攻略対象その四を懐柔
「さて、そろそろ頃合いね」
私は緊張している。何故なら。
エミールの両親である商人たちが、いよいよストーリー通り別の悪徳商人に嵌められたのだ。
悪徳商人のやった悪行を、そのままエミールの両親がやったことにされ裁判を起こされたのだ。
「証拠を揃えて、裁判で勝てるように助太刀する。私にできることはそれだけ」
エミールのトラウマになるこの事件。私が解決出来れば、エミールにトラウマを植え付けずに済むし、私は多大な恩を売れる。
ただ、正直一番の難関だ。
証拠集めが、難しい。
「…有能な弁護士集団と、有能な探偵。その確保からね」
私はお金に物を言わせて、弁護士と探偵を雇ってエミールの両親に付けた。今貯まっているお小遣いを有りっ丈使った。
「こんにちは、商人さん」
「お、お嬢様!この度は弁護士と探偵をこちらに派遣していただき、本当に、本当にありがとうございます!」
弁護士と探偵をエミールの両親のところへ派遣してしばらく経った。裁判で勝てるだけの証拠を探偵が掴み、弁護士がそれを元に裁判を有利に進めている。今ではむしろ、悪徳商人が反対訴訟されている。
「解呪の鱗や魔女の万能薬。手に入れるのが中々難しい品を、商人さんはいつも私の元へ届けてくれましたわ。恩返しがしたかったんですの」
「そ、そんな恩返しだなんて…」
「いつもありがとう、商人さん。これからもよろしくお願い致しますわ」
「…はい!ありがとうございます、お嬢様!」
こうして、攻略対象その四の問題も無事解決に向かっている。
「…あ、あの!」
そこで、商人さんの後ろからひょこっと顔を出した少年がいた。…エミールだ。
「なにかしら?」
「この度はありがとうございます、お嬢様!俺はエミールって言います!どうしてもお嬢様に直接お礼が言いたくて、付いてきてしまいました!」
「ふふ、そんなにかしこまらなくていいですわ」
「本当に、本当にありがとうございました!お陰で悪徳商人を逆に追い詰めることまで出来ました!これで安心して両親が仕事を続けられます!」
エミールは思った以上に、私に感謝してくれたらしい。
「私はただお小遣いを使って、弁護士さんを雇って探偵さんを雇っただけですわ。本当に頑張ったのはご両親ですわ」
「はい…けど、悪徳商人に嵌められて意気消沈していた両親が、戦おうと覚悟を決められたのはお嬢様の援助があったからです!それまでは両親は諦めムードで…お嬢様のおかげで、気力が湧いたんです!だから、ありがとうございました!」
そこまで言われると、悪い気はしない。私はエミールに優しく微笑んだ。




