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001ユニコーンの輝き

アニメぢゃないっ!!


2017年9月24日

ダイバーシティ東京プラザにて、ユニコーンガン◯ムの展示が始まった。

多くの人がデストロイモードの輝きを見上げる中、その光景を見下ろすものがあった……


なんだかアレな短編です。サクッと読めます。

専門用語や難しい言葉はなるべく排除して、話も読みやすく纏めました。

色んなネタを突っ込みました。気付いてニヤリと笑ってくれると幸いです。

※本作にはエセ方言が多大に混入しております。申し訳ございません※

※本作はフィクションであり、コメディです。繰り返します。本作はフィクションであり、コメディです。マジで頼んます※





0001ユニコーンの輝き





それは2017年9月24日(日曜日)の事だった。


ダイバーシティ東京プラザにて、ユニコーンガン◯ムの展示が開始された。

以前お台場に展示されていたRX78、つまり、初代ガン◯ムに比べると知名度は少し劣るものの、その搭載されたギミックに、ガンダムの事なんて知らない、むしろオタクきめーとのたまっている連中も「なにこれすげー」とはしゃいだ。


夜空にデストロイモードの赤い光が溶けていく。


これは、ユニコーンガン◯ムの変身形態で、白いボディの各所が割れ、赤い部分が露出する。

知らない人から見ると、傷の様に見えるかもしれない。

しかし地味な顔が開いて、ガン◯ムフェイスが出てくるというのは、ワクワクする。


これによって、ユニコーンガンダムの映像ソフトの売り上げが少し上がった。


白いボディ。

溢れる赤い光。


赤い部分の劇中設定は、名を「ゲヒルンフレーム(伏字)」といい、操縦者(NT)の脳波に反応する小さなコンピュータチップを金属に混ぜ合わせた素材で、機体の運動性能や操作性を上げるためのものだったが、どうして光っているのかもよく分からず、どうして妙な力が出るのかもよく分からない。そういう、設計に無く予想もしていなかったおかしな力の象徴。






ガン◯ム好きな人、そうじゃない人、とりあえずノリで参加したカップル。

様々な人達が見上げるユニコーンガン◯ムを、見下ろしている者たちがいた事を、まだ誰も知らない。





・・・・・




2017年9月27日


 日本、総理官邸に闖入者が現れた。

 喋る小鳥である。

 姿はウグイスのそれであった。

 仕事を終え、さぁ食事をしようかというところで入って来た小鳥は、

「はじめまして。お時間よろしいでしょうか」

 と、随分流暢な声で話しかけてきたのだ。

 

 そもそも、いくらウグイスとはいえ、総理官邸に侵入できるものではない。

 どこから入って来たのか。

 控えているSP達は冷や汗をかいた。

 総理はというと、新しいオモチャか何かかと勘違いしていたのだが。

「食事の場で重要な話し合いがされる事は多いと知った。日本国の統治者であるあなたと話をしたい」

 続けて、やはり流暢な日本語で話しかける。

 

 恐ろしくリアルだが、ドローンの類だろう。

 もし爆弾でも詰まっていたら。

 今更になって、SP達はこの得体の知れないウグイスを捕まえるために駆け寄った。

 

「お、ああ?」


 SP達の口から間抜けな声が漏れた。

 

 ウグイスに触れることができないのだ。

 見に見えない膜の様なものがウグイスを覆っており、10cm程まで手を近付けると弾力を感じる。押せば押す程強くなり、とうとう反発力で手が跳ね返ってしまう。

 バランスボールやゴムマリの様な感触だった。

 

 ここに来て、どうやらオカルト的な出来事が起こっていると総理は理解した。

 特に取り乱す事は無い。

 この様なものは日本各地、それに世界を回っているとよくある。実際に対話をした事もある。

 古きもの、ヌシ、カン、カムイ、妖怪、マジム、様々なものを見たり、話したりした。

 今の所それぞれの約束を違えては居ない。

 果たしてこのウグイスはどこからの使いだろうか。

 

