とあるお休みの日
今日のお勉強はお休みなのです!
前世の記憶がある私にとって勉強はほとんど意味がない。中には、私の知らない事があったりするがそのほとんどが歴史である。故に歴史の勉強と魔法の勉強は退屈しない至福のひと時である。
それ以外は正直、家庭教師より私のほうがかしこい程で、いったいどうしてこんなに学力が落ちているのだと困惑することになった。しかし、よくよく考えてみれば私が周辺諸国を滅ぼしたことが原因かもしれないと思い至り、これは罰なのだと自分に言い聞かせ文字通り退屈な時間を過ごしている。
それに、書庫の歴史の本を読みつくしたなら歴史の勉強も退屈なのでは?と思われる方もいるかもしれないが、書庫では私についてしか調べていないので、それ以外の歴史については知らない。
魔法に関しては、まだまだ練習が必要ではあるけれど、中級レベルなら暴走させず使えるようにはなった。また、レベルが低いと思っていた呪文だが昔と違った理論も展開されているようだ。私は威力を上げるために詠唱をするのだが、どうやら現在は魔法を発動させるために行うらしい。技の威力が上がるごとに呪文が多く難しくなっていく。無詠唱でも使えるのだが魔法学園で呪文を使わず、無詠唱のみでやっていくのも浮きすぎて逆につまらなくなりそうだと思った私は、周りに合わせる為に目下呪文を勉強している。
そんなお休みの日は町へ買い物にいくのもいいのだけれど、今の私は弟のアルベルトが可愛くて仕方ないのである。
「アル君~こっちだよ、お姉さまだよ~」
「あぁう~あーねー」
不安定な足取りながらも私に向かって歩いてくるアルベルトはとてもかわいい。見てるだけで可愛いからこっちから迎えに行くことはせずひたすら待つ。至福である。
ついにアルベルトが私の元にたどり着いた。このやわらかい感触もたまらない‼
アルベルトを抱き上げて私は中庭へ向かう。次は魔法を見せるのだ。
「アル君、ほら!火の球と、水の球だよ~」
「あまーふわああ」
火の球と水の球を空中でくるくるさせると、キラキラした目で見てくるアルベルトはとても可愛い。魔力と前世の知識ありがとう。回しながらクロスさせたり横にしたり縦にしたりと、アルベルトが喜ぶので様々な形へと操る。至福である。
そうしているうちにお昼の時間になる。もちろん、アルベルトに食事を与えるのも私だ。メイドがやるというが譲らない。
「アル君、あーん」
「あー」
口を大きく開けて、私から食事を受け取るアルベルト。すごく可愛い。至福である。
その後もアルベルトと遊んで一緒にお昼寝してまた遊んでと、1日をアルベルトと過ごした。
「勉強なんて魔法と歴史だけでいいから、毎日アル君と遊んでいたい」
とつい口に出してしまうくらいに私はアルベルトに夢中である。
「弟を可愛がるのはいいが、四六時中一緒というのも…。」
「私たちもアシュリーとアルベルトともっと遊びたいのだけどな。」
対して両親は、私がアルベルトと二人で遊んでいることに、すこし不満のようだ。
「それならね!今度お父様がお仕事お休みの日に皆で遊びに行こうよ!」
「おっ、それはいい考えだねアシュリー!アシュリーはどこか行きたいところがあるのか?」
「んーとね、ラタルに行きたい!」
「ラタルか…。なるほど、レジーナ関係だね?本当アシュリーは黒炎の魔女が好きだね」
「でも、ラタルだと日帰りは少し厳しいわね…。あなた、5日ほどまとめてお休みは取れますの?」
「そこは、任せておいてよ。無理やりにでももぎ取って見せるさ。」
任せておけと、お父様は胸を張るが、本当に大丈夫なのかしらとお母さまは心配していた。
そしてアシュリーは、会話をしながらもアルベルトにかまっていたから2人の様子などまず知らない。
ご拝読ありがとうございました。
やる気にもつながるので、面白いと思っていただけましたら評価・感想のほどお願いいたします。