両親が強盗に襲われそうになった時、颯爽と現れたお嬢様
紅葉の美しい季節の出来事だった。ジーク村という田舎で、両親と慎ましくも幸せな日々を送る私、エミリーは運命の出会いを果たしたのだ。
その相手は、村に気まぐれ日帰り旅行とやらに来ていたお嬢様。
お名前はエリアーヌ・ビジュー・デルフィーヌ様。アルヴィア王国筆頭公爵家のお嬢様だ。本来なら雲の上の存在。
それなのに、私達家族を助けてくれた救世主。
その出会いは、色々と衝撃的だった。
「強盗だ!金を出せ!」
「きゃあ!」
いきなり大柄な男たちが家に押し入ってきた。お父さんとお母さんが殺されるかもしれない。私はパニックになりかけたのだが。
「護衛騎士達!助太刀に行きますわよ!」
「え、あ、お嬢様、危険です!」
そんな声が、外から聞こえた。
そして、女の子が入ってきた。
「私の前で、悪さは許しませんわ!」
かっこよく登場した女の子。私は突然のことに、どうリアクションしたらいいかわからない。
強盗犯達もぽかんとしていたが、女の子に向かって激昂した。
「邪魔する気なら容赦しねぇ!」
刃物を女の子に向けた男が一人。けれどその瞬間、なぜか刃物がぐにゃりと曲がった。
「お嬢様!」
遅れて入ってきた侍女さんが、女の子を守ろうと間に割って入った。その侍女さんに危害を加えようとした男の腕が、なぜか有り得ない方向に曲がった。
「大人しくしろ!」
そこに女の子の護衛だろう騎士様達が入ってきて、あとはあっという間に制圧。縄で縛られた強盗犯達は治安部隊を呼ばれて引き渡された。
侍女さんや護衛騎士様達が治安部隊とやり取りしている間に、私は両親の無事を喜び、遅れてやってきた恐怖に怖かったと泣く。女の子に一番にお礼を言わなきゃいけないのに、感情がぐちゃぐちゃになってそれどころではなくなっていて。けれど女の子は、そんな私に優しく声をかけてくれた。
「貴女、大丈夫ですの?泣いていますけれど、怪我は?」
「あ…」
泣いたことで少しスッキリして、女の子に今度こそお礼を言えた。
「助かりました!ありがとうございます!お父さんとお母さんが死んじゃうと思って、私怖くて…本当にありがとうございます!怪我はないです!」
「どこの誰かも存じ上げませんが、ありがとうございます」
「なんとお礼を申し上げれば良いか…」
両親も女の子に頭を下げた。それを見て女の子は微笑んでくれた。
「いいんですのよ。怖かったですわね、よしよし」
私は、このヒーローに心から憧れた。
「助けに来てくれた時、とってもかっこよかったです!」
「これからもご両親を大切にするんですわよ」
「はい!」
「それと、時々遊びに来てもいいかしら?お友達になってくれませんこと?」
「…喜んで!」
こんな凄い方のお友達だなんて、とても光栄だ。
「では、改めまして。私はエリアーヌ・ビジュー・デルフィーヌ。アルヴィア王国筆頭公爵家の娘ですわ」
「エリアーヌ様…あの、私はエミリーです!見ての通り平民なんですけど…」
「それでも、せっかくの出会いですわ!お友達になれて嬉しいですわ」
「ふふ、はい!」
私はこの出会いを、一生の宝物にすると決めた。




