うざい盗賊達
俺は川の隣に深さ2メートルくらいの穴を盗賊団と雇われ兵士達に掘らせてそこに立たせた。
「頼む助けてくれ…、拷問はやめてくれ。」
さっきまでのレナの拷問を見ていたせいか、既にみんな震え上がっている。
俺は何も言わずに穴と川を繋いだ。
ゆっくりと川の水が穴に流れていく。
「俺の雇い主は〇〇。」
「俺は〇〇だ。」
川の水が脹脛の辺りまで来た辺りで雇われ兵士達が喋り出した。
レナの拷問が凄過ぎたせいかどんどん喋っていく。
「同時に喋るな鬱陶しい。
貴族の者は名前と家柄と雇い主を、庶民の出の者は名前と所属する部隊名をローニャに報告しろ。
魔法で保存する。」
俺は一人ずつ穴から出してやり、ローニャの前に正座させた。
「私は〇〇家系の〇〇である。
此度貴族の〇〇様からの命により、フレズベルク・ドーヘンタイーナド様とその部隊員レナ様の御命を狙った。
失敗の責任を取って潔く首を捧げます。」
リズベル監視のもと雇われ兵士達は潔く橋へ歩いていき自らを刺して川へ飛び込んで行った。
下っ端貴族とはいえ彼等は貴族。
自分達の死ぬまでの間の行動で残された家族や家に対する制裁が変わると知っている。
雇い主を喋った事以外はそれぞれ立派な最後を迎えていった。
正直それは見たくない光景だったが俺達も貴族。
責任を持って彼等の最後を見届ける。
お金目当てで俺の暗殺を引き受けた平民出の兵士達には少し甘いが家族の安全を保障してやった。
家族の作った借金や病気の家族の治療費の為にやった者が多かったからだ。
事情があれど彼等は庶民の中ではエリートなのだ。
国で真面目に兵士を続ければ病気の家族くらいは楽に養っていける。
リズベルの出来るだけ苦しまない様にという手心もあり、彼等も貴族の習わしに従って川に飛び込んでいった。
次は盗賊団だ。
「ちょっと待ってくれ。
俺達は盗人だ、自慢じゃねえが相手を殺して金を奪った事はねえ。
法律では死刑じゃねえはずだ。」
「調べてくれればわかる。
俺達は殺しはした事ねえんだ。
助けてくれ。」
「残念だが俺をフレズベルク・ドーヘンタイーナドと知って襲った事は分かっている。
王族を襲った場合は死刑が妥当だ。」
盗賊団は静まりかえる。
「仕方ねえ、盗賊団のかしらは俺だ。
お前達を襲う様に指示してたのは俺だ。
俺を拷問して殺してくれ。
だから他の奴等は出来るだけ苦しまない様にしてくれはしねえか。」
「おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
うっうぜえ。
なんなんだこいつらのうざさは。
ただでさえ貴族達の自決で嫌な空気になっているのに、ものすごくうぜえ。
俺は盗賊団一人一人に覚えたての奴隷術をかけた。
1、本当は強盗殺人を犯した事がある者は直ぐに自決する事。
2、俺の命令従って働きお金を稼ぎ今迄盗んできた相手に倍にして返す事。
俺はこれでほとんどの盗賊が自決すると思って奴隷術をかけた。
すると驚いた事に誰も死ななかったのだ。
レナの死んだ様な目や貴族達の自決を目にして暗い気持ちになっていた俺達に少しだけ明るい気持ちが芽生えた。
俺は盗賊達を穴から出してやり、縄を解いてやった。
「おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
だめだやっぱりうぜえ…。
「バカ野郎お前達、俺はもうおかしらじゃねえ!
新しいおかしらはフレズベルク様だ。」
「えっ!なんだと…?」
盗賊達の熱い目線が俺に向けられる。
「おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
うぜえのが一つ増えやがった!
「お前達はもう盗賊団じゃない。
これからは今迄悪さした分まで働くんだ。」
「へい!おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
うっうぜえ。
どうやらこいつらのおかしらと言いたい病は治らないらしい。
俺は今回の事の転末を書いた手紙を書き、ローニャの魔力を込めた球とドーヘンタイーナド家のメダルとともに元おかしらに渡した。
「これをラインズに届けろ。
大事な手紙だ。
途中兵士に止められたらメダルを見せて必ずラインズ様に直接渡す様に言われたと伝えろ。
俺が戻るまでラインズの指示に従い心を入れ替えて頑張るんだぞ。」
「へい、おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
「おかしら。」
そういうと元盗賊達は走り出した。
俺はあれだけ鬱陶しかった「おかしら。」の声が聞こえなくなって少し寂しくなった。
「あれで良かったのでしょうか?」
真面目なリズベルが俺に問いかける。
「貴族のルールを盗賊に強制する訳にもいかないし、彼等の殺人強盗はしていないが本当だったからいいよ。
彼等にはこれから頑張ってもらおう。」
「こいつらはどうします?
既に奴隷商は片付けてありますので所有権が隊長に移行していると思われます。」
奴隷商の駒で俺達を苦しめた三人だ。
法律上は当然三人も俺に襲いかかっているので死刑なのだが、これ以上死体は見たくない。
「無理に殺す必要もない。
こいつらは奴隷商の道具だったと考えて没収した事にしよう。」
「おい、お前達俺が新しい主人で問題ないな?」
「はっ、よろしくお願い致します。」
「お前達の他にも奴隷商の奴隷はいたのか?」
「はい、世界各地に散らばっておりますが、奴隷術で交信出来るはずです。」
俺は奴隷術を使う。
「えー、俺があなた達の新しい主人フレズベルクです。
とりあえずみんなはフレズベルク邸で待機するように。」
俺がそう言い終えると俺の身体から数千の魔力の光が放たれた。
俺は魔力切れを起こしその場に倒れた。
今週もありがとうございました。
また来週よろしくお願いします。