「はじめまして。日本国総理大臣阿部靖三です。御用向きを聞かせて頂いてもよろしいでしょうか」

 落ち着いた声で、問う。

 

「これは、自己紹介が遅れました。私は、アルク・メルク・ヌファ・ポポンチ307、船長、メルオルと申します。種族はナニュニュメスです」


 SPも絡んだドッキリか何かなんじゃないかと、総理が思ったのはしょうがない事だ。

 

 ナニュニュメス、などと、言い難い言葉も流暢に話す。

 これは相手の名前を言い難くて困っている自分の映像を見て笑うとか、そういうものではないのだろうか。

 SPを見回すと、緊張した面持ちで、もしもの時には総理に覆い被さって盾になれる様に構えている。

 

「ああ、これは中継用の…… そちらではドローンというのかな? そういうものですよ」

 と、ウグイスが言う。

 総理の表情や間から、何かを感じ、察して言葉を続けたのだ。

 少なくとも、相手はそれだけの知性があるという事になる。

 

 総理は、とりあえずドッキリの線は捨てて、まだ話をした事の無い古きものだと思って対応する事にした。


「用向き…… なんのために来たのか、という事ですね?」

「はい」

「調査と…… そして、もし可能ならば力を貸して欲しいのです」

 首の回転から細かな所作までウグイスそっくりなそのドローンは、本当に困っている様に見えた。

 それは言葉に含まれる感情の声色まで表現しているせいかもしれない。

 

「力を貸して頂きたいのです」

「ほう」


 生贄か、祭事か、今手が空いている者は…… と、総理はすぐに考えを巡らせる。

 

「ゲヒルンフレームの技術を、提供していただけないでしょうか」


 総理を始め、周りのSPが固まった。

 いや、正確には、5人のSPの内1人は笑いを堪えるのに必死で、もう1人は完全に「ブバッ」と吹き出して居た。

 

 総理は、驚きを全く表情には出さず、

「理由をお聞きしてもよろしいでしょうか」 

 ウグイスは続ける。

「はい。実は……」



 ・・・・・

 

 

 ウグイスドローンは去っていった。

 一通り話をした後、また次回の会談でさらに話を詰めましょう。そういう事になった。

 ウグイスはまるで霧の様に霧散して消えたが、去り側に、

「盗聴の危険はありません。日本国にとってもゲヒルンフレームの事は重要機密でしょうから」

 と言い残して。

 

 いくら総理官邸といえど、盗聴の危険はある。むしろ他所よりずっと高いだろう。

 電話は確実に盗聴されている。

 

 ウグイスが去った後、しばらくの沈黙があった。

 

 そして、

「ウグイスの…… いえ、メルオル船長の話が…… 分かった方はいますか?」

 周りで固まっているSPに対する言葉だ。

 少し間を置いて、一人がすっと手を挙げた。

 メルオル船長の話を聞いて吹き出してしまった男だ。

 総理は1つ頷いた。

「やはり、ガン◯ムの劇中に登場するアレだと思うのですが」


 分かりきっていた答えだ。

 メルオル船長の話から、9月24日に展示が開始されたアレだというのは阿部総理もわかっていた。

 だが、阿部総理は、この「ゲヒルンフレーム(伏字)」については、知識がなかった。

 

 またしばらくの間を置いて、

「麻宗さんを呼んでください」

 一人のSPが頭を下げ、部屋を退出していった。

 SPから言付けられた秘書は麻宗に連絡を取った。

 

