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記憶を探る

「とりあえず、まずは乙女ゲームの設定を思い出すところからですわ」


まず、この乙女ゲームの世界。「運命の番なんて関係ないー番ではない人族と獣人族の恋物語ー」というコッテコテの乙女ゲーム。


獣人族と人族が覇権を争う世界で、珍しく獣人族と人族が手を取り合う国アルヴィア王国が舞台だ。


「主人公は人族の女の子でしたわね」


主人公エミリーは清らかな平民の、人族の女の子。実は物語終盤で聖女だと判明する。金髪に金色の瞳。


そのエミリーが、様々な貴公子と出会いその問題を解決することで攻略キャラクターとの物語が進む。


この世界では、獣人には運命の番と呼ばれるバリバリに相性の良いお相手が必ずいる。しかし、その相手と出会えるかは運次第。


この乙女ゲームでは、主人公は攻略キャラクターの運命の番ではないにも関わらず運命的な恋に落ちるのが盛り上がるところ。


「そして、私…」


私、エリアーヌ・ビジュー・デルフィーヌは悪役令嬢だ。


赤い髪に赤い瞳の赤龍の獣人。


アルヴィア王国の筆頭公爵家の生まれ。わがままお嬢様で、エミリーが気に入らずいじめ倒す。


どのルートでも、必ずエミリーと攻略キャラクターに断罪される。


その時にはエミリーは聖女なので、厳正なる処罰を与えられる。具体的に言えば、規律の厳しい問題児だらけの修道院に送られる。


「あの修道院に入れられるのは嫌ですわ。なんとかして避けなければ…」


そのためにも攻略キャラクター達を思い出す必要がある。


ようは、悪役令嬢にさえならなければいいのだ。


つまり、ヒロインより先回りして攻略キャラクターを救えばいい。


そして、攻略キャラクター達の婚約者になることを避ければいい。


悪役令嬢エリアーヌは、ヒロインであるエミリーがどのルートを選んでも必ずそのキャラクターの婚約者に設定されていたから。


「まず、攻略キャラクターその一」


オードリック・バジル・アルヴィア。


金髪に緑の瞳の獣人の王子様。俺様系。


身体が弱いことがコンプレックスだったが、その理由は呪われていたから。


つまり呪いを解いてやればいい。


「攻略キャラクターその二」


カジミール・ブノワ・バスチアン。


騎士団長の息子、人族。心優しい穏やかな少年。銀髪に青い瞳。


一生怪我は治らないのがコンプレックス。


つまり怪我を治してやればいい。


「攻略キャラクターその三」


シャルル・コロンブ・ドナシアン。


魔法師団長の息子、獣人族。心に傷を負った少年。緑の髪に赤い瞳。


母を亡くし心に傷を負う。


つまり、その傷に寄り添ってやればいい。


「攻略キャラクターその四」


エミール。


商人の息子、人族。ややナルシスト。貴族学園には、特待生として入る。青い髪に青い瞳。


商人の両親が嵌められて罰を受けた。


つまりその事件を回避すればいい。


「攻略キャラクターその五」


フェリクス・ガエル・エマニュエル。


女の子として育てられている男の子。引っ込み思案。ピンクの髪に水色の瞳。


病弱で、魔除けのために女の子として育てられていた。それを笑わず認めてやればいい。


「そしてヒロイン」


ヒロインであるエミリーが聖女に覚醒するのは両親が強盗に襲われそうになった時。そこに介入すればヒロインが聖女に覚醒することもない。発覚するのは物語終盤だが、物語が始まる前の聖女としての覚醒を抑えてしまえば発覚もなにもない。


「うんうん、大体の流れは思い出しましたわ」


あとはどう行動するか。

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