28探そう
「誰か、南から来ていないだろうか?」
「探してみます」
何事もなかったかのようにライ様とケリーの会話は続きます。
「スウ。北の者はあまり芸術性を重視していない者が多くてな。時間を貰えるか?」
「あい。きゃんぎゃえちょく」
「スウ様も案を考えて下さるそうです」
ん?南の芸術で何か引っかかるような・・・。
「あにょね、ライ様とケリーはみにゃみのげじゅつちた?」
「いえ、私はありません。ライ様も南での観劇等は見聞きされていないと思います」
ケリーの解説と回答に思わず頷くだけのライ様。ごめん。ライ様には難易度高かったー。でも「芸術を見たり聞いたりした?」って口を動かすのは凄く大変だったの。
ケリーは聴こうとすると色々な音を拾い過ぎて、なかなか集中でき無いそうで、ライ様は人の多い所にはずっと出掛けられなかったと・・・。そうでしたね。私も一緒にそういったものに、行った記憶は無いのです。
「フロロウクも北から動くことは少ないから、トラを呼ぶか・・・」
「はーい。お呼びでしょうか? え? 南の?」
ライ様が告げた途端、トマスラルさんが出現しましたよ。そして、記憶を探ってくれています。
「あちょね、わたちがみにゃみにいりゅとふちゅごうじゃっちゃ?」
「スウ様、そんなことは!」
「ああー! そうか! そうです、スウ様」
思い出したのは分かるけど、今その言葉の選び方はまずいよ、トマスラルさん。
「トラ、何を思い出した」
トマスラルさんがケリーに追い出される前に、ライ様が聞き出します。
「南の芸術は魔力を放出していたはずですよ。確か、南に行った際に説明聞いて、俺たち向きじゃないなーって思った記憶があるんです」
「ちょれ!」
そう、それですよ。まさしく。
「南の芸術は放出型の魔法が使われているのか?」
「全部がそうではないんでしょうが、そうすると俺たちの魔道具とも宿の売りにもそぐわないですね」
ライ様の言葉にトマスラルさんが同意する。
「うーみゅ。なちでやりゅ?」
「魔力放出なしの芸術ですか?」
「みにゃみとおにゃじちょとちなくてみょ」
「確かに、南と同じことをやる必要は無いですね。逆に、違った方が良さそうです」
「分かった。その方針で行こう! だが、トラは南の芸術ができる者を探しておいてくれ」
ライ様の一声で決定です。ライ様大好き、トマスラルさんが珍しく渋っています。
「何故ですか?」
「言い掛りを付けられるのはごめんだからな」
「ああ。知っておけば、違う事も主張できると」
「そういうことだ」
どうも、お世話をお掛けします。




