第100章 恋
翌朝、ギルドに昇格試験のことを確認しに向かう途中。
「ダグラス選手だ!!!ここにいるぞ!!!!」
1人の男性が叫ぶと、人ごみが寄ってたかってきた。
『え…!?』
陰キャな性格がでて、俺は瞬時に”気配遮断”で姿を隠した。
「あれ…?さっきまでここにいたのに…」
どうやら俺のサインを求めているようだ。
『武闘大会で優勝したらそりゃあ人気になるか…今まで通り1人でこっそりとはいかないな…』
そのまま姿を隠してギルドのギルマス室にたどり着いた。
「ダグラスだ。入ってもいいか?」
「ああ!」
中に入ると、ファビオだけではなく師匠とカルファさんもいた。
「久しぶりだなダグラス!!それと、武闘大会優勝おめでとう!!」
「ああ。ありがとう。」
「試合で戦ったけど改めて…僕はカルファ。君の師匠、カイルと同じSランク冒険者だ。よろしくね。」
「ダグラスです。カルファさん、よろしくお願いします。」
「敬語はいいよ。それと呼び方もカルファで。」
「はい…じゃなくてああ。分かった。よろしくカルファ。」
「よろしく!」
「ところでどうしてファビオの他に師匠とカルファがいるんだ?」
「それはな!!ダグラスがSランク冒険者2人に勝ったからお前をSランクに推薦しようと思って!」
「そうか…ありがたい話だが断るよ。」
「どうして!?」
「Sランクになると色々面倒になりそうだからな…俺は自由にやりたいんだ。」
「そうか…分かった!とりあえず昇格試験は合格だから今日からAランク冒険者だ!」
「ありがとう。」
それから少し話をした後、ギルマス室を出た。
武闘大会の閉会式は午後からなので、まだ時間がある。
『フィールドでも行くか…』
「ちょっといいかな?」
「どうしたカルファ?」
「試合の時から気になっていたんだが、その装備に使われてる素材はなんだ?」
「俺も気になってた!!」
「やっぱりカイルも気になるよね!」
「それは内緒だ。」
「…どうしてもだめか?」
「師匠命令だ。教えてくれ!!」
「…仕方ないですね。これは海龍の鱗で作られたものです。」
「海龍って…海上都市伝説の!?」
「ああ。」
「倒したのはダグラスだったのか!てっきりリヴェリアのやつがやったのかと思ってたぜ!」
「師匠、リヴェリアって?」
「知らないのか?地上最強のSランク冒険者リヴェリア=ウォーカー。彼女は”神話殺し”の二つ名で有名だ。」
「”神話殺し”?」
「ああ。リヴァイアサンとかファフニールとか、神話に出てくる古の時代の生物の討伐を目指している冒険者だ。」
「そんな人がいるのか…」
「ああ。そういえば最近海龍を倒した人を嗅ぎまわっていたな。」
「えぇ…絶対に情報漏らさないでくださいよ?」
「ああ、いや…多分もう遅い。」
「え…?」
「実はこの前俺のところにダグラスのこと聞きに来たんだ。それで…」
「ここに来てるのか?」
「…ああ。すまない。」
「いや、仕方ない。じゃあ俺はもう行くよ。師匠、カルファ、またな!」
「ああ!」
「またね!」
それから俺は”偽装”で姿を変え、街で時間を潰した。
そして閉会式に向かった。
「お前ら武闘大会は楽しかったかーーーーー!!!!」
「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
「これから表彰をする!!まずはベスト16、アントン選手!!!」
それから順番に呼ばれついに俺の番が来た。
「優勝、ダグラス選手ーーー!!!」
「ダグラス!ダグラス!ダグラス!…」
「暗殺ギルドのリッパーやSランク冒険者2人を倒しての優勝!!その快進撃は実に見事だった!!!!」
「ありがとうございます。」
「優勝賞品はなんと!!金貨100枚とダンジョンで発掘された地図だーー!!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
『…え!?』
ダンジョンで発掘された地図には、その目印の場所に国宝級以上の宝が眠っていると言われている。
例えば絵本に出てくる勇者はこの宝の在り処で聖剣を得たという。
この場所には何が眠っているのか楽しみだ。
「…ありがとうございます!!」
「これで武闘大会を終了する!!!」
その後師匠とカルファに挨拶をしていると、サインを求めた多くの人々が群がってきたのでフィールドに逃げた。
『ふぅ…流石についてくる人はもういなくなったか…』
そう思っていると背後気配を感じ、臨戦態勢を取った。
暗闇からコツコツと足音を立ててこちらに近づいてくる。
「驚かせてしまってすみません。貴方がダグラスさんでしょうか?」
「はい。そうですけどどうしま…」
透き通るように綺麗な銀色の髪、慈愛の中にも信念が宿り力強い水色の瞳。
どこか幼さを感じさせる顔つきに均整の取れた手足。
俺は彼女のこの世の者とは思えないほど美しい姿に目を奪われた。
「あの…私の顔に何かついていますか?」
「い、いえ。じっと見てしまってすみません!」
恋に落ちる音がした。
この世界に転生してから初めての恋だ。
ここから俺の異世界恋愛生活は始まるのだろう。
そんな予感がした。
「私はリヴェリア=ウォーカーです。少しお話をしませんか?」
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