番とデートの約束
「エリアーヌ様」
「ラファエル先生、どうなさいました?」
ある日、ラファエル先生に話しかけられた。あちらから話しかけられるのは、割と珍しい。
「…これを」
「舞台のチケット…?」
「…アナトールの奴は、すごく勤勉だ。詰め込みすぎると良くないので少しだけ息抜きさせてやりたい。だが…私がそんなものに誘っても、アナトールが楽しめるとは思えない。アナトールの世界はいつだって、貴女を中心に回っている。貴女から、アナトールを誘ってやってもらえないか」
ラファエル先生からの願っても無い申し出に、笑顔でチケットを受け取った。
「ありがとうございます、ラファエル先生!きっと二人で楽しんできますね」
ルンルン気分で受け取って、早速アナトールを誘いに行こうとした。そんな私の耳にぽそっとした声が届いた。そして気付いた。
「…貴女も少しは息抜きするといい」
ラファエル先生が、私のことも気遣ってくれていたことに。
ラファエル先生は、やはりツンデレなのだ。
「ラファエル先生!今度ジェローム先生も誘って、四人でお茶会しましょうね!」
「え!?いや、私は…」
「きっと、約束ですよ!」
私がそう言えば、ラファエル先生は戸惑ったようだが頷いてくれた。素敵な先生に巡り会えて、とても幸せだ。
「アナトール!みてくださいまし、舞台のチケットですわ!」
「エリアーヌ、それどうしたんだ?」
「ラファエル先生が、アナトールと見ておいでってくれたんですの!」
「俺と?」
「ええ、一緒に行きましょう?」
私が誘えば、アナトールは頷いてくれた。
「エリアーヌとなら、喜んで。…ラファエル先生には、あとでお礼を言わないと」
「そうですわね!今度ジェローム先生も誘ってみんなでお茶会にしませんこと?きっと、とっても素敵ですわ」
「いいね。楽しみ」
アナトールがそう言ってくれるので、お茶会の方の準備も密かに進めておくことにする。




