ヒロインのいる村はなんだか甘い匂いがする
これで、攻略対象五人とヒロインを懐柔し、恩を売りつけ、味方にできた。ついでにちゃんと攻略対象五人のヒロインの心を守ることもできたのだし、いい加減安心してもいいと思う。
ということで、何も考えずにジーク村の気まぐれ日帰り旅行も楽しんじゃおうと思う!
「ねえ、貴女。治安部隊との話は終わりましたの?」
「はい、お嬢様」
「では、護衛騎士達も連れてエミリーに観光案内してもらおうと思いますの。よろしくて?」
「…もう、危険なことはしないでくださいね?」
「もちろんですわ!」
というわけで。
「エミリー、この村を案内してくださいな」
「は、はい!」
エミリーと親睦を深めつつ、遊び倒す。
「ではまずは、伝統工芸の職人をやってるおじいちゃんのところに行くのはどうでしょうか?」
「いいですわね!行きましょう」
エミリーは村の伝統工芸の職人さんのところに連れて来てくれて、お土産をいくつか買う。
「おじいちゃん!今日ね、治安部隊が忙しそうでしょう?実はね、ウチが強盗に襲われて大変だったの!でも、ここにいるエリアーヌ様が私達家族を強盗から助けてくれたの!」
「そりゃあえらいこっちゃ」
「その時のエリアーヌ様、本当にかっこよかったの!」
「ならぜひともお礼をせねばのぅ」
結構なお値段の壺をお父様とお母様へのお土産として買う。その間にエミリーから私が強盗犯から助けたという話を聞いた職人さん。
「お嬢様。大したお礼もできんがの、どうせなら壺作りの無料体験もしてみるか」
「まあ!いいんですの?ぜひ!」
というわけで自作の壺も作ってみた。
「焼き上がるまでしばらくかかるが、また遊びに来てくれたら渡すでなぁ」
「ふふ、近いうちにまた来ますわ!」
「ついでに色も付けといちゃる」
「あら、ありがとうございます。嬉しいですわ」
今度遊びに来た時に回収しよう。気のいいおじいちゃんに感謝。
「次は…そうだなぁ。村に流れる穏やかな川でも見ますか?」
「いいですわね!ぜひ!」
ということで、川を見に行ったりもした。特に何かあるわけでもない普通の川だが、水面からお魚が見える綺麗な川だ。釣りをする人もいるらしい。
「おじさーん!」
「おお、エミリー!治安部隊が騒がしかったがどうかしたか?」
「ウチが強盗に襲われたの!」
「はあ!?」
「でも、この方が助けてくださったの!すごくかっこよかったの!」
お魚を釣っていたおじさんが、エミリーから私の武勇伝を聞かされる。
「お嬢ちゃん、無事かい?うちの村の子がお世話になったなぁ」
「いえいえ」
「お礼に釣りたてほやほやの新鮮な魚を焼いてやるよ、ちょっと待ってな」
エミリーを助けたお礼にと新鮮な焼き魚をプレゼントしてくれたおじさん。
「ほい、どうぞ」
「いただきます…んん!美味しいですわ!」
「この村の川は綺麗だからな!魚も美味いんだ!」
釣りたて焼きたてのお魚はとても美味しかった。
そんなこんなで、ジーク村観光を満喫していたのだが。
「次はどこにご案内しようかな」
「…なんだか、甘い匂いがしますわ」
「え、甘い匂い?」
「あっちですわ」
「エリアーヌ様!?」
どうしても無視できない、本能が疼く匂い。
私はエミリーと侍女、護衛騎士達を連れて匂いに導かれるまま歩みを進めた。