 それから2時間程して、麻宗は総理官邸に現れた。

「あんだよ。重要な話って聞いたから急いで来てみりゃ俺一人かよ」


 だいぶ粋の良い言葉遣いの彼は、阿部総理の古くからの盟友である。


「俺に相談って事は、とうとう始まりそうなのかい?」

 麻宗は眉を寄せる。麻宗は近々始まりそうだという戦争の事を懸念していた。左翼からは目の敵にされているが、主戦派というわけでもない。誰だって戦争は嫌だ。

 日本文化を愛する麻宗は、文化財産が破壊される可能性のある戦争というものを特に嫌っていた。

 しかしイザとなれば動けるのはまず自分だろうという自覚もある。

 

「そうではなくて…… なんと言いますか…… ガン◯ムって知ってますか?」

「おう。なんだ? そっち方面の話かい。最近のは下のやつらの方が詳しいが、俺を呼んだって事は、国で祭りでも打ち上げようって腹かい?」

「いえ、その……」


 阿部総理もガン◯ムは知っていた。

 アニメは今や重要な輸出品である。なかなか時間が取れないが、各国要人の好きな作品や、有名な作品はなるべく目を通す様にしている。

 ガン◯ムも観た。観たのは劇場版三部作で、テレビシリーズは観ていないが。

 

「麻宗さん、ゲヒルンフレームはご存知ですか?」

「ん? ああ、知ってるが……」


 このゲヒルンフレーム(伏字)は阿部総理が観た初代ガン◯ムには登場していなかった。

 だいぶ後の劇場版「逆襲のロット」で有名になったものである。

 阿部総理はゲヒルンフレームを知らなかった。

 

「アニメの話をするために俺を呼んだのかい? 早急にって言うもんだから飛ばして来たってのに。まったく突然どうしたんだよ」

 麻宗はニヤニヤ笑う。

 阿部総理は特に嫌いなものは無く、オタク文化についてもまぁまぁ寛容ではあるのだが、趣味性も特に無く、規制についても票が集まるならば、という程度に考えていた。

 そんな阿部総理が突然、ピンポイントで趣味の話をしてきたのだ。

 長い付き合いの麻宗は、妙に嬉しくなってしまう。

 

「いや、それがですね……」


 続けて語られた阿部総理の話を聞き、ウグイス、もとい、メルオル船長の許可を得てSPが録画していた映像を見た。

 麻宗は、阿部総理がやっとこっちに踏み込んで来たと思ったのに、なんだこういう事かとガッカリした。

 そして、

「こりゃあ…… やべぇな……」

 ガッカリした気持ちもすぐに吹き飛ぶ。


「なるほど、こりゃ俺にしか話せねぇわけだ。他のモンじゃ聞く耳すら持たんだろうぜ」



・・・・・



 メルオル船長は、太陽系外から来た異星人だった。

 母星の方向はまだ話せないそうだ。

 

 9月24日の夜。

 偵察用ドローンがちょうど東京の上空にいた。

 そして、ぼんやりと輝くユニコーンガン◯ムを発見した。

 多くの人々が集まり、崇めている。

 その姿は鎧を着た地球人の様にも見え、興味がそそられた。

 

 調べてみると、どうやらアレは地球のマシーンらしいというのが分かった。

 特に気になったあの赤い光は、謎の力を発生させ、あのそびえ立っているマシーンの別の型の出力でさえ、小惑星を押し返す程の力が発生したとも。

 高出力起動では緑色の光に変わるので、赤い光のあの状態はまだ力を隠しているのだろう。

 

 この星にあんな凄まじいものがあったとは驚きである。

 

 メルオル船長は、まずユニコーンガン◯ムについて調べた事をさらさらの述べた。

 

 

 そして、なぜそのゲヒルンフレームの技術を貸して欲しいのかというと。

 

「我々の星系はこのままでは消滅してしまうのだ」


 メルオル船長の星系は、現在ブラックホール彗星接近の危機に晒されていた。

 ブラックホールが彗星になるのか阿部総理には分からなかったが、メルオル船長の話によればこれは特殊な例らしい。

 

