコが使っていた寝床を用意して、お腹が空いてるかもしれないからコレまた先代のネコ様用に買っておいたちゅ~ると、猫用の粉ミルクを温めて与えようと、最初の1週間ほどは囲いの中でお住いになっていただくが、誠心誠意、先代のおネコ様と同じぐらい愛情を掛けて育てあげようと心に誓いを立てつつ草むらを搔き分けた。
「にゃーーー ふしゃーーーー!!!」
彼(彼女)に触れるか触れないかの瞬間、思ったより大きな鳴き声&威嚇音を立てて、さっき見せたちょこちょことした走りではなく、多分生まれて初めて出したであろう全速力の猛ダッシュをカマして、更に深い草むらの中へと消えていった。
宇宙の中心から受け取った指令は誤情報だったらしい。
アレだけ元気よく走っていったのだ、きっと彼(彼女)は寝相がとても悪く、近くに住んでいる家族の元から路上へと転がり出てしまったのだろう。そしてたまたまその可愛い寝相を、巨大な生物(私)が大きな音を立てながら近づいて起こしてしまったのだ。
すまんな子猫の人。
でもこんな夜中に無防備な姿を見せちゃう君も悪いんだぜ!
コレにこりたらママのおっぱいでも吸いながら良い夢見ろよ!
そんな爽やかな気分で彼(彼女)との別れを済ませて、私は再びコンビニへとスクーターを走らせたのでありました。
この間約40分!!
あぁ探したさっ!
一縷の望みを掛けて探しまくったさ!
だって可愛かったんだもん!
またネコ飼いたいんだもん!!
今度家の工事があるからそれが終わってから改めて探そうと思ってたぐらいだっし~!
サバ柄っていうの?とてもくりっと目をした子猫だったんだよ~!
あぁネコ成分が足りない!
宇宙の指令よ!もう一度飛んできてくれぇぇ!!
あ ぁ 帰 り 道 で も 探 し た さ っ ! ! !
(約20分)