番と初めてのデート
「ふふ、アナトール。今日は何の日だか覚えていまして?」
「うん、エリアーヌとのデートの日だ」
「よかった!では、馬車も用意しましたわ。行きましょう?」
「うん」
アナトールと共に馬車に乗る。二人で舞台を観に行くのは…というか、ちゃんとしたデート自体が初めてだ。
とても楽しみで、ワクワクが止まらない。
「ふふ、アナトールとデート…!」
「エリアーヌとこうして正式にデート出来て、とても嬉しい。こういうのって、婚約者同士だと大切なことなんだよね?楽しい思い出にしよう」
アナトールからそう言ってもらえて、さらに嬉しくなる。
「ええ、きっと素敵な思い出になりますわ!」
そうこうイチャイチャしている間に、馬車は目的地に着いた。舞台をアナトールと観る。
内容は、運命の番である獣人族の二人が様々な障害を乗り越えて結ばれ幸せになる物語。
ラファエル先生のことだから、舞台の内容まで考えに考えてチケットを選んでくださったのだろう。細やかな気遣いの出来る良い方だから。
「…うぅ。二人とも、幸せになるんですのよ」
運命の番との恋物語に、感情移入し過ぎて二人がくっついたラストで泣いてしまう。そんな私にアナトールはそっとハンカチを差し出してくれた。これもラファエル先生の教育の賜物だろう。
「ありがとう、アナトール」
「うん。…俺も、すごく感動した」
アナトールの目にも涙が浮かんでいた。私と同じく感情移入していたらしい。
「ふふ、素敵な舞台でしたわね」
「最高の舞台だった。これをエリアーヌと観られたことが、何より嬉しい」
アナトールの言葉に、胸が熱くなる。
「私も、アナトールとこの時間を共有できたことを幸せに思いますわ」
アナトールはそんな私に、優しく微笑む。手を取り合って、馬車に乗って帰る間も私達は幸せな余韻に浸っていた。