 直径はこの太陽系のおよそ1千倍。

 保有する質量に関しては、聞いたこともない桁で説明された。

 これが「宇宙コワイ」というものだろうか、と阿部総理は半ば現実逃避していた。

 

 地上から目視できない距離でも通られただけで間接的な影響が発生し生態系が崩壊してしまう。

 

 メルオル船長の母星は今まさにその直撃を受けようとしていた。

 影響は出始めており、地球時間換算であと100年の内に母星は滅ぶ。

 

 メルオル船長を始め、多くの船乗り達が、移住可能な惑星の探索と、そしてこのブラックホール彗星の進路上の知的文明に警告を送る役目に就いた。

 

 残念な事に、地球に訪れたのは後者だった。

 この地球も、地球時間で1000年後にはブラックホール彗星の影響で滅びるらしい。

 

 地球の文明レベルから言って、1000年後には既に滅んでいるかもしれないし、順当に技術を継承していけば恒星間航行ぐらいはできる様になっているだろう。という事で警告は行わないつもりだった。

 警告範囲の距離としてもっとも遠いこの地球の調査を最後に、メルオル船長は帰るつもりだった。

 

 しかし、夜空からぼんやりと光るユニコーンガン◯ムを見て、興味を持ち、調べて、考えが変わったらしい。

 

 恒星間航行、恒星間移民が可能だとしても、やはり母星を守れるならそれに越した事は無い。

 ゲヒルンフレームの力で、あの彗星をどうにかできないだろうか。

 そう考えたのである。

 

「ありゃ空想の産物だと説明すりゃよかったじゃねぇか」

 劇中では宇宙コロニーや月に都市がある。観測すればそれらは分かるはずだ。

「恒星間航行や恒星間移民が可能な技術力ですし。太陽系の中から出られない文明レベルなんて誤差の範囲なのかもしれません」

 あるいは、興味のある、必要なものだけ調べて、その情報の正しさの部分は調べなかったのかもしれない。

 宇宙人とは現代の若者に近いメンタルなんだろうか。

「フィクションがよく分からない方に、フィクションとは何か説明できる自信がなかったんです。それに、もし私たちが拒否して、他国へ行ったらと思うと……」

 

 メルオル船長がゲヒルンフレームと引き換えに提示したのは、幾つかの技術だった。

 日本は技術力によって経済大国なり得ている。

 技術で得たお金で金融関係も儲ける事ができている。

 もし、他国が日本に対し圧倒的な差をもって技術大国になってしまったらどうなるのか。

 資源を売って儲ける事ができない日本は簡単に崩壊する。

 二番じゃダメなんです。

 

「話ぶりからすると、なんとも騙しやすそうな連中みたいだしな……」

 麻宗もため息を吐く。

 場合によっては宇宙に地球の恥を晒しかねない。

 

 そもそも、よその惑星に警告して回っている辺りがお人好しに見える。

 1000年後に影響を受けるという、こんな所まで。

 宇宙というものはそういうものなのだろうか。

 

 

 ・・・・・

 

 

 二人ともしばらく無言だったが、

「やってみましょうか」

 阿部総理が一言発した。

 麻宗はニヤリと笑い、

「おう、やってみようぜ」

 と応えた。

 

「うちのを使わせてもらうぜ。なんせ、アニメの空想科学を実現しようってんだ。バレたらまたマスコミが騒ぐ。うちのなら、まぁなんてことはない」

 むしろ、支持してくれる連中が増えるのではないかとさえ思った。

「すみません。お願いします」

 阿部総理は、政務で鍛えられた美しいお辞儀で麻宗に頼んだ。

 

 

 

 阿部総理は、ちゃんとしたデータを用意して、メルオル船長にフィクションを説明するつもりだった。

 対して麻宗は「面白そうだから」やる気になっていた。

 

 二人の思惑は全く違ったが、かくして秘密裏に「ゲヒルンフレーム開発計画」はスタートした。

 

 

 





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