30楽しむ
「うーむ」
「何をお悩みですか?」
「ひとつに」
おや?発音ができていませんか!?
「昨日、お話されていた施設をひとつにまとめるか、ばらばらにするかですか・・・」
「ライ様、そうだん」
気が付いてくれたのか、ケリーも何も言わずにっこりしてくれています。意識しすぎても良くないですからね。自然に、短めに話すことを心掛けます。
「相談は朝食後に時間を頂いてまいります」
「よろしく」
「スウ。昨日の芸術系について相談があるとか?」
あ、そうだった。芸術やるって言って、娯楽に走ってしまったー。まあ、楽しければいいか。
「たのし。ひとつ?」
「ん?」
ライ様がケリーに疑問を投げかけます。
「芸術というよりも娯楽施設を大きく一つにまとめるか、点在させるか迷われています」
「ふむ。芸術はやらないのか?」
「まりょくなし、げいじゅつない」
「そうかもしれませんね。そもそも、魔力を放出するものを芸術としているのであれば、芸術を謳ってまでやることはないと」
「ああ。多くの人が気軽に楽しめる方がいいな」
「はい」
「賛成です!」
「トラ」
いきなり、出ましたトマスラルさん。南の人を探さなくてよくなるかの瀬戸際ですからね。きっと、面倒なのでしょう。確かに、北ではちょっと肩身が狭いそうで、南出身であると隠している方が大半です。北には北の言い分があるとのことですよ。
「大きい施設を一つがいいんじゃないでしょうか?」
「確かに、魔力を制限する場所は点在するよりも集めた方がいいな。だが、トラの仕事は継続だ。話を聞いておきたい」
「・・・はい、畏まりました」
トマスラルさんの意気消沈振りを少しも気にせず、ケリーが話を進めていきます。
「どちらに作りますか?」
「あー・・・。わりと新しい荒れ地がある」
ケリーが眉だけで先を促します。トマスラルさんは若干、呆れています。
「ちょっと、自分の能力の再確認をしていてな。できてしまったんだ・・・」
「あれち?」
「分かりました。そちらに、調べに入ります。先輩」
「はいはーい! 行ってきます」
トマスラルさんがケリーの一声で飛び出していきました。




