盗賊と奴隷商と敵対貴族
チュンチュン…。
小鳥の鳴き声で起きた俺達はそれぞれ昨夜の代償を抱えていた。
ブルーノは慣れないお酒のせいで二日酔いに苦しむ。
レナは顔を真っ赤にしている。
「私酔っ払っちゃって結局堂々とフレズと同じベットで寝ちゃった…。」
俺はレナの心境を尊重して同じベットで寝るより凄い事してた事は黙っておく事にした。
「さあ、出発の準備をはじめるぞ。」
俺は朝日を浴びようと窓を開けた。
「おおー、本当にフレズベルク様がいらっしゃるぞーーーー。」
「有り難や有り難や。」
「レナ様はいらっしゃらないのかしら。」
「わしはローニャ様を見たいのじゃ。」
「サニー様とリズベル様はいらっしゃらないの?」
窓のの外には俺達がこの宿に居る事を嗅ぎつけた民衆と貴族達が念の為にとまわした沢山の警備兵達がいた。
俺は必死で笑顔を作りながら手を振って応える。
「ははは…、おいレナ!ブルーノ!
出来るだけ早めに出発するぞ。」
俺達は大歓迎を受けて街を出発した。
場所の操縦は残念ながら俺だ。
ブルーノは荷台で二日酔いと戦っている。
しばらく走ってから俺はレナに確認する。
「気付いているか?」
「ええ三組ね。」
俺達の後を追ってくる敵の数だ。
「服装から言って盗賊と獣人を使って商売する他所の国の奴隷商だろ。
後一組はうちの兵士じゃないのか?」
「うちの中にも獣人が奴隷でいる方が嬉しい連中が居るのよ。
それに私達には国内の貴族にも敵が多い事情があるでしょ。」
俺は絡んできた貴族の子供達をしめているし、レナは例のイジメ事件で俺以上にやっちゃっていた。
「くそ、大至急ブルーノを回復させろ。
荷台を放棄して逃げるぞ。
次の街までの最低限の荷物だけ持って行くんだ。」
俺は敵グループが互いに牽制し合い、襲い辛そうな川に馬車を止めた。
レナは慣れた様子でブルーノを無理矢理吐かせてポーションを飲ます。
少々強引だがポーション代さえ気にしなければこれが一番早い。
ブルーノに現状を説明して作戦を伝える。
「ちょっと川で水浴びしてくるから覗かないでね。」
レナはそうと言うと立ち上がった。
「ついでに馬に水を飲ませといてくれないか?」
「わかったわ。」
レナは馬を連れて川の方に歩いていった。
俺とブルーノは交代でレナを覗きにいくふりをしながら最低限の荷物を馬に運んだ。
そして最後に二人で荷台から離れた。
「ふう、何とか逃げられそうだな。」
「あんなバカげた作戦良く思いつくわね。」
「俺達はまだ若いからな水浴びを覗くのは当然なのだよ。」
「俺が一番でかい荷物背負わなくて良かったんですか?」
「ああ、体重と戦闘をを考えての作戦だ気にするな。」
一頭の馬に俺とブルーノが2人乗りして、レナは大きな荷物を背負って馬に一人で乗っていた。
荷台を置いてきたのはカモフラージュと盗賊対策だ。
普段追跡慣れしてない者達は置いてきた荷台に騙されるだろうし、盗賊は金が欲しいだけだから残してきた荷台の荷物を盗んで帰るだろうという作戦だ。
「フレズ隊長、追いかけてくる奴らが居ます。」
ブルーノが俺に告げる。
「俺の索敵魔導には何も引っかかってないぞ。」
「西の林の中です、違いますか?」
俺は索敵魔導を西側に集中した。
なるほど確かにいるな。
獣人は索敵魔導も使わないで索敵出来るのか、獣人を恐る人の気持ちも少しわかるな。
「敵は海外の奴隷商の部隊で四人だ。
俺の索敵魔導をくぐる強敵揃いで向こうの方が人数が多い。
次の川の橋で待ち受けるぞ。」
俺達は橋を渡ってすぐに馬を降りて少し離れた木に結び荷物を降ろした。
橋で補助魔導をかけて敵を迎え討つ。
「俺が二人引きつけるからレナは出来るだけ早く一人を倒して俺に合流だ。
ブルーノは守備優先で敵を出来るだけ馬から離す様に立ち回ってくれ。」
「「イエスフレズ!」」
四人の敵が現れた。
「やれやれ気付かれてましたか、さすが天才と名高いお二人ですな。」
「お前達も中々やるじゃないか、俺達に確実に勝てるだけの最小人数で追跡するとはな。」
「お褒めに預かり光栄です。」
「こんなに優秀なら、輸入業を任せたいくらいだな。
もちろん獣人奴隷以外でな。」
「それはそれは、我々は極上の性奴隷もご用意致しますぞ。
ただし、この国での獣人の奴隷化を認めてくださればですが。」
「最初からこうなる事は分かっていたさ。
交渉決裂だ。」
俺が二人を引き連れる計画だった。
しかし敵もこちらの実力を分かっていた。
俺に襲いかかる一人は慎重に立ち回り、ブルーノを二人で襲っていた。
ブルーノが落ちて4体2になるとまずい。
それは分かっているのに、ブルーノに近づけない。
モンスターを狩ってきた俺達に対して敵の方が対人戦の連携が上なのだ。
しかも俺を担当している敵は技を決めようとすると、自爆覚悟でカウンターを狙ってくる。
早く倒して三対三に持込みたいのに何も出来なかった。
「くそ、レナ!ブルーノ!
こいつら魔動祭の動きもチェックしてやがる。
レナは鞭をやめて使い慣れた剣にしろ。
ブルーノは補助魔導を意識して戦闘に活かせ。」
魔動祭の動きを知られている以上レナ対策は万全な筈だ。
ブルーノは一切使えなかった魔導が使える様になっているから唯一情報戦で有利だが、使い慣れてもいないのにいきなり実戦では無理だし、うまく使えても一対二だ。
そうかその手があった!
俺はブルーノを攻撃している敵の一人に魔術攻撃を放ち、レナを回復魔導で回復させた。
そう俺は見栄を張って魔動祭の時魔術も魔導も使わずに一回戦負けしたのであった。
「おい、俺が魔術と魔導両方とも使えるの知ってたか?」
俺は不敵に笑って相手を威嚇し、戦闘スタイルを剣メインから魔術メインに切り替えた。
不意をつけた分少しだけ有利になったが敵も対人戦のプロだ、だんだん俺の魔術メインの戦闘に対応してきた。
戦闘相手を変え俺に二人レナとブルーノに一人ずつついている。
魔術も魔導も使えるとはいえ普段は剣メインの立ち回りをしていた俺は慣れないスタイルに苦戦していた。
頭の中にローニャの固定砲台を思い浮かべる。
俺はローニャのマネをして何とか慣れないスタイルを使いこなそうと必死だった。
あまりにも必死だった為、遠くにローニャ達が見えた様な気がする。
ん?あれは…!
「フレズ!」
どうやらレナも気がついた様だ。
その瞬間俺達は勝利を確信した。
ふっふっふ、さてこいつらどうしてやろうか…。




