一緒に食べる
髪を切り終わって美容師が帰ると、ちょうど良い具合に三時のお茶の時間になった。
「アナトール、一緒にお茶の時間にしましょう」
「俺も食べて良いの?」
「もちろんですわ!」
アナトールを連れて、庭の東屋へ行く。
「ここでのお茶の時間が最高の至福なんですの」
「へえ…」
「茶葉は何が良いかしら」
「エリアーヌのお気に入りがいい」
「わかったわ。お願い」
お願い、といえばすぐに侍女が私のとっておきの紅茶を淹れてくれる。
「どうぞ、アナトール」
私が勧めれば、アナトールは一口飲んで驚いた表情を見せる。
「孤児院で飲んだのとは全然違う」
「えっと…良い意味かしら?」
「すごく美味しい。あっちは紅茶というより紅茶水だった」
可愛らしい表現に少し笑ってしまう。そんなアナトールが愛おしい。
「お茶菓子も食べて。今日はチーズケーキですわ」
「ん、いただきます」
一口パクリと食べるアナトール。その姿すら愛おしい。
「…こっちも美味しいな。贅沢な気分だ」
「これからたくさん、贅沢させてあげますわ」
「ありがとう、エリアーヌ。俺はエリアーヌに何を返せるだろう」
「あら、お返しなんていいんですのよ?でもそうね…」
「ん…」
私の言葉を待つアナトールに、はっきりと言う。
「貴方の幸せが、私の幸せ。だから、貴方が幸せになってくれることが最大級のお返しですわ」
その言葉を受けて、アナトールはきょとんとした後、わかったと頷いた。
ちゃんと伝わったのかどうなのか、いまいちわからないリアクションだったが…これから少しずつでも、わかってもらえたら嬉しい。




