4気になる
気になる。気になるでしょう?母がケリーならば、父は?と。怖い。怖くて聞けない。けど、推測では、あの人・・・。ケリーが誰かに私のことを見ているように言っていたので、せーの!
「おー」
トマスラルさーん。
「・・・スウ様。ありがとうございます」
部屋に入ってきていたトマスラルさんに、深々と頭を下げられました。寝返りもまだなので、ちょっとしか見えないんだけど、多分そう。
それにしても、何のお礼だろうか。産まれてきたこと?それは、お互いにお礼を言わないと。
「あー」
トマスラルさんが苦笑します。
「何となく分かるものですね」
ケリーに怒られますよ。私とケリーは会話できてますからね。
「う」
「俺、ケリーと結婚しました」
「お」
やっぱり、父でしたか。
「スウ様が産まれて、戻って来て下さって、本当にライ様もケリーも幸せそうで」
「うお」
「父よ」とは呼びかけませんが、トマスラルさん、あなたの幸せは?
「俺も、嬉しいです」
言わせたようですが、まあ、いいでしょう。
「う」
「これからも、よろしくお願いします。早く大きくなって下さいね」
あ、逃げる気ですね。よし、今が最大限の力を発揮する時!!
ころ。
寝返り成功です!!
ううん。座りがというかいまいち、しっくりこない。泣きます。
「ああ~~。うわ~ん。あ~あ~」
「え? ええ? スウ様。それは無いでしょう。俺、苦手なんですよ。うわー。どうしよう? 触る? 抱き上げる? っ!」
そっと、持ち上がりました。
お。上、向いた。良い感じ。
「お、おおー」
「いや、勘弁して下さい。慣れてないんで」
慣れましょう。
むむむ。下ろそうとしてますね。そうは、問屋は卸しませんよ。泣いちゃいましょう。
「ああ~~。あ~。あ~あ~。あ~~~ん」
「わー。え? 下ろしちゃ駄目ですか? 泣かないで下さい。お願いしますよー」
トマスラルさんの方が泣きそうなので、そろそろ泣き止むかと思った所に、ケリーが飛び込んできました。
「スウ様! ・・・先輩?」
ケリーはすぐさま状況を理解すると、私をそっと抱き上げにっこり笑って、寝台に寝かせる。
私は一言も発しなかった。