番は攻略対象に嫉妬したらしい
「アナトール」
「…うん」
ちょっと拗ねた様子のアナトールが、とても可愛い。心配しなくたって、私が愛するのはアナトールだけ。
アナトールは、別に私を疑っているわけではない。だってアナトールは私を好きでいてくれるし、信じていてくれるから。
けれどそれでも、自分が知らなかったお友達の中に絶対好みド直球な子がいたから面白くないだけだ。
…私の運命の番、可愛くない?いや、絶対可愛い。
「アナトール、私を見てくださいまし」
「…なに?エリアーヌ」
「ふふ。絶対、愛する人にしかしないことをして差し上げますわ」
「え…?」
アナトールがなんだろうとこちらを見る。私はその一瞬で、アナトールの頬に口付けをした。
「え…!?」
急に真っ赤に顔を赤くして、ぱくぱくと口を動かすアナトール。その動揺した様子に私は満足。とても可愛い。
「ふふ。ね?こんなこと、愛する人にしかしないでしょう?」
「あ、あの、エリアーヌ…今のって、口付け…キスってやつだよね?」
「ええ、そうですわ」
「…っ!」
私が頷けば、声にならない声を上げてアナトールは胸を押さえた。
「あ、アナトール!?大丈夫ですの!?」
「嬉しすぎて、胸が苦しい」
「え、え、ああ…!ご、ごめんなさい、やり過ぎましたわ!」
苦しそうなアナトールの背中をさすってあげる。落ち着いてきた頃、アナトールは顔を上げた。でもまだまだ真っ赤な顔に、そこまで喜んでくれるなんて、そこまで恥ずかしがって動揺するなんてと色々な感情がグルグルする。
「…エリアーヌ」
「なんですの?」
「そのままでいて」
「え?ええ」
アナトールにそう言われて、まだアナトールの背中をさする。が、アナトールはその隙をついて私の頬に口付けをした。
私は一瞬何が起きたか理解出来ず、フリーズする。
「え?」
「…さっきのお返し」
今度は私が真っ赤になって、口をはくはくとする番だった。嬉しすぎて、胸が苦しい。
「ね、ドキドキするでしょう」
「え、ええ。胸が苦しいですわ。そしてそれ以上に、とっても嬉しくて…」
「…エリアーヌも同じように感じてくれてるんだ。嬉しい」
アナトールにそう言われて微笑まれたら、もう無理だった。がばっとアナトールに抱きついて、ぎゅうぎゅうと抱きしめる。
「…アナトール。貴方が私の運命の番で本当に良かったですわ。愛しています。心の底から」
「俺も、エリアーヌを愛してる。心の底から」
私達の愛は、傍から見れば幼いごっこ遊びに見えるかもしれない。それでも、私はたしかにアナトールを愛しているし、アナトールは私を愛してくれている。
このときめきは、大人の恋にだって負けないのだ。




